山形県内の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と不動産の売却事例を紹介します。
県内全域の傾向としては、依然として厳しい状況が続いています。2013年から始まった日本経済の拡大は、残念ながら5年以上がすぎても山形県には届いていません。不動産市況の最も重要な指標である土地価格も、山形県全体の平均は下落し続けています。
売却用の不動産を持っているオーナーは、「売り時」をみつけられず悩ましい日々を送っているのではないでしょうか。

山形県の不動産価格が上昇しないのは、県内経済がふるわないからです。不動産価格は、その不動産がある地域の経済が局所的に好転しないと上昇しません。不動産は経済が活発になると必要とされ、経済が停滞すると保有コストがかかるので「お荷物」になるからです。

そこで山形県内の不動産オーナーは、次の3つの経済情報を集め、最適な「売り時」をみつけてください。

1.日本経済

山形県の経済は日本経済が活性化しないと盛り上がりませんし、山形県の経済の落ち込みは、日本経済の落ち込みより早くやってきます。日本経済の動きをとらえていないと、山形県経済に起きている現象が長期トレンドなのか一過性のものなのか判断できません。

2.山形県内の経済

不動産価格に影響する山形県内の経済ニュースは、それほど多くは発信されていません。少ない情報を取りこぼさないようにしてください。

3.不動産がある地域の経済

売却したい不動産がある地域の経済は、近隣の不動産会社が把握しています。したがって近隣の不動産会社の営業マンと親しくなることは、自分の不動産の「売り時」を測るうえで重要です。
しかし地域経済だけを追っていると視野が狭まるので、やはり日本経済と山形県経済を集めておく必要があるのです。

この記事は、①②③をまんべんなく網羅していますので、山形県内の不動産を売却するか否かの判断を下すときの資料になるはずです。

山形県の不動産価格に影響を与えそうなトピックス

山形県内の不動産全体に影響を与えそうなトピックスを紹介します。ここで全体的な傾向を押さえておけば、後段で紹介する中古マンション、中古戸建て、土地ごとの価格動向を理解しやすくなります。

人口は20年で2割減る。不動産価格には大打撃

先ほど、不動産価格に大きな影響を与えるのは地域経済である、と紹介しました。そして地域経済は人口によって左右されます。
経済発展する見込みがある地域には人が集まり、人が集まる場所は自然に経済が盛り上がります。逆に、経済が落ち込みそうな地域からは人が脱出し、人が減ると経済はさらに衰退します。
山形県の人口は昭和から平成の序盤まで120万人台で推移してきましたが、2010年(平成22年)に120万人を割り込むと加速度的に減少し始めました。
2015年には112万人となり、推計では2035年には89万人まで減ります。2015年から2035年までの20年間で約21%減となります。
これは山形県経済にも山形県内の不動産価格にも大きな打撃となるでしょう。

山形市がダントツ1位、2位天童市、3位鶴岡市。県内住みたい市町村ランキング

リクルート社が2017年に山形県内で住みたい市郡別ランキングを発表しました。このランキングに人口ランキングを合わせたところ、興味深い結果になりました。

住みたいランキング 人口ランキング
1位 山形市 75.6% 1位 25.5万人
2位 天童市 36.2% 5位 6.4万人
3位 鶴岡市 21.1% 2位 14.4万人
4位 酒田市 19.9% 3位 11.9万人
5位 米沢市 18.3% 4位 9.4万人
6位 東根市 14.6% 8位 4.6万人
7位 上山市 8.9% 12位 3.6万人
8位 寒河江市 5.7% 10位 4.4万人
9位 南陽市 2.0% 13位 3.5万人
9位 東村山郡 2.0%
(山辺町と中山町)
18位 2.8万人

資料:
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_data/fr-rank06_22/
http://www.geocities.jp/warera_tikyujin/country_information/japan/pref_information/town200704/preft200704_6.html

人口5位の天童市が住みたいランキングで2位にランクアップするという快挙を達成しました。
そして健闘したのは東村山郡(山辺町と中山町)で、人口18位にもかかわらず住みたい街で見事9位にランクインしたのです。
地域の人口は地域の経済力に比例する傾向があるので、人口が少ないのに「住みたい」と思われているということは、経済以外の魅力がその土地にあることを意味しています。
そのような土地は現役をリタイアした人の移住先として人気が上がる可能性があります。

ちなみに市郡別人口ランキングは以下のとおりです。

市町村 人口(人)
1位 山形市 255,168
2位 鶴岡市 143,861
3位 酒田市 119,101
4位 米沢市 93,681
5位 天童市 63,608
6位 最上郡 50,684
7位 西村山郡 46,865
8位 東根市 45,827
9位 東置賜郡 45,239
10位 寒河江市 43,521
11位 新庄市 41,522
12位 上山市 36,299
13位 南陽市 35,433
14位 西置賜郡 35,085
15位 東田川郡 32,483
16位 長井市 31,165
17位 村山市 28,646
18位 東村山郡 28,256
19位 尾花沢市 21,113
20位 飽海郡 17,136
21位 北村山郡 9,046

山形県の中古マンションの売買状況

不動産の種類ごとに売却状況をみていきましょう。
まずは山形県内の中古マンション市場について概観していきます。

山形市本町に12階建てマンションが2019年12月に完成

株式会社穴吹工務店が山形市本町に12階建て66戸のマンション「サーパス山形本町」を建設中です。2019年12月完成予定です。
価格は一部しか公開していませんが、69~78平方メートル(2~3 LDK)で2,660万~3,410万円となっています。やや狭めな印象ですが、その分、価格も抑えられています。

この物件の魅力は、地方都市の魅力を存分に味わえるところです。徒歩5分の場所には地元百貨店の大沼山形本店があります。また、みずほ銀行山形支店や山形中央郵便局もすぐそばにあります。
徒歩圏内に山形市立病院済生館、至誠堂総合病院、篠田総合病院があるので安心です。さらに小学校も近く、子育て世帯には魅力に感じる立地です。

見事なお堀が残る山形城跡(霞城公園)と山形新幹線・山形駅が1キロ圏内にあり、2キロ圏内まで広げると、豊かな自然が残る愛宕山と馬見ヶ先川と山形自動車道があります。
このマンションがある地域には、豊かな生活を送るのに必要なすべてのものがそろっています。

新築マンションが建つと周囲の中古マンションの劣化が目立つようになるので、普通は中古マンションの売却には不利に働きます。
しかし新築マンションによって新住民が増え地域が活性化すると、「新築マンションは買えないけどあの地域に住みたい」と希望する人が現れるので、中古マンションが売りやすくなります。
山形市本町はまさにそのポテンシャルがあるので、周辺に売却用の中古マンションを持っている方はいまが「売り時」かもしれません。

山形県の中古マンション市況

山形県内の中古マンション市況をみていきます。
以下の表は不動産会社が公表しているデータを元に作成した、物件の広さ別の平均価格です。念のため山形県内すべての市町村を確認したのですが、ご覧のとおり、山形市にしか中古マンション市場は形成されていません。
そもそもマンションがない市町村もあります。

山形県内の中古マンションの市況
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
山形市 898万円 980万円 1,820万円 1,810万円 1,880万円 3,440万円
米沢市
鶴岡市
酒田市
新庄市
寒河江市
上山市
村山市
長井市
天童市
東根市
尾花沢市
南陽市
東村山郡山辺町
東村山郡中山町
西村山郡河北町
西村山郡西川町
西村山郡朝日町
西村山郡大江町
北村山郡大石田町
最上郡金山町
最上郡最上町
最上郡舟形町
最上郡真室川町
最上郡大蔵村
最上郡鮭川村
最上郡戸沢村
東置賜郡高畠町
東置賜郡川西町
西置賜郡小国町
西置賜郡白鷹町
西置賜郡飯豊町
東田川郡三川町
東田川郡庄内町
飽海郡遊佐町

4,400万円はやや高めか、8階126平方メートル、2002年完成

上の表のうち、山形市小荷駄町の2002年に完成した9階建てのマンションの最上階の部屋が、4,400万円で売りに出ています。面積は126平方メートルとかなり広めですが、築年数や立地を考えるとやや強気の価格設定といえます。
小荷駄町は、山形新幹線山形駅まで1.5キロほどの近さですが、周囲には大型商業施設や総合病院がありません。
ただこの部屋は2階建てになっているのです。すなわち8階と9階がつながっていて、この希少性が「強気の根拠」のようです。

若宮の14階建ての3階130平方メートルは2,480万円

山形市若宮の14階建ての3階130平方メートルの部屋が2,480万円で売りに出ています。2002年完成でそろそろ「やれ」が気になり始めるころですが、部屋の広さを考えると割安感があります。
また若宮地区は山形大学病院に近く、近隣に須川が流れるウォーターフロントであり、イオンモール山形南もあります。山形新幹線・山形駅からは2キロほど離れているのですが、山形市民はマイカー生活が主流なのでそれほど不便を感じないでしょう。
静かに暮らすにはよさそうな場所です。

山形県の中古戸建ての売買状況

山形県の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
結論から紹介すると、山形県内で中古戸建てを売却することは簡単ではないでしょう。希望する額とはほど遠い値段で売却を迫られる可能性もあります。

空き家が急増。「新空き家」にしないようにしなければならない

いま日本各地で空き家が問題になっていますが、山形県も例外ではありません。1993年の山形県内の空き家戸数は20,700戸でしたが、2013年には46,100戸へと2.2倍になっています。
売却用の戸建てが「新空き家」にならないようにしたいものです。そのためには購入希望者が現れたら「損切り」覚悟で売却してしまうことです。

もちろん、待っていればより高い価格で購入してくれる人が現れる可能性はゼロではありません。
しかしそのような人が現れるまで中古戸建てのオーナーは固定資産税を支払わなければなりませんし、老朽化すれば補修やリフォームが必要になってきます。
しかも待てば必ず高く買ってくれる人が現れるわけではありません。
待つメリットと待つリスクを比較すると、やはり「早く売る」ほうが得策といえるでしょう。

人口減なのに世帯数が増加。広めの中古住宅はますます売りにくくなる

山形県内の世帯数は、人口が減っているのに増えています。山形県内の世帯数は1990年には34万世帯ありましたが、2015年には39万世帯まで増え、この間15%も増加しています。
これは1世帯当たりの同居人数が減っているからです。個人または少人数で住む核家族化が進んでいる証拠です。

そのため住宅戸数も急増しています。山形県内の住宅戸数は1993年の36万戸から2013年の43万戸へと19%増となっています。
核家族化が進んでいるなかで住宅戸数が増えているということは、狭い住宅の供給量が増えていると推測できます。
ということは、昔ながらの広い中古戸建てや中古マンションは売りにくくなるということです。

山形県内の売却用不動産オーナーは、原則「売れる時が売り時」というスタンスを持っておいたほうがいいいでしょう。

山形県の戸建て市況

山形県内の戸建て市況をみてみましょう。
山形市内を含め、県内全域で100平方メートル以下の物件の市場はほとんど形成されていないので「101平方メートル~」帯のみ掲載しました。

山形県内の中古戸建ての市況(市場が形成されている101平方メートル以上のみ記載)
地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~
山形市 2,555万円 東村山郡山辺町 2,663万円 東置賜郡高畠町 2,000万円
米沢市 1,600万円 東村山郡中山町 1,786万円 東置賜郡川西町 998万円
鶴岡市 2,043万円 西村山郡河北町 2,230万円 西置賜郡小国町
酒田市 1,677万円 西村山郡西川町 西置賜郡白鷹町 998万円
新庄市 2,685万円 西村山郡朝日町 480万円 西置賜郡飯豊町 650万円
寒河江市 2,082万円 西村山郡大江町 東田川郡三川町
上山市 2,380万円 北村山郡大石田町 1,288万円 東田川郡庄内町 1,619万円
村山市 1,454万円 最上郡金山町 飽海郡遊佐町
長井市 980万円 最上郡最上町 1,075万円
天童市 2,059万円 最上郡舟形町
東根市 2,436万円 最上郡真室川町
尾花沢市 2,490万円 最上郡大蔵村
南陽市 1,549万円 最上郡鮭川村
最上郡戸沢村

9LDK、鉄骨3階、延べ床面積475平方メートルの新庄市の豪邸が2,980万円

上記の表のうち、新庄市大町の豪邸を紹介します。鉄骨3階建て、土地面積497平方メートル、住宅の延べ床面積475平方メートル、9LDK、築年月1990年9月という物件が2,980万円で売りに出ています。2世帯住宅になっています。
スーパーマーケットとコンビニと総合病院が1キロ圏内にあります。また山形新幹線・新庄駅まで500メートルほどです。近隣には自然豊かな最上中央公園もあります。
地方ならではの物件といえるでしょう。

住みたい市2位の天童市の2,580万円の中古戸建ての実力とは

住みたい市ランキングで山形市に次ぐ2位になった天童市で、大字貫津地区の木造2階建て延べ床面接218平方メートル8LDK、土地面積488平方メートル、築年月2001年1月という物件が2,580円で売りに出ています。2台分のカーポートと大型物置もついています。

天童市は天童高原スキー場や天童カントリークラブなど、自然を満喫できるレジャー施設が整っています。奥羽山脈に近く、登山愛好家にうらやましがられる土地です。
街の中心部に温泉街があるのも一興です。
山形新幹線・天童駅前には天童城跡を中心にした天童公園があり、地方らしいのどかな風景をつくっています。
新幹線駅だけでなく山形自動車道や山形空港にも近く、意外に交通の便がよい地域です。

これだけ住環境が整っている天童市ですので、人気が出るのももっともです。その天童市の8LDK2,580万円の中古戸建ては、都会の人のリタイア後の移住先として検討に値する物件といえるのではないでしょうか。

山形県の土地の売買状況

山形県の土地の売買状況をみていきます。2018年7月の全県の地価の平均は前年比0.9%減で、20年連続で前年割れとなりました。
売却用の土地を保有している方にとっては厳しい状況が続いています。

人口減による土地需要の低下が地価下落を招く

それでも山形県内の市部は前年比0.4%減にとどまり、前年の0.6%減よりは下落幅は小さくなっています。
一方、町村部は前年比1.8%減と、大きく下落しています。
山形県の担当者は「人口減を背景にした土地需要の弱さが地価に現れている」と分析しています。
それでは次に住宅地と商業地にわけて詳細をみてみましょう。

住宅地の価格は局地的に上昇している

山形県全体の住宅地の価格は前年比0.8%減で19年連続の下落ですが、調査した160地点の18%に当たる29地点の地価が前年より上昇しました。
29地点の内訳は、山形市16地点、酒田市5地点、天童市3地点、米沢市3地点、東根市1地点、三川町1地点でした。

さらに山形市だけは上昇が顕著で、前年比2.6%増、4年連続の上昇でした。
山形市の住宅地価格が上昇した理由について山形県の担当者は「低金利や住宅ローン減税、景況感の改善などが住宅地需要を下支えした。利便性や住環境に優れた住宅地の価格が上昇している」とコメントしています。

商業地でも山形市と酒田市で上昇

山形県全域の商業地の価格は前年比1.2%減と25年連続の下落となりました。
しかし調査した68の商業地地点のうち16%にあたる11地点で前年を上回りました。11地点の内訳は、山形市9地点、酒田市2地点でした。
山形市の商業地価格は前年比0.5%増で、2年連続で前年を上回ることができました。
郊外型の大規模商業施設が立地する地域や、交通アクセスがよい地域は、商業地価格が上昇する傾向にあります。

山形県の土地市況

それでは山形県内の土地の市況をみていきましょう。100平方メートル以下の土地はほとんど市場が形成されていなかったので、101平方メートル以上の物件のみ掲載しました。

山形県内の土地の市況(市場が形成されている101平方メートル以上のみ記載)
地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~
山形市 1,134万円 東村山郡山辺町 632万円 東置賜郡高畠町 360万円
米沢市 2,281万円 東村山郡中山町 755万円 東置賜郡川西町
鶴岡市 西村山郡河北町 298万円 西置賜郡小国町
酒田市 540万円 西村山郡西川町 西置賜郡白鷹町 760万円
新庄市 425万円 西村山郡朝日町 西置賜郡飯豊町
寒河江市 823万円 西村山郡大江町 東田川郡三川町
上山市 293万円 北村山郡大石田町 430万円 東田川郡庄内町
村山市 440万円 最上郡金山町 飽海郡遊佐町
長井市 最上郡最上町 120万円
天童市 552万円 最上郡舟形町
東根市 1,196万円 最上郡真室川町
尾花沢市 最上郡大蔵村
南陽市 250万円 最上郡鮭川村
最上郡戸沢村

伊達政宗公生誕の地の近隣の土地が約2,000平方メートルで8,000万円

上記の表のうち、米沢市門東町で1,990平方メートルという広大な土地が8,000万円で売りに出ています。
米沢市門東町の近くには松岬公園という公園があり、伊達政宗公生誕の地や上杉謙信公の像などがあります。またこの公園の周囲は立派なお堀で囲まれ、桜の木が約250本植えられています。

マンション建設にも適した土地といえ、このような大型物件が売りに出てくると市場がにわかに活気づくので、近隣に売却用の土地を持っている方はこうしたチャンスを逃さないようにしたいものです。

まとめ~経済成長が緩やかなだけに売却は急いだほうがよさそう

日本経済は2013年ころから急拡大し、そろそろピークを迎えようとしています。そして2019年10月の消費増税、2020年の東京五輪、2025年の大阪万博など、日本経済に大きなインパクトを与えるイベントが続きます。
不動産売却のタイミングが測りにくい時期に差し掛かっています。

ただひとついえることは、地方では今後不動産価格が急騰することはない、ということです。もちろん大型投資が突如湧いて、局地的短期的に不動産価格が上昇することはあるかもしれません。
しかしそのような例外を除けば、山形県内の不動産価格は、運がよくて微上昇、せいぜい現状維持、多くは下落傾向とみておくほうが無難です。
購入希望者が現れたら過度な価格交渉は避け、早期決着を優先させたほうが得策かもしれません。