鳥取県内の「中古マンション、中古戸建て、土地」の相場と不動産売却事例をみていきましょう。
典型的な地方である鳥取県は、残念ながら2013年から2018年まで続いた日本の好景気の波にうまく乗ることができませんでした。そして2019年以降は経済の下振れが懸念されていて、不景気は鳥取県のような地方から始まります。
経済情勢は不動産価格に大きな影響を及ぼすので、経済が振るわない鳥取県内の物件価格は期待できません。
したがって、鳥取県内に売却用の中古マンション、中古戸建て、土地を保有しているオーナーは、常に「売れる時に売る」態勢をとっておく必要があります。
もちろん今後不動産価格が値上がりする確率はゼロではありませんが、値上がりを期待して不動産を保有し続けることはリスキーです。個人の不動産売却では、「売却に成功する」ことより「売却に失敗しない」ことを優先したほうがよいからです。
鳥取県内の不動産オーナーは少なくとも、不動産仲介業者に所有している不動産の査定を依頼しておいたほうがいいでしょう。
鳥取県の不動産の全体的な話題
鳥取県内にある不動産の各種動向の詳細をみる前に、不動産全体の価格に影響を与える経済情勢を概観しておきましょう。
成長率は高いが県内総生産は最下位(47位)
先に鳥取県経済の明るい材料を紹介します。
内閣府が公表している「県民経済計算」によると、2015年の鳥取県の県内総生産の成長率は3.9%で全国17位でした。鳥取県の上の3県は、14位茨城県4.1%、15位山梨県4.1%、16位愛媛県4.0%、下の3県は18位群馬県3.7%、19位福岡県3.7%、20位青森県3.6%でした。
鳥取県の成長率は、関東の茨城県や群馬県と同レベルの成長をみせ、全国的に注目されている博多を有する福岡県を上回っています。
ただこの好調ぶりは手放しでは喜べません。2015年の県内総生産の金額をみると、鳥取県は1.76兆円で最下位の47位でした。そして46位の高知県でも2.40兆円でしたので、鳥取県は47都道府県で唯一1兆円台でした。
鳥取県の高い成長率は、「のびしろ」が大きすぎたために、小さな成長でも大成長のようにみえているだけといえます。
例えば、成長率で鳥取県よりランクが1つ下の群馬県(18位、3.7%)の2015年の県民総生産は8.67兆円もあります。
鳥取県の2014年から2015年の県民総生産の増加額は700億円ですが、群馬県の同期間の増加額は3,200億円になります。鳥取県より成長率が低い群馬県のほうが、日本全体のGPD(国内総生産)への貢献度は圧倒的に高いのです。
景気指数は軒並み悪い
鳥取県の景気動向指数の推移をみてみましょう。
以下の数値はCI指数といい、2010年を基準(100)とした時の景気の変動を現しています。100を上回れば「2010年の景気よりよい」、下回れば「2010年の景気より悪い」と評価されます。
先行指数 | 一致指数 | 遅行指数 | |
---|---|---|---|
2015年平均 | 97.2 | 113.4 | 125.6 |
2016年平均 | 101.4 | 117.2 | 112.7 |
2017年平均 | 106.6 | 120 | 121.3 |
2018年平均 | 98.2 | 117.9 | 106.3 |
2019年1月 | 92.4 | 112.5 | 103.2 |
先行指数と一致指数は2017年がピークでした。遅行指数は2015年がピークでした。それと比較すると2018年平均は3指数とも下落しています。
2019年4月現在の2019年分の最新データは1月しかありませんが、3指数もとこの表のなかで最低の数値になっています。季節的な要因を加味しなければなりませんが、それでも「よくない傾向」といえそうです。
鳥取経済の顔「大丸」は守れるのか
地方経済の好不調のバロメーターのひとつに、百貨店の有無があります。高級品を扱う百貨店は、バブル崩壊後の「安いモノしか売れない」デフレ経済で力を失い、経済が好調な土地でしか経営できなくなってしまいました。地方の百貨店は軒並み閉店してきました。
そのようななかでJR鳥取駅前に立つ百貨店「鳥取大丸」が存続してきたことは、弱いといわれる鳥取経済の希望の星といっても過言ではありません。
ところが2018年7月、鳥取大丸は百貨店事業を新しく設立する会社に承継したうえで、清算手続きに入ると発表しました。
鳥取大丸は存続しますが「危うい」ことには間違いなさそうです。現在の鳥取大丸は21.5億円の負債を抱えています。
鳥取大丸の前身は丸由百貨店といい、昭和12年(1937年)に創業しました。その後、大丸と資本提携し、2012年に鳥取大丸になりました。
百貨店が残ることは地元経済には歓迎できることですが、日本経済新聞は2018年9月20日の「鳥取駅前の『顔』失いかねず 地域の危機感、なお乏しく」の記事のなかで、地元経済界に地域の問題として受け止めるムードが乏しいと厳しく指摘しています。
鳥取大丸の売上高はピークの1998年2月期の138.5億円から2018年2月期の54.9億円へと60%も減っています。また鳥取大丸がある鳥取市栄町の基準地価は1996年の88.5万円/平方メートルから2018年の12.1万円/平方メートルへと86%も下落しています。
県の象徴がこのような状態にあっては、県の経済はなかなか勢いがつきません。そして不動産価格にとっても、大きなネガティブ要素です。
鳥取県の中古マンションの売買状況
それでは次に、不動産の種類ごとに売買状況などをみていきます。
まず、鳥取県内の中古マンションの動向ですが、市場規模が小さいため全国指定流通機構連絡協議会が運営する不動産取引情報提供サイト「レインズマーケットインフォメーション」に情報が掲載されていません。
そこで民間企業の不動産情報を元に、鳥取県内の中古マンション市場を探ってみました。
鳥取市で平均1,873万円、米子市で1,436万円
ある不動産サイトは、鳥取市内の中古マンションの平均価格は1,873万円、米子市の中古マンションは1,436万円と公表しています。
これは平均価格なので「とても安い」といえます。隣県の島根県の松江市の中古マンションの平均価格は2,160万円です。
さらに日本1レベルの東京都港区の中古マンションの平均価格が9,724万円であるのと比べると、鳥取市内の平均価格1,873万円は5分の1にすぎません。
また別の不動産会社も、鳥取県内で中古マンション市場が形成されているのは鳥取市と米子市だけであると公表しています。「市場が形成されていない」とは、中古マンションを売る人も買う人も少ない、という意味です。
鳥取県内に売却用の中古マンションを保有している方は「簡単には売れない」と認識したうえで、購入希望者が現れたら早めに売買契約を結んだほうがよいでしょう。
鳥取市富安2丁目の7階90平方メートル4LDが2,280万円
それでは個別の物件をみていきます。
鳥取市富安2丁目にある15階建て全56戸のマンションでの7階、90平方メートル4LDの部屋が2,280万円で売りに出ています。2004年2月完成です。
マンションの外観も、エントランスまでのアプローチも、エントランスのなかも、築15年以上が経過している古さは感じられません。メールボックスや宅配ボックスが整備されていて、使い勝手がよさそうです。
全体的に質のよさが伝わってきます。
立地も魅力的です。
鳥取市富安2丁目は、JR鳥取駅の300メートル圏内にあります。ホテルや金融機関、鳥取鉄道記念物公園、鳥取市総合福祉センター、鳥取第1合同庁舎など、便利な施設が集中しています。
ただ、築15年以上の90平方メートルのマンションが2,280万円というのは、高いのか安いのか判断するのが難しいでしょう。
「鳥取の物件」と考えると割高に感じるかもしれませんが、「地方都市の中心地の物件」と考えれば妥当な価格といえます。
鳥取市南町、61平方メートル3DK、1,298万円は安いか?
鳥取市南町にある8階建て全74戸のマンションの7階、61平方メートル3DKの部屋が1,298万円で売りに出ています。1988年8月完成です。
延べ床面積61平方メートルは広いとはいえませんが、大都会であれば決して狭いとはいえません。7階という高さも魅力的です。
気になるのは築30年ほど経過していることですが、それでも1,500万円を大きく割り込む価格はやはり値ごろ感があります。
JR鳥取駅や鳥取市役所は、鳥取市南町の1キロ圏内にあり、生活環境は申し分ありません。そして鳥取砂丘まで直線距離で5キロしかなく、頑張れば歩いて行くことができます。
このように、地方都市の中古マンションはさまざまな角度で魅力をPRできます。自分のマンションを売却する時も「地方ならではのよさ」をアピールしてみてください。
米子市皆生3丁目の89平方メートル3LDKが2,700万円
米子市皆生3丁目にある8階建て全44戸のマンションの、最上階8階の89平方メートル3LDKの部屋が2,700万円で売りに出ています。2009年3月完成で築10年ほどです。
首都圏などの大都市では8階建てマンションは低い建物という印象を持ちますが、米子市には高い建物が少ないので8階でも眺望はかなり良好です。
マンションの造りも今風の趣向を凝らしたもので、エントランスも豪華です。マンションの駐輪場の脇にペットの洗い場があり、シャワーが設置されています。また、鳥取は意外に雪が降るので、自動車は冬場にスタッドレスタイヤに履き替える必要があります。そこでこのマンションには、タイヤ置き場が用意されています。
こうしたきめ細かな配慮は住人に喜ばれているでしょう。
米子市皆生3丁目は日本海まで1キロほどの場所にあり「海を感じられる街」です。海岸線には、日帰り温泉オーシャンや皆生温泉汐の湯といった温泉施設があります。さらに皆生温泉病院や山陰労災病院が近くにあり、安心です。
ユニクロ米子新開店やスーパーホームセンターいない米子店といった商業施設や飲食店も多く、生活環境は良好です。
3,000万円を大きく割り込む価格であれば、値ごろ感があります。
鳥取県の中古戸建ての売買状況
続いて鳥取県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
以下の表は不動産会社が公表している鳥取県内の中古戸建ての平均価格を、延べ床面積ごと・市町村ごとに集計したものです。100平方メートル以下は相場が形成されていなかったので省略しています。また101平方メートル以上の相場も形成されていない自治体もありましたが、全市町村を掲載しました。
地区 | 101m²~ |
---|---|
鳥取市 | 1,845万円 |
米子市 | 1,582万円 |
倉吉市 | 1,266万円 |
境港市 | 1,397万円 |
岩美郡岩美町 | 1,735万円 |
八頭郡若桜町 | – |
八頭郡智頭町 | – |
八頭郡八頭町 | 1,339万円 |
東伯郡三朝町 | – |
東伯郡湯梨浜町 | 1,680万円 |
東伯郡琴浦町 | 674万円 |
東伯郡北栄町 | 1,030万円 |
西伯郡日吉津村 | 1,562万円 |
西伯郡大山町 | – |
西伯郡南部町 | 643万円 |
西伯郡伯耆町 | 736万円 |
日野郡日南町 | – |
日野郡日野町 | – |
日野郡江府町 | – |
先ほどみた中古マンション市場と比べると、鳥取県内の中古建ての市場は地方でもしっかり形成されていることがわかります。
どのような物件が売りに出ているのか、個別にみていきましょう。
鳥取市若葉台北、140平方メートル5LDKが2,500万円
地方都市の中古戸建ての魅力は、価格が安い割に敷地が広く建物のスペックがよいところです。この中古戸建ても、そのような魅力が詰まった物件といえます。
鳥取市若葉台北にある軽量鉄骨2階建て、土地面積253平方メートル、延べ床面積140平方メートル5LDKが2,500万円で売りに出ています。2003年4月完成ですので、築16年ほどになります。
広い土地なので、駐車スペースも庭もゆったりしていて庭木も立派に成長しています。浴室、トイレ、キッチンといった水回りの設備は、16年の歳月を感じさせない印象です。
5つの部屋は、和室2、洋室3という内訳なので、和室を好む方には魅力的に映るでしょう。
鳥取市若葉台北の最寄り駅は、2キロほど離れたJR因美線・津ノ駅です。津ノ駅は鳥取駅の次の駅なので、中心部へのアクセスは悪くありません。そのため鳥取市若葉台北地区を含む大きな住宅街が形成されています。
そして鳥取市若葉台北地区内や近隣には、公立鳥取環境大学や鳥取市若葉台スポーツセンター、イオン津ノ井店があり、生活に支障をきたすことはないでしょう。
そして大池という池があり、豊かな自然を感じることができます。
米子市西福原、145平方メートル5SLDKの築浅オシャレ物件が4,380万円
米子市西福原にある木造2階建て、土地面積193平方メートル、延べ床面積145平方メートル5SLDKが4,380万円で売りに出ています。2017年6月完成という、築浅物件です。
この物件のハイライトはモダンテイストあふれる見事な外観と広い土地です。
外観は1階部分がレンガ調の濃い茶色、2階部分が白に近いクリーム色に塗り分けられていて、目立ちながらも落ち着いた雰囲気を醸し出しています。玄関までのアプローチもブロックを上手にあしらっていてとてもオシャレです。
土地が193平方メートルもあるので、駐車スペースは3台分確保されています。自動車社会の米子市では、嬉しい設備といえます。
内装も木調と白い壁がくっきり分かれていて、清潔感があります。台所、風呂、トイレ、洗面台は最新設備が備わっています。
米子市西福原は日本海にほど近い地区で、JR境線の富士見町駅にも後藤駅にも近く便利です。JR山陰本線・米子駅までは約5キロメートル、車で16分の距離です。
保育園、小学校、高校、警察署などが近く、生活に不便を感じることはなさそうです。
この家を購入すれば、4,380万円以上の贅沢さを味わうことができそうです。
東伯郡湯梨浜町大字門田の135平方メートル5DKが1,680万円
地方の中古戸建て物件もみておきましょう。
東伯郡湯梨浜町大字門田にある木造2階建て土地面積248平方メートル、延べ床面積135平方メートル5DKの中古戸建てが1,680万円で売りに出ています。1996年5月完成です。
築20年以上経過しているため、キッチンやトイレ、浴槽はそれなりですが、堅実な雰囲気の家です。土地が広いので家庭菜園やガーデニングが楽しめます。
東伯郡湯梨浜町大字門田は鳥取市中心部から40キロ以上離れているのですが、JR山陰本線・倉吉駅までは2キロほどです。
倉吉駅から鳥取駅までは特急を使えば30分ほどで着きます。
東伯郡湯梨浜町大字門田地区は東郷池という、湖のような広い池に面していて、近くに東郷湖羽合臨海公園があるなど、長閑(のどか)な環境が魅力の土地です。
日本海にも近いことから、定年後を海の近くで暮らしたい人には、価格を含め魅力的かもしれません。
鳥取県の土地の売買状況
鳥取県の2018年の公示地価は、用途ごとに明暗が分かれました。ただ「明」の強さより「暗」のほうが強いので、全体としては低調です。
全用途の平均変動率(前年比)は△1.1%(△はマイナス)でした。ただ、2017年の全用途が△1.6%でしたので、「悪いながらも改善傾向はみられる」と評価できます。
その他の項目について詳細にみていきましょう。
21年ぶりの「明」も
鳥取県の2018年の全用途の平均変動率の前年割れは20年連続となってしまいました。
そのほか、2018年の住宅地は△1.2%で、こちらは19年連続の前年割れです。2018年の住宅地の全国平均が△0.3%でしたので、「かなり悪いほう」といえるでしょう。
ただ住宅地の平均変動率の推移をみると、2010年から2013年までの4年間は△4.0%台で、2017年は△1.7%でしたので、やはり悪いながらも改善傾向はみられる、といえます。
2018年の鳥取県の商業地は△0.9%で、こちらは27年連続前年割れとなってしまいました。前年が△1.4%でしたので改善傾向はみられますが、商業地の全国平均は1.1%とプラスに転じているので、鳥取県の商業地は「相当悪い」をいわざるを得ません。
そのようななかで唯一の明るい材料となったのが工業地で、2018年は0.4%と21年ぶりに前年比プラスに転じました。前年は△0.6%でしたのでちょうど1ポイント上昇したことになります。2018年の工業地の全国平均は0.5%でしたので、鳥取県の工業地は「かなり健闘している」といえます。
鳥取県の工業地は2010年△5.8%、2011年△5.9、2012年△5.9とかなり悪い数字を記録して、2013年は△6.4%と、とうとう△6.0%台に突入していました。そこから5年かけて前年比プラスに転じることができたわけです。
鳥取市が足を引っ張り、米子市と境港市が押し上げに貢献
住宅地の公示地価を市町村ごとにみていきます。
2018年の鳥取市の住宅地は△1.6%で、鳥取県全体の住宅地の平均変動率△1.2%を0.4ポイントも下回りました。地方の県の住宅地地価では、県全体の落ち込みを県庁所在地の上昇分がカバーすることが多いのですが、鳥取県では県庁所在地の鳥取市が全体の足を引っ張る結果になっています。
ただ鳥取市の2017年の住宅地は△2.0%でしたので、マイナス幅は減少しています。
鳥取県の住宅地地価に貢献したのは、米子市の住宅地地価です。2018年は0.4%と、前年の△0.2%からプラスに転じました。
また境港市の2018年の住宅地は△1.6%とマイナス圏は脱し切れていないのですが、前年は△3.1%でしたので、大幅改善を果たすことができました。
そのほか、人口約4,000人の小さな日吉津村の住宅地が3.7%と、前年の3.4%を超える大幅な伸びをみせました。日吉津村は鳥取県内の唯一の村で、東、西、南の3方は米子市に囲まれ、北は日本海に面していますので、地図上では米子市の一部のように見えます。
住宅地の平均変動率が前年比プラスになった自治体は、米子市・日吉津村の「ペア」だけでした。
商業地も「米子市・日吉津村ペア」が活躍
商業地の詳細をみていきます。
鳥取市の2018年の商業地の平均変動率は、△1.2%で前年の△1.8%より改善しています。ただ県全体の商業地は△0.9%でしたので、ここでも鳥取市は足を引っ張っています。
商業地でも米子市と日吉津村の「ペア」がいずれも0.0%で貢献しています。鳥取県内の自治体で商業地の平均変動率がプラスになったところはなく、米子市・日吉津村の0.0%(前年と同じ)が最高でした。
実は米子市は、再生可能エネルギーを使った発電所の集積地です。ソフトバンクグループが42メガワットの大規模太陽光発電所を設置しているほか、地元企業も「地元の電力」に投資をしています。
このような積極的な経済活動が、地価を下支えしていると推測できます。
工業地は境港市が大躍進
鳥取市は工業地の地価でも足を引っ張っています。鳥取市の2018年の工業地は△1.9%で、前年と同率でした。
米子市の2018年の工業地は1.9%で、前年の0.0%から躍進しました。
倉吉市も健闘し2017年の△1.4%から2018年の0.0%へと上昇しました。
そして2018年の工業地地価で特筆したいのは、境港市の大躍進です。2017年の1.8%から2018年の3.6%へとプラス幅を大きく拡大させました。
ちなみに境港市は、「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクター妖怪オブジェを配置した「水木しげるロード」や、水木しげる記念館が全国区の観光地になっています。
やはり地価を上げるには、経済効果を高めることが「王道」であり「近道」といえます。
ただ価格が最も高いのはやはり鳥取市
上昇率(下落率)ではよいところをみせることができなかった鳥取市の地価ですが、価格(単価)の高い地点は同市が独占しています。
鳥取県内の2018年の住宅地で最も高かったのは、鳥取市東町2丁目341番1の93,800円/平方メートルでした。この地点は37年連続でトップを維持しています。
鳥取市東町2丁目内には、鳥取城天球丸跡などがある久松公園や鳥取地方法務局などの国の機関があるほか、鳥取県庁も近くにあります。
鳥取県内の住宅地の2位は鳥取市西町3丁目411番(83,500円/平方メートル)、3位は鳥取市中町40番12外(75,000円/平方メートル)でした。
鳥取県内の2018年の商業地で最も高かったのは、鳥取市栄町710番の136,000円/平方メートルでした。この地点は18年連続でトップを維持したのですが、2017年の価格は137,000円/平方メートルでしたので、値下がりしています。
鳥取市栄町はJR山陰本線・鳥取駅前に広がる地区で、多くの飲食店や小売店、金融機関、医療機関などが集中しています。
鳥取県内の商業地の2位は鳥取市末広温泉町129番(96,000円/平方メートル)、3位は鳥取市弥生町266番(92,800円/平方メートル)でした。
まとめ~知名度の向上に期待
地味な県として名前が挙がってしまうことが多い鳥取県ですが、最近は広報活動が奏功し、テレビへの露出が増えてきました。
知名度が上がると観光業が盛り上がり、地域に活力が生まれます。そうなれば経済も上向くでしょう。地方の場合、観光ビジネスが当たるかどうかが地域活性化の鍵を握ります。
したがって、鳥取県の不動産価格も長期的な視点でみれば、値上がりするかもしれません。
しかし「今」と「近い将来」は、不動産価格の値上がりは期待できないでしょう。したがって、売却用の中古マンション、中古戸建て、土地を持っている方は「できるだけ早めに売る」ことが肝要(かんよう)です。
「遠い将来」の値上がりを待つために不動産を保有し続けて、売却を延期することは、かえって維持費がかかって赤字に陥りかねません。しかも「遠い将来」に必ず値上がりする保証はありません。
繰り返しになりますが、鳥取県内の不動産オーナーは「売却の成功」を期待するより「売却の失敗」を回避するようにしましょう。早期売却は自衛手段といえます。
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