茨城県の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と不動産売却についてみていきましょう。全国的に、都道府県内の都市部の不動産市場は活況で、その傾向は茨城県でもみられます。県内最大の人口を誇る水戸市と2位のつくば市は地価の上昇が顕著です。
また好調な東京経済に牽引される形で、首都圏へのアクセスのよさを武器にして進められている開発が、不動産価格を支えています。「経済がよくなれば不動産が高値で売れる」の法則とおり、中古マンションと中古戸建てと土地の売却を検討している方は、そろそろ「売り時」を模索してもよいかもしれません。
ただ、茨城県の地方部の不動産価格はまだ低迷しており、地域間格差はさらに拡大している状況です。

茨城県の不動産価格に影響を与えそうなトピックス

不動産の売却を検討している方は、不動産会社などに物件の相場を確認したり、地価を調べたり、マンション建設の動向をチェックしていることと思います。
最高値で売却するにはそのような地道なリサーチが欠かせません。

そしてもうひとつチェックしていただきたいのが、茨城県内の経済動向です。不動産の売却価格は「じわり」と上昇する時と、「ドカン」と上昇する時があります。
地域経済が特殊な事情で急に上向いた時、中古住宅や土地も急に需要が高まり高値で売れることがあります。
そこで茨城県内の不動産価格に影響を与えそうなニュースやトピックスを紹介します。

水戸市のイオンが復活

イオンの不動産部門であるイオンリテールは2018年11月に、水戸市に「イオンスタイル水戸下市」を開業します。
6,500平方メートルの敷地に、売り場面積1,900平方メートル1階建ての店舗が建てられました。
イオンスタイルは総合スーパーの業態で、ショッピングモールであるイオンモールとは異なります。
イオンモールは「売れるものはなんでも詰め込む」タイプの商業施設ですが、イオンスタイルはより専門性が高い商品をそろえています。イオンスタイル水戸下市でも、高級酒や高級オーガニック食品、輸入食材、高価格帯のファッションなどが並べられる予定です。

イオンスタイル水戸下市は、2015年に閉店したイオン下市店の跡地に建てられました。つまり3年の年月を経て復活したわけです。
コンビニエンスストアに押されている大型スーパーやショッピングモールは苦戦を強いられています。そのため大型店やメガ店を得意とするイオンは新規出店に慎重になる一方で、不振既存店を大胆に閉鎖しています。

つまり今回イオンが水戸市に「出店し直した」ということは、水戸市民の購買力が力強いと判断したということを表しています。
不動産売却が有利になる経済の好調さを裏付ける動向といえるでしょう。また大規模かつ新規の商業施設は周辺地域の魅力を向上させるので、不動産価格の上昇が期待できます。
イオンスタイル水戸下市周辺の「中古マンションまたは中古戸建てまたは土地」の売却を検討している方は、「売り時」を逃さないようにしてください。

「工業の茨城県」に追い風、茨城町に「IoTと食品」の拠点完成

茨城県といえば、日立製作所やJAXA、鹿島臨海工業地帯、筑波研究学園都市など、工業と研究開発の地区というイメージがあります。
茨城町にある茨城県工業技術センターが、2018年4月に「IoTと食品」の新研究棟を建設しました。
「IoTと食品」研究棟は延べ床面積1,650平方メートルの2階建て、総工費6億1,300万円のビッグプロジェクトです。

IoTは、すべてのモノをインターネットにつなぐ技術です。ネットにつなぐモノといえばパソコンやスマホ、タブレットが主流ですが、最近は自動車や家電、住宅もネット化(IoT化)しています。
IoTは将来的な成長が見込まれる自動運転車やスマート住宅に欠かせない技術なので、その研究施設が茨城町にできたことは地域経済に大きな影響を与えるでしょう。

また食品の研究棟に無菌室を設置したほか、機密保持を目的としたカードキー対応の研究室も設けました。県内の複数の食品研究施設が老朽化したため、ここに集約させました。このことにより食品研究の効率化が期待できます。

茨城町は水戸市に接し、県東部の鹿島臨海工業地帯にも隣接していますので、研究開発の拠点を置くのに適した土地といえます。
この「IoTと食」研究棟には知事も期待していて、「企業の進路をリードする施設になるだろう」と茨城経済への波及効果に期待を寄せています。

日本の宇宙産業をバックアップ、38兆円市場を狙う

日本の宇宙開発の心臓部である宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「筑波宇宙センター」は、茨城県つくば市にあります。茨城県がJAXAを支援する形で地域経済振興を図っています。

茨城県は2018年に、宇宙ビジネスを手掛けるベンチャー企業を支援する補助金制度をつくりました。県内で衛星データを使ったソフトウェアを開発する企業に最大400万円を助成したり、県内の宇宙関連企業が販路拡大に向けて国際展示会に出展する時の費用の一部を負担したりします。
茨城県はこれまでもJAXAや国と連携し、県内に宇宙ビジネスの「種」をまいてきました。茨城県は2018年度に関連費用7,570万円を予算計上しました。

宇宙ビジネスの市場規模は世界で38兆円といわれています。そのうちの37%にあたる14兆円は、衛星データを活用したサービスになっています。茨城県が衛星データを使ったソフトウェア企業を支援するのも、こういった動向をにらんでのことでしょう。
日本の宇宙産業の市場規模は1.2兆円ほどで、欧米に大きく水をあけられている状況ですが、政府は「宇宙産業ビジョン2030」で、2030年代の早い段階で2兆円以上にする目標を打ち出しています。
少し先の話ではありますが、宇宙事業への投資は茨城県経済を大きく発展させる起爆剤になると考えられます。

都道府県別GDPで全国11位の実力

茨城県の2016年度の県内総生産(GDP)は11兆6,786億円で、4年前の2012年より1.7%上昇しています。都道府県別では11位です。
ベスト10には入っていないものの、東京圏の「一員」として日本経済の牽引役になっていることは確かです。
国内経済が向上する効果は、東京を中心に同心円状に広がる傾向にあるので、茨城県は恩恵を受けやすいポジションにいるといえます。
また経済インフラも整備されているので、景気拡大の「大波」を受け止めるポテンシャルも十分あります。
ということは、茨城県内の中古マンション、中古戸建て、土地にも経済的なポテンシャルが備わっているといえ、売却を検討している不動産オーナーは今後の動向に期待してもいいのではないでしょうか。

茨城県の中古マンションの売買状況

それでは次に、茨城県内の中古マンションの売買状況をみていきましょう。

ひたちなか市の不動産会社が中古マンションを高齢者向けに転用へ

茨城県ひたちなか市の建築会社、アーバンアーキテックが、中古マンションや中古アパートを高齢者向け賃貸集合住宅にするビジネスを展開しています。2011年に開始した事業で、2018年現在では茨城県内にとどまらず、千葉県、栃木県、埼玉県、神奈川県、東京都にも進出しています。

高齢者向け賃貸集合住宅市場が活性化すると、地方の中古マンション価格にもよい効果が期待できます。働き世代や子育て世代の中古マンション需要は都市部に集中しますが、都会生活をそれほど重視しない高齢者なら、地方に住むことを敬遠しないからです。
また超高齢社会の日本において、高齢者向け賃貸集合住宅市場は成長が見込まれる分野です。茨城県内の企業がこの分野で活躍することは、県内の中古マンション市場にとって朗報といえます。

茨城県の中古マンション市況

不動産会社が公表している茨城県内の中古マンション市況を表にまとめました。
この表から各自治体の市場動向を分析してみましょう。

地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
水戸市 309万円 950万円 1,258万円 1,470万円 2,029万円 2,102万円 1,995万円 4,413万円
日立市 568万円 1,780万円 2,176万円 2,200万円
土浦市 320万円 1,970万円 1,064万円 1,083万円 785万円 3,399万円
古河市 330万円 315万円 1,474万円 1,590万円 2,157万円
石岡市
結城市
龍ケ崎市 552万円 746万円 955万円 843万円 830万円
下妻市
常総市
常陸太田市
高萩市
北茨城市
笠間市
取手市 683万円 796万円 818万円 1,880万円 600万円
牛久市 1,865万円 1,622万円 1,780万円 1,780万円
つくば市 1,418万円 2,326万円 2,772万円 2,744万円 3,452万円
ひたちなか市 300万円 1,960万円 2,415万円
鹿嶋市
潮来市
守谷市 2,523万円 3,220万円
常陸大宮市
那珂市
筑西市 600万円
坂東市
稲敷市 140万円
かすみがうら市 828万円 980万円
桜川市
神栖市
行方市
鉾田市
つくばみらい市 2,380万円 2,565万円 2,466万円 2,350万円
小美玉市
東茨城郡茨城町
東茨城郡大洗町
東茨城郡城里町
那珂郡東海村
久慈郡大子町
稲敷郡美浦村
稲敷郡阿見町 834万円 1,000万円
稲敷郡河内町
結城郡八千代町
猿島郡五霞町
猿島郡境町
北相馬郡利根町

茨城県の人口3大市では、つくば市が好調

茨城県の人口3大市、水戸市(27万人)、つくば市(23万人)、日立市(18万人)の中古マンションをみてみましょう。
水戸市の「101平方メートル~」の平均価格は4,413万円になっていますが、これを例外とすると、つくば市の価格の高さが際立っています。
つくば市の「~80平方メートル」の中古マンションは、水戸市や日立市より200万~300万円ほど高値で取り引きされています。
さらに高価格帯の「~90平方メートル」では、つくば市の中古マンションは水戸、日立の2市より約600万~700万円も高いのです。
つくば市に売却用の中古マンションを持っている方は、そろそろ販売活動に着手してもよいかもしれません。

古河市と守谷市が堅調

3大市以外では、古河市と守谷市の中古マンションの価格が安定しています。
古河市の「~90平方メートル」帯の平均価格は2,157万円で、「瞬間風速的」ではありますが水戸市を上回りました。古河市は県の最西部に位置し、県庁所在地の水戸市から遠く離れているのですが、その代わり古河市は「埼玉経済圏」に組み込まれています。また東北本線と国道4号が走っているので、鉄路でも道路でも東京にアクセスしやすいという地の利があります。
意外な立地のよさが、「穴場」中古マンションを探す人に好評なのでしょう。

守谷市の中古マンションは「~80平方メートル」で2,523万円、「~90平方メートル」で3,220万円と、人口3大市を上回りました。しかしこの価格は守谷市の立地を考えるとうなずけます。
守谷市は「つくば市に近いが、東京圏のほうがさらに近い」という好立地にあります。東京都心から35㎞という近さです。また首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスが通っているので交通の便もよく、将来的な経済発展が期待できます。
また守谷市は景観を大切にする市政運営をしていて、市民は「きれいな街」を誇りに感じています。
さらいに守谷市は、快適な住環境を維持するために、分譲マンションは82平方メートル以上とする規制を設けています。

古河市と守谷市は、「無理に東京や埼玉に住まなくてもよい」という合理的な考え方を重視する中古マンション購入希望者をひきつけているといえるでしょう。
両市に中古マンションを保有している不動産オーナーは、売却交渉には強気の姿勢で臨めるかもしれません。

茨城県の中古戸建ての売買状況

茨城県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
中古戸建ては、中古マンション市場の動向とはかなり異なる傾向を示しているので注意してください。

つくばエクスプレス沿線に戸建て建設攻勢

日本経済新聞は2015年6月に、戸建て建設・販売のグランディハウス株式会社(本社・栃木県宇都宮市)が、茨城県と千葉県のつくばエクスプレス沿線での営業強化に着手したと報じています。
営業強化の狙いは戸建ての新築販売の拡充で、正社員を20人増やして取り組むほどの力の入れようです。茨城県守谷市に新たに支店を設け、つくばエクスプレス沿線で年70~80棟の新規建設を目指します。
栃木県のグランディハウスが茨城・千葉に進出するその裏付けとなるのが、つくばエクスプレス沿線の市とその周辺の200万人に上る人口です。
つくばエクスプレス沿線を狙う戸建て建設・販売会社は、同社だけではありません。そのためつくばエクスプレス沿線市は良質な戸建てが多く建てられ、中古戸建て市場をしっかり支えているのです。

茨城県の中古戸建て市況

茨城県の中古戸建て市場は、100平方メートル以下の市場がほとんど形成されていないので、ここでは「101平方メートル~」帯のみを掲載しました。

茨城県の中古戸建て
地区 101m²~ 地区 101m²~
水戸市 2,126万円 筑西市 1,953万円
日立市 1,657万円 坂東市 1,293万円
土浦市 1,972万円 稲敷市 1,146万円
古河市 1,940万円 かすみがうら市 1,775万円
石岡市 1,762万円 桜川市 1,532万円
結城市 2,056万円 神栖市 1,908万円
龍ケ崎市 1,891万円 行方市 1,583万円
下妻市 1,711万円 鉾田市 1,278万円
常総市 1,856万円 つくばみらい市 2,369万円
常陸太田市 1,679万円 小美玉市 1,816万円
高萩市 1,666万円 東茨城郡茨城町 1,829万円
北茨城市 1,780万円 東茨城郡大洗町 1,709万円
笠間市 1,909万円 東茨城郡城里町 1,542万円
取手市 2,180万円 那珂郡東海村 1,957万円
牛久市 1,950万円 久慈郡大子町
つくば市 2,471万円 稲敷郡美浦村 770万円
ひたちなか市 2,014万円 稲敷郡阿見町 1,717万円
鹿嶋市 1,705万円 稲敷郡河内町 699万円
潮来市 2,099万円 結城郡八千代町 446万円
守谷市 2,712万円 猿島郡五霞町 1,484万円
常陸大宮市 2,236万円 猿島郡境町 2,298万円
那珂市 1,954万円 北相馬郡利根町 1,387万円

日立市が2,000万円割れ

まず注目しなければならないのは、日立市の中古戸建て平均価格が2,000万円を大きく割り込んでいることです。中古マンション価格は好調だっただけに、意外な結果といえます。

つくば・つくばみらい・守谷の「沿線3市」は全勝。隣接の取手市にも波及効果

次に紹介したいのは、つくばエクスプレス沿線の市である、つくば市の2,471万円、つくばみらい市の2,369万円、守谷市の2,712万円です。茨城県内のつくばエクスプレス沿線の市はこの3市だけなので「全勝」です。
そして、つくばみらい市と守谷市に接している取手市も、2,180万円と2,000万円越えを果たしています。「つくばエクスプレス沿線戸建て開発」の波及効果は絶大です。

古河市に接した結城市と境町は2,000万円超

中古マンション価格では健闘した古河市ですが、中古戸建て価格は1,940万円とわずかに2,000万円に届きませんでした。
しかし、結城市が2,056万円、境町が2,298万円と、いずれも古河市に接した2自治体が2,000万円越えを果たしました。
結城市と境町は、「古河市周辺に戸建てを持ちたい」という購入希望者のニーズをとらえることができたようです。

茨城県の土地の売買状況

茨城県内の土地の売買状況をみてみましょう。県全域を見渡すと厳しい結果になりました。

2018年基準地価は下落基調

2018年の茨城県内の基準地価では、工業地こそ前年比プラス0.8%でしたが、住宅地は前年比マイナス0.6%、商業地も前年比マイナス0.4%の1勝2敗です。
住宅地も商業地も27年連続の下落となりました。
ただ、地域ごとにながめていくと、明るい材料もありました。

やはり強い、つくばエクスプレス沿線

弱含みの茨城県の2018年基準地価でしたが、やはりつくばエクスプレス沿線は別格でした。地価が上昇に転じたところが多く、茨城県職員も「つくばエクスプレス沿線は下げ止まりが進んだ。底値感が出ている地域が拡大している」と胸をなでおろしています。

鹿嶋市、つくば市、守谷市、水戸市も好調

2018年基準地価の上昇率では、鹿嶋市が健闘しました。上昇率1位地点を含む6地点で前年より上昇し、上昇地点の多さランキングで県内1位を獲得しました。
一方、住宅地と商業地の地価上位ベスト5は、つくば市、守谷市、水戸市の3市が独占しました。

茨城県の土地市況

茨城県の土地市場は100平方メートル以下の市場がほとんど形成されていないので、ここでは「101平方メートル~」帯のみを掲載しました。

茨城県の土地
地区 101m²~ 地区 101m²~
水戸市 1,348万円 筑西市 744万円
日立市 844万円 坂東市 1,936万円
土浦市 1,020万円 稲敷市 696万円
古河市 653万円 かすみがうら市 1,295万円
石岡市 784万円 桜川市 1,635万円
結城市 750万円 神栖市 943万円
龍ケ崎市 712万円 行方市 720万円
下妻市 1,103万円 鉾田市 442万円
常総市 2,080万円 つくばみらい市 2,061万円
常陸太田市 791万円 小美玉市 601万円
高萩市 1,760万円 東茨城郡茨城町 774万円
北茨城市 480万円 東茨城郡大洗町 881万円
笠間市 1,052万円 東茨城郡城里町 516万円
取手市 986万円 那珂郡東海村 979万円
牛久市 752万円 久慈郡大子町 120万円
つくば市 1,492万円 稲敷郡美浦村 632万円
ひたちなか市 1,047万円 稲敷郡阿見町 809万円
鹿嶋市 705万円 稲敷郡河内町
潮来市 630万円 結城郡八千代町
守谷市 1,707万円 猿島郡五霞町
常陸大宮市 823万円 猿島郡境町
那珂市 951万円 北相馬郡利根町 450万円

注目したいのは「茨城県土地価格の陰」の部分です。101平方メートル以上の土地にも関わらず、大子町は120万円、利根町は450万円でした。利根町は千葉県に接し東京圏に近いだけに意外な結果といえそうです。

まとめ~茨城県のポテンシャルは高い

茨城県の不動産は決してブランド化されているとはいえません。しかし「わかる人にはわかる」という魅力を秘めていることは事実です。
「茨城県ならマイホームを持つことができる」というイメージは根強く、東京からの近さや交通の便に恵まれた地域では底堅い不動産市況を形成しています。
茨城県は土地としてのポテンシャルが高いだけに、その魅力が顕在化した時に中古不動産の価格上昇が期待できるでしょう。