石川県内の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と売却事例を紹介します。
石川県の場合、若干ではありますが土地の価格に上昇の兆しがみられます。すでに情報を入手している方は、「土地の価格は不動産全体の指標になるので、中古マンションや中古戸建てにも影響するかもしれない」と期待しているのではないでしょうか。
しかし、石川県内の土地価格の上昇は、あくまで「若干」であり「兆し」にすぎず、「もうしばらく待てばさらに価格が上がる」とまでは言い切れない。

ただ、石川県の県庁所在地の金沢市だけは例外です。
2015年3月に北陸新幹線「金沢~長野」間が開業し、金沢と東京が新幹線でつながりました。その経済効果は大きく、金融機関から「これほど新幹線効果が出た街はない」という声も出たほどです。この点は、本文のなかで詳しく紹介します。
「経済が好調だと不動産価格も上向く」という原則が見事に当てはまり、金沢市内の地価は順調に推移しています。

石川県内に売却用の中古マンション、中古戸建て、土地を持っている方は、「売り時」を逃さないように、不動産価格を左右する「石川経済」と「金沢経済」の両方をウォッチ(監視)することをおすすめします。

石川県の不動産の全体的な話題

その地域の中古不動産の価格は、地域経済に大きく左右されます。したがって石川県内の不動産の売却を考えている方は、石川県内の経済ニュースを注視し。

新幹線効果は「かなり大きい」

近年の石川県の経済ニュースで最も大きな出来事は北陸新幹線「金沢~長野」間の開業でしょう。
日本政策投資銀行は2016年12月に北陸新幹線の金沢延伸による1年間の観光関係の経済効果が、石川県内全体で678億円あったと発表しました。
金沢延伸前の2013年の同じ調査では124億円だったので、5.5倍に膨らみました。
日本政策投資銀行の担当者はマスコミの取材に対し、「石川県の観光地としての潜在力の高さは予想以上だった」「ここまで新幹線効果があった地域はほかにないだろう」などと述べています。

金沢市への新幹線効果は持続力もあり、JR西日本金沢支社によると、2017年の新幹線・金沢駅の乗降客数は1日平均22,895人で前年比1.0%増でした。この約2.2万人という数字は、新幹線・富山駅の乗降客数の3倍に当たります。
「金沢観光が固定化した」という声もいるほどです。

「金沢の一人勝ち」の実態とは

北陸新幹線効果は、石川県内で「金沢市の一人勝ち」状態をつくりました。金沢市には、日本3名園といわれ国指定特別名勝にもなっている「兼六園」があるだけでなく、北陸ナンバー1の商業地区「香林坊」があります。香林坊には日本銀行の支店や朝日新聞の支社などがあり、KOHRINBO109は渋谷109の地方初出店のファッションビルです。
金沢市は元々コンテンツも情報発信力もある地域でした。新幹線開業によってその情報が全国に届き「金沢ブーム」が起きたのです。

ホテル需要も旺盛で、新築建設や改築工事が進んでいます。金沢市内の客室数は、2020年には名古屋市を抜き全国トップ10入りするといわれています。
そして金沢観光にはリピーター率が高いという特長があります。
さらに新幹線開業以降の2年間で、石川県内に支社や営業所などを新設した企業は70社に達します。

経済が順調に回り始めると、企業が土地やオフィスを購入したり借りたりするので、不動産価格が上昇します。企業の拠点ができると社員が移住してくるので定住人口が増え、中古マンションや中古戸建ての需要も、価格上昇が期待できます。
金沢市はまさにその状態にあるので、市内に保有している中古マンション、中古戸建て、土地の売却を検討している方は、本格的販売活動に取り組んだほうがいいかもしれません。

というのも、金沢経済が「好調」と、「金沢ブーム」が起きたといっても、それは「地方都市のなかでは」という条件つきだからです。東洋経済の2018年11月の記事によると、「(金沢市内の)商業ビルには空室が目立ち、市中心部でも空き店舗は少なくない」状態です(*)。
すなわち、いつ金沢経済が減速してもおかしくないのです。金沢市内の不動産であろうと「売れる時が売り時」の原則は生きています。

石川県の中古マンションの売買状況

それでは不動産の種類ごとの売買状況をみていきましょう。
まず石川県内の中古マンションをみていくのですが、中古市場が形成されているのは金沢市だけですので、ここでも金沢市の中古マンション事情に焦点を当てます。

金沢市内の中古マンション価格に影響を与える「新築マンションが気になる」

金沢市内の中古マンションの価格動向をる前に、新築マンションの建設状況をみていきましょう。
新築マンションができると、その近隣の中古マンションの劣化が目立つようになるので、中古市場は落ちこみます。
しかし新築マンションが狭い範囲に複数棟建ったり、人気エリアにタワーマンションがつくられたりすると、地域がブランド化されていきます。新築マンションの入居者が「新住民」として地域を盛り立てることもあります。

こうした状況が生まれると、市民の間に「とにかくあの地域に住みたい」という気持ちが芽生え、新築マンションの価格が上昇していきます。そうなると「新築に住めないなら中古マンションでもいい」という人が増え、中古マンションの価格が上昇。
そこで次に、2019年1月現在の建設中または計画中の新築マンションを紹介します。

金沢市内の新築マンション建設は堅調

石川県金沢市広岡丁目の「ザ・レジデンス金沢」は、地下1階、地上15階建て、114戸で、2020年4月完成予定です。価格はまだ公表されていませんが、部屋の広さは50平方メートルから85平方メートルとなっています。
このマンションは、金沢駅西口大規模複合開発プロジェクトの一環で建てられます。最大の特長は、外資系ホテルのハイアットが「同居」することです。地下から2階までが商業施設で、3階から7階がホテル、そして分譲マンションは8階から15階となります。
北陸新幹線とJR北陸本線の共同駅である金沢駅まで160メートル、徒歩2分です。

金沢市大手町の「ザ・レーベン金沢城大手門」は、7階建て30戸の「小ぶり」ながら、住居専有面積69~83平方メートル、販売価格3,900万円~5,500万円と地方のマンションとしては強気の価格設定です。
それもそのはずで、大手町は金沢城公園に接し、兼六園までは500メートルほどの場所にあります。また近くには名古屋高等検察庁金沢支部、大手町病院、KKRホテル金沢、大樋美術館、伝統芸能体験館金澤侍館があります。
さらに大手町は、浅野川と犀川に挟まれた場所にあり、都心部の割に自然環境や景観に優れています。

金沢市内の新築マンションは、地域のブランド化に貢献できる高品質物件が多いといえるでしょう。

金沢市本多町3の5階建て2階、105平方メートル、2,480万円

それでは次に、金沢市内でどのような中古マンションが売りに出ているのか確認していきましょう。
金沢市本多町3の5階建て全37戸、1989年8月完成のマンションで、2階の105平方メートル、3LDKの部屋が売りに出ています。価格は2,480万円です。

築年数は「それなり」ですし2階ではありますが、本多町3丁目はかなり魅力的な地区です。本多町3丁目は兼六園に接し、金沢21世紀美術館や石川県立美術館、金沢ふるさと偉人館、石川護国神社、国立病院機構金沢医療センターなどがあります。
このマンションの住人のウォーキングコースは、かなり豪華です。
この地区に住むことができ、部屋の広さが100平方メートルを超えているなら、2,500万円を切る価格は十分検討の余地あり、ではないでしょうか。

金沢市駅西本町1の15階建て14階、82平方メートル、3,280万円

金沢市駅西本町1の15階建て全42戸、2008年9月完成のマンションで、14階の82平方メートル、2LKDの部屋が売りに出ています。価格は3,280万円です。

82平方メートルもあって2LDKなのは、居間を26帖も取っているからです。最近は無理して部屋を取るより、滞在時間が長い居間を豪華にするマンションが増えていて、こちらの物件もその流れに乗ったものといえます。

金沢市駅西本町1はその名のりJR金沢駅の西側にあり、近くにはホテルマイステイズプレミア金沢やアパホテル金沢駅前などの宿泊施設が。また駅西中央公園や駅西第3児童公園などもあり、都心部にありながら子育て環境が整っています。

地方の10年以上経過したマンションで、なおかつ100平方メートルを切っているので、3,000万円を大きく上回る価格は「やや高い」印象を受けるかもしれませんが、「人気の金沢の一等地」に住むプレミアム感を考慮すると、やはり「妥当」な価格となるのでしょう。

石川県の中古戸建ての売買状況

石川県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。

新設住宅着工戸数は「やや息切れ」か

戸建てやマンション、アパートを含む、石川県内の新設住宅着工戸数は、「やや息切れ」がみています。総数と前年比は以下のとおりです。

石川県内の新設住宅着工戸数の年次推移
単位:戸 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
総数 7,421 6,766 7,083 7,867 7,716
前年比
(マイナスは△)
15.80% △8.8% 4.70% 11.10% △1.9%

新幹線効果も「石川県全域」でみると薄まってしまうようです。

野々市市高橋町の築浅・豪邸は5,988万円

中古戸建て市場は、石川県内の地方部でも形成されています。
野々市市高橋木造2階建て、土地面積183平方メートル、建物面積165平方メートル、4SLDK、2015年5月完成の物件が5,988万円で売りに出ています。
木材をふんだんに使った特徴的な玄関をはじめとして、かなり豪華なつくりで、居間は20帖取って吹き抜けになっています。駐車場はゆうに2台停めることができます。

野々市市高橋町は金沢市に接していて、近くに北鉄石川線・野々市工大前駅があるなど立地に恵まれた土地です。
また野々市市高橋町には金沢工業大学があるので、若い人が多く活気ある街。

金沢市窪7のブランド戸建てが4,900万円

金沢市内の中古戸建てもみておきます。
金沢市窪7丁目の木造2階建て、土地面積317平方メートル、建物面積182平方メートル、5LDK、2009年1月完成の物件が4,900万円で売りに出ています。

こちらも「豪邸」といっていいでしょう。駐車場は4台分あります。軽自動車なら5台停めることができるかもしれません。
23帖の居間は広さだけでなく、居間の壁の2面には、床から天井までガラスになっているハイサッシがあしらわれているので解放感があります。
オール電化で食洗器もついています。
和室には最近の戸建てには珍しい立派な床の間がある一方で、居室はモダンな洋室になっています。広さからいっても、内装からいっても、2世帯住むことができそうです。
住友林業が施工した、ブランド戸建てでもあります。

金沢市窪7丁目は金沢駅まで道路距離で6.5キロ(車で16分)ほどあり、地方都市としては「メーン駅から離れている」と感じるかもしれませんが、金沢市は自家用車社会なので、交通の不便さはそれほど感じないかもしれません。
その代わり金沢市窪7丁目は、軽登山が楽しめる倉ヶ岳を含む山林地帯に近く、自然環境のよさが魅力です。都市部へのアプローチがよいのに自然に恵まれた環境は、地方都市に住む醍醐味といえるでしょう。

石川県の土地の売買状況

石川県内の土地の売買状況をみていきましょう。
2018年の県内の公示地価特徴。

  • 北陸3県のなかでは好調なほう
  • でも全国平均と比べると見劣りする
  • 金沢市の「一人勝ち」の様相を呈している

それでは詳しくみていきましょう。

2018年公示地価、全用途は「健闘」のプラス0.1%

2018年の全国と石川県の用途別の公示地価は以下のとおりです。変動率は「前年より何割上がったか、下がったか」という数字です。

2018年の石川県と全国の変動率の比較(△はマイナス)
  住宅地 商業地 工業地 全用途
石川県 △0.1% 0.70% 0.10% 0.10%
全国 0.30% 1.90% 0.80% 0.70%

石川県の住宅地と商業地と工業地のすべてを合わせた全用途の変動率では、プラス0.1%とかろうじてプラスを確保しました。ただ全国の全用途がプラス0.7%だったので、やや見劣りする数字です。

しかし石川県の全用途の平均価格は70,800円/平方メートルで、これは全国17位でした。石川県は全国的に「地価が高いほう」の県といえるのです。

さらに北陸3県のの2県である富山県と福井県と比較すると、石川県は「大健闘」しているといえます。。

2018年の北陸3県の変動率の比較
  住宅地 商業地 工業地 全用途
石川県(再掲) △0.1% 0.70% 0.10% 0.10%
富山県 △0.4% △0.2% 0.00% △0.3%
福井県 △1.2% △1.0% △0.4% △1.1%

北陸3県の全用途で変動率がプラスになったのは石川県だけですし、富山県と福井県にいたっては、全項目でマイナスかゼロとなっています。

さらに石川県の全用途の変動率の推移も「よい流れ」になって。

石川県の全用途の変動率の推移
  • 2014年:△2.2%
  • 2015年:△1.3%
  • 2016年:△0.1%
  • 2017年:プラス0.1%
  • 2018年:プラス0.1%

このように、じわりとマイナス幅を減らし、2017年からプラスに転じたのです。
ただ石川県の健闘ぶりは、金沢市が一手に担っている状態です。

金沢市一人勝ち状態

金沢市の公示地価の変動率の推移は以下のとおりです。

金沢市の変動率の推移
  住宅地 商業地 工業地 全用途
2014年 △0.6% △0.7% △2.7% △0.9%
2015年 0 1.30% △1.9% 0.20%
2016年 0.60% 5.40% △1.2% 1.90%
2017年 0.80% 4.50% △0.5% 1.80%
2018年 1.10% 3.20% 0.10% 1.60%

まずはポジティブな要素を挙げてみましょう。
金沢市の住宅地は3年連続で、商業地と全用途は4年連続で、変動率がプラスでした。これは金沢市内に売却用の土地を持っている人には「朗報」といえ。
さらに、住宅地についてはプラス幅が年々増えていて、値上がりに勢いが感じられます。

ただ、この表からはネガティブな要素もみつかります。
商業地と全用途は、プラス幅が縮小していて値上がりに勢いを感じることができません。しかも商業地は2016年のプラス5.4%という「驚異的な数字」を記録していただけに、2018年のプラス3.2%が見劣りします。

県内の2018年の1平方メートル当たりの最高地価は、

  • 住宅地の最高地価:金沢市彦三町1丁目の156,000円/平方メートル
  • 商業地の最高地価:金沢市本町2丁目の955,000円/平方メートル

でした。

これも北陸の他の2県からすると「うらやましい金額」といえます。富山県と福井県の2018年の1平方メートル当たりの最高地価は次のとおりです。

  • 富山県の住宅地の最高地価:富山市舟橋南町の110,000円/平方メートル
  • 富山県の商業地の最高地価:富山市桜町丁目の498,000円/平方メートル
  • 福井県の住宅地の最高地価:福井市宝永丁目の94,600円/平方メートル
  • 福井県の商業地の最高地価:福井市中央丁目の342,000円/平方メートル

北陸3県の「県庁所在地対決」では、金沢市の圧勝です。

石川県内の金沢市以外では「野々市市」と「津幡町」が健闘

石川県内すべての市町村の2018年の住宅地と商業地と全用途の変動率は以下のとおりです。

石川県の市町村別変動率2018年(単位:%、△はマイナス)
  住宅地 商業地 全用途
金沢市(再掲) 1.1 3.2 1.6
小松市 △ 0.4 △ 0.8 △ 0.5
白山市 △ 0.3 △ 1.1 △ 0.5
野々市市 2 0 1.5
内灘町 △ 0.3 記録なし △ 0.3
七尾市 △ 1.9 △ 1.8 △ 1.8
輪島市 △ 3.8 △ 2.5 △ 3.3
珠洲市 △ 5.1 △ 5.6 △ 5.3
加賀市 △ 1.8 0.6 △ 1.1
羽咋市 △ 3.4 △ 3.8 △ 3.5
かほく市 △ 0.7 △ 1.4 △ 0.9
能美市 △ 0.7 △ 0.7 △ 0.7
川北町 △ 0.6 0 △ 0.4
津幡町 2.1 0.4 1.4
志賀町 △ 3.4 △ 4.1 △ 3.7
穴水町 △ 4.5 △ 5.0 △ 4.6
能登町 △ 3.6 △ 4.9 △ 3.8

金沢市以外で3項目ともプラスまたはゼロとなったのは野々市市と津幡町でした。いずれも「王者」金沢市に接していることから、ベッドタウン化による地価上昇と推測できます。

野々市市民の金沢市への通勤率は4割近くに達するとのデータもあります。また野々市市には石川県立大学や金沢工業大学があり、20歳前後の人口が多いという特徴があります。
津幡町の金沢市への通勤率は4割を超えます。

また2018年の住宅地公示地価で、変動率が最も高かった地点は、野々市市中林2丁目のプラス7.5%(2017年40,000円/平方メートル→2018年43,000円/平方メートル)でした。
2位の金沢市広岡1丁目のプラス5.6%(2017年142,000円/平方メートル→150,000円/平方メートル)より、1.9ポイントも上回りました。

「金沢効果」が薄れたから? 能登半島先端の4市町は苦戦

一方、能登半島の先端に位置する珠洲市、輪島市、能登町、穴水町の4市町は全用途の値下げ率が高率になっています。金沢市から離れるほど「金沢効果が薄れる」ことが証明されてしまった形です。

魅力は上昇しているがそれでも「待つ」ほどではないかもしれない

石川県全体の不動産市場は、「普通の地方」同様に活気はみられません。しかし金沢市の不動産市場をみると、よい兆候が随所に現れます。その金沢効果は近隣市町にも及んでいます。
しかしそれでも、「売却予定の不動産を寝かしておいて値上がりを待つ」状況とはいえないでしょう。もちろん、複数の不動産会社が注目するような特別な不動産であれば別ですが、そうでなければやはり売れる時に売ってしまったほうがいいでしょう。
2019年10月の消費増税や2020年夏の東京五輪終了という「景気冷え込み要因」が控えているだけに、売り時を逸さないようにしたいものです。