日本3大経済圏とは首都圏、中京圏、近畿圏のことを指しますが、このうち中京圏のリーダー的な存在は名古屋市を有する愛知県です。
日本経済は「失われた20年」を脱した2013年ごろから上向き、2019年に入っても成長は継続しています。景気拡大期間は歴史的な長さになっています。

ただ今回の好景気は、高度経済成長期(1955~1973年)やバブル期(1986~1991年)のころの「全国的な盛り上がり」とは異なり、勝ち組と負け組の二極分化が鮮明になっています。そのなかにあって愛知県は勝ち組のなかでもトップグループに属します。

不動産市場の動向を探るうえで重要な指標である公示地価は、愛知県はここ数年前年比増を続けています。愛知県内に売却用の「中古マンション、中古戸建て、土地」を保有している方は、値上がりを待っているのではないでしょうか。

ただ不動産オーナーは、強気一辺倒でないほうがいいかもしれません。2019年10月には消費増税が控えてしますし、2010年夏には東京五輪が終了します。政府も経済界も「今の日本なら大丈夫」と強調しますが、国民にアピールする必要があるくらい消費増税と東京五輪後を恐れている、と捉えることもできます。

また、愛知県経済が好調といっても、不動産価格がバブル期のような「爆上げ(ばくあげ)」をするとは思えません。それならばピークアウト後の急落リスクを考慮して、上昇局面にある今、売却してしまうのも「手」です。
適切な売り時を判断するには、愛知県経済と日本経済の両方をウォッチし続ける必要があるでしょう。

愛知県の不動産の全体的な話題

最初に愛知県全体の経済状況を探っていきましょう。

日銀名古屋支店「景気は拡大している」(2019年1月)

日本銀行名古屋支店は2019年1月に東海3県(愛知、岐阜、三重)の金融経済動向を発表し、東海3県の景気は拡大しているとの見方を示しました。
その判断の根拠となったのは次の内容です。

  • 輸出:増加基調
  • 設備投資:幅広い業種で増加
  • 個人消費:緩やかに増加
  • 住宅投資:持ち直し
  • 公共投資:高めの水準で推移
  • 生産:増加基調
  • 雇用:労働需給が引き締まっている
  • 所得:改善

8項目ともポジティブな評価でした。
次に、このなかから住宅投資に焦点を当ててみましょう。

2018年新設住宅着工戸数は4年連続増

好景気を背景にして、愛知県内の2018年の新設住宅着工戸数は66,978戸と、前年比5.2%増でした。前年を上回るのはこれで4年連続です。
住宅の区分ごとの戸数は以下のとおりです。

2018年、愛知県の新設住宅着工戸数(利用関係別推移)
△はマイナス
区分 戸数(戸) 前年比(%) 前年比の推移
新設住宅計 66,978 5.20% 4年連続の増加
持家 19,428 △0.05% 2年連続の減少
貸家 27,107 3.20% 4年連続の増加
給与住宅 997 190.70% 2年連続の増加
分譲住宅 19,446 10.40% 4年連続の増加

前年割れしたのは持家だけで、それでも0.05%減の微減です。驚異的なのは給与住宅の190.7%増です。給与住宅とは社宅のことです。
いま日本全国のあらゆる業種で人手不足が深刻化しています。それは愛知県も例外ではないようで、愛知県内の企業は社宅の新設という大型投資をして人材確保に努めています。

一般的には、新設住宅着工戸数の増加は、売却用の中古マンションと中古戸建てのオーナーにとってはよいニュースとはいえません。日本人は新築物件を好み、中古物件を過度に敬遠する傾向があるからです。新設住宅着工戸数が好調ということは需要があるということなので、住宅の購入希望者が新築物件に流れていることを示唆します。

しかし、それはあくまで一般論です。
愛知県の県内総生産(名目GDP)はいま、都道府県別ランキングで大阪府を僅差で抜き全国2位になっています。

  • 1位:東京都 102.3兆円
  • 2位:愛知県 38.5兆円
  • 3位:大阪府 38.2兆円
  • 4位:神奈川県 32.2兆円
  • 5位:埼玉県 21.7兆円

(2015年度、内閣府調べ)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/pdf/gaiyou.pdf

これだけ経済規模が大きい愛知県では、新築物件が好調なら中古物件も好調と推測できますので、愛知県内の中古マンションと中古戸建てのオーナーは期待したいところです。
また土地オーナーは、新築需要が旺盛というだけで今後の値上がりが期待できます。

愛知県の中古マンションの売買状況

不動産の種類ごとに市況を見ていきましょう。
まず中古マンションの売買状況ですが、以下の市町でしっかりした市場が形成されています。
名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、知多市、知立市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、あま市、長久手市、西春日井郡豊山町、海部郡蟹江町、知多郡南知多町

下記の表は、ネット上に公開されている愛知県内の販売中の中古マンションを、延べ床面積ごとにわけ、平均価格を出したものです。
この表から、愛知県内の中古マンション市場の傾向を探っていきましょう。

<愛知県内の中古マンション売買状況>
(県内の市町村のうち中古マンション市場が形成されている市町のみを抽出)
単位:万円
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
名古屋市千種区 1,172 1,080 1,364 1,773 2,252 3,045 4,458 4,347
名古屋市東区 532 2,680 2,189 2,498 2,429 3,944 2,934 6,682
名古屋市北区 1,190 937 1,285 2,327 2,949 3,096 6,413
名古屋市西区 1,280 1,730 2,240 2,545 3,344 3,338
名古屋市中村区 1,155 1,480 1,530 1,380 2,199 2,850
名古屋市中区 1,155 1,547 1,702 2,213 2,653 3,605 3,890 15,500
名古屋市昭和区 290 1,498 1,694 2,686 2,661 3,133 3,777
名古屋市瑞穂区 1,355 2,080 2,329 3,002 4,250 3,786
名古屋市熱田区 450 640 1,719 1,908 3,310
名古屋市中川区 1,599 1,310 2,066 2,189 1,298
名古屋市港区 350 490 1,123 1,768 1,951
名古屋市南区 850 1,534 1,318 1,640 1,846
名古屋市守山区 1,281 1,861 1,937 2,150
名古屋市緑区 493 730 1,154 2,000 2,134 2,819 2,780
名古屋市名東区 1,161 1,151 2,272 2,845 3,850 4,201
名古屋市天白区 980 921 1,770 2,047 1,812 2,774 4,290
豊橋市 289 940 847 1,393 1,608 1,180 2,280
岡崎市 380 450 690 1,292 1,409 1,679 1,378 2,100
一宮市 1,190 398 530 1,086 1,772 1,852 2,510
瀬戸市 995 1,164 1,356 1,780
半田市 950 1,244 1,483 1,790 1,966
春日井市 352 371 909 1,728 1,833 1,045 2,126
豊川市 1,179 830 862 2,498
津島市 564 592 842 1,640 2,080
刈谷市 3,980 1,802 2,254 1,120
豊田市 398 690 1,112 1,620 1,845 2,505 2,915
安城市 712 2,022 1,452 2,725 3,339 3,440
西尾市 650 1,060 1,180
常滑市 948 1,630 2,198 1,350
江南市 200 1,365 1,269 1,055 1,883 1,780
小牧市 780 1,135 1,463 1,384 2,517 1,300
稲沢市 380 1,200 1,858 1,767 2,100
東海市 2,180 1,668 2,700 2,180
知多市 680 800 1,507 1,865
知立市 350 1,780 2,462 3,680
尾張旭市 580 1,153 1,533 1,810 2,080 2,280
豊明市 1,313 1,660 3,019
日進市 1,930 1,840 2,035 2,319 2,418
清須市 985 980 1,526 2,450 2,158 3,048
北名古屋市 980 1,237 1,402 2,300
あま市 278 830 1,059 1,280 2,335
長久手市 980 1,590 2,083 3,022 3,081
西春日井郡豊山町 1,480 1,480 2,139
海部郡蟹江町 1,136 850 2,067 2,280
知多郡南知多町 490 777 1,115 990 1,980

名古屋市では101平方メートル以上の中古マンションで、6,000万円超えが多数登場しています。東区6,682万円、北区6,413万円となり、中区では1.6億円を記録しています。
名古屋市以外で3,000万円を超えているのは、安城市の3,440万円、知立市の3,680万円、豊明市の3,019万円、清須市の3,048万円、長久手市の3,081万円となっています。

安城市、知立市、長久手市の3市は豊田市に接しています。
名古屋市に接しているのは、豊明市、清須市、長久手市です。長久手市は両市に接しています。
つまり「名古屋・豊田経済圏」の中古マンションは、高額になる傾向があるということになります。名古屋・豊田経済圏内に中古マンションを持つオーナーは、売り急ぐ必要はなく、オーナーの希望価格で購入してくれる買主が現れるのを待ってもいいでしょう。

名古屋市中区栄1丁目の38階104平方メートル、1LDK1.6億円の実力とは

それでは上記の表のなかから、注目すべき物件を見ていきましょう。
名古屋市中区栄1丁目にある40階建て全304戸のタワーマンションの38階104平方メートル、1LDKの部屋が1億5,500万円で売りに出ています。2017年11月に完成したばかりです。

104平方メートルの1LDKとはかなり大胆な間取りです。38帖のリビングダイニングキッチンと9帖の洋室のほかは、ウォークインクローゼット、浴室、洗濯室、トイレしかありません。
尖っているのは間取りだけでなく、内廊下には絨毯が敷かれていてホテルのような豪華さです。バルコニーからは大都市のビル群が一望できます。
入居者専用のタワーラウンジは富裕層向けマンションならではでしょう。

名古屋市中区栄1丁目は名古屋駅から直線距離で1キロほどの場所にあり、近隣にはヒルトン名古屋、名古屋商工会議所、白川公園、名古屋市科学館、名古屋市中スポーツセンターなどがあります。経済の中心地でありながら住環境も整っています。

築浅、階数、広さ、設備、立地からすると1.6億円は妥当な価格でしょう。

トヨタ本社工場の「真ん前」の8階99平方メートル4LDKの物件は2,580万円

豊田市山之手3丁目にある11階建て全20戸のマンションの8階99平方メートル、4LDKの部屋が2,580万円で売りに出ています。1999年3月完成です。
豊田市山之手3丁目はトヨタ自動車本社工場の「真ん前」の地区です。山之手3丁目を含め周辺地域には住宅地が広がっていて「トヨタの人が住む街」が広がっています。
近くにはトヨタ記念病院、トヨタグラウンド、トヨタ自動車本館ホール、トヨタ会館といった施設が建ち並びます。

この場所、この建物条件、階数、広さ、築年数からすると、2,580万円は割安感すらあります。ただこれだけ「トヨタな街」の物件ですので、トヨタ関係者以外には必要とされない物件といえるかもしれません。その「汎用性のなさ」からすると、妥当な価格といえます。

愛知県の中古戸建ての売買状況

愛知県内の中古戸建て市場の特徴は、名古屋・豊田経済圏だけでなく、地方でも広めの住宅が多数売りに出ている点です。
下記の表は、特に市場が活況を呈している101平方メートル以上の中古戸建ての平均価格です。「市場がない」ことを示すため、あえて数字がない自治体名も掲載しました。

<愛知県内の中古戸建て売買状況>(101平方メートル以上の物件の平均価格)
地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~
名古屋市千種区 5,680万円 春日井市 2,931万円 田原市 2,316万円
名古屋市東区 6,684万円 豊川市 2,441万円 愛西市 2,079万円
名古屋市北区 3,316万円 津島市 2,272万円 清須市 3,178万円
名古屋市西区 3,615万円 碧南市 2,706万円 北名古屋市 2,982万円
名古屋市中村区 3,904万円 刈谷市 3,977万円 弥富市 2,345万円
名古屋市中区 豊田市 3,560万円 みよし市 3,490万円
名古屋市昭和区 5,876万円 安城市 3,742万円 あま市 2,394万円
名古屋市瑞穂区 5,987万円 西尾市 2,573万円 長久手市 4,210万円
名古屋市熱田区 3,611万円 蒲郡市 2,250万円 愛知郡東郷町 3,301万円
名古屋市中川区 3,111万円 犬山市 2,438万円 西春日井郡豊山町 2,883万円
名古屋市港区 2,990万円 常滑市 2,165万円 丹羽郡大口町 2,911万円
名古屋市南区 3,384万円 江南市 2,481万円 丹羽郡扶桑町 2,411万円
名古屋市守山区 3,134万円 小牧市 3,170万円 海部郡大治町 2,411万円
名古屋市緑区 3,813万円 稲沢市 2,600万円 海部郡蟹江町 2,624万円
名古屋市名東区 4,275万円 新城市 2,005万円 海部郡飛島村
名古屋市天白区 3,775万円 東海市 3,016万円 知多郡阿久比町 2,629万円
豊橋市 2,622万円 大府市 3,635万円 知多郡東浦町 3,075万円
岡崎市 3,189万円 知多市 2,635万円 知多郡南知多町 2,239万円
一宮市 2,658万円 知立市 3,484万円 知多郡美浜町 1,617万円
瀬戸市 2,534万円 尾張旭市 2,981万円 知多郡武豊町 2,433万円
半田市 2,674万円 高浜市 2,927万円 額田郡幸田町 2,964万円
岩倉市 2,910万円 北設楽郡設楽町
豊明市 3,524万円 北設楽郡東栄町
日進市 3,633万円 北設楽郡豊根村

名古屋市中区は地価が高すぎるため、101平方メートル以上の中古戸建てが「品薄」状態になっています。
名古屋市内で平均価格が5,000万円を超えているのは、千種区、東区、昭和区、瑞穂区の4区でした。
それではこの表のなかから、特徴的な物件を紹介します。

名古屋駅徒歩7分の鉄筋コンクリート3階建て7LDKの物件は1.4億円

名古屋市中村区は、名古屋駅西口前に広がる地域です。
その中村区竹橋町で、鉄筋コンクリート3階建て、土地面積188平方メートル、建物面積246平方メートル、7LDKの物件が1億3,500万円で売りに出ています。名古屋駅まで徒歩7分という立地のよさです。
1975年6月完成という、かなり築年数が経過した物件ですが、1億超えに異論はないでしょう。

白い漆喰調の壁が特徴的な家で、3階建てだけあって地域のシンボル的な建物です。
周辺にはホテル、飲食店、ビックカメラ名古屋駅西店、区役所などがあり、都市機能が充実しています。その一方で名古屋市立牧野小学校や牧野公園などの住環境も整っています。

長久手市岩作三ケ峯の木造2階104平方メートル、2SLDK、4,400万円の物件の実力とは

長久手市は名古屋市と豊田市の両方に接する、国内有数のベッドタウンです。
その長久手市の岩作三ケ峯地区で、木造2階建て、土地面積205平方メートル、建物面積104平方メートル、2SLDK、4,400万円の物件が売りに出ています。2014年3月完成です。

この物件は住友林業が施工した注文住宅で、駐車場は3台分確保されていて、庭も広めです。
104平方メートルもの広さがあるのに2SLDなのは、リビングダイニングキッチンを25帖も取っていて、吹き抜けにしているからです。
さらに人造大理石を使った浴槽やカフェのようなカウンターキッチン、凝ったデザインの洗面台など、こだわりが強い家なので「好きな人は好きになる」でしょう。
立地も魅力です。
愛・地球博記念公園が散歩エリアにあり、福友病院、イケア、トヨタ博物館、東名高速道路・日進ジャンクション、愛知県立芸術大、愛知県農業大学校、名古屋商科大学などへのアクセスも良好です。
築浅でもあり、この条件で4,000万円台であれば納得の価格といえます。

愛知県の土地の売買状況

愛知県の2018年の公示地価の平均変動率(前年比)は、住宅地が0.6%上昇、商業地が3.1%上昇しました。住宅地は前年の0.4%上昇から0.2ポイントアップ、商業地は前年の2.4%上昇から0.7ポイントアップと、上昇幅も拡大しています。
前年を上回るのは住宅地、商業地ともに6年連続で、愛知県の地価と経済の強さを証明しています。

全体的にまんべんなくよい

2018年の愛知県の公示地価の特徴は、「全体的にまんべんなくよい、またはよくなっている」ことです。
住宅地の上昇地点数は51.9%で、前年の49.5%より拡大しています。そして住宅地の下落地点数は22.4%で、こちらも前年の23.6%から改善しています。
商業地も「上昇地点数:2017年59.9%→2018年65.3%:拡大」「下落地点数:2017年14.5%→14.0%:改善」と順調です。

公示地価を調査した愛知県は、地域別の傾向について次のように考察しています。

・住宅地でも商業地でも、名古屋市、尾張地域(*)、西三河地域(*)の上昇が拡大し、知多地域(*)、東三河地域(*)は下落幅が縮小した

地域別の住宅地と商業地の平均変動率(前年比)は以下のとおりです。

単位:%
△はマイナス
住宅地 商業地
2018年 2017年 2018年 2017年
愛知県 0.6 0.4 3.1 2.4
名古屋市 1.6 1.4 6.5 5.3
尾張地域 0.8 0.7 0.9 0.8
知多地域 △ 0.5 △ 0.6 △ 0.7 △ 1.1
西三河地域 1.4 1 1.4 1
東三河地域 △ 1.1 △ 1.4 △ 0.6 △ 0.9
都市計画区域外 △ 1.8 △ 1.5 △ 2.8 △ 3.5

*それぞれの地域に属する市町村は以下のとおりです。

尾張地域 一宮市、瀬戸市、春日井市、津島市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、尾張旭市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、飛島村
知多地域 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町
西三河地域 岡崎市(都計内)、碧南市、刈谷市、豊田市(都計内)、安城市、西尾市、知立市、高浜市、みよし市、幸田町
東三河地域 豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市(都計内)、田原市
都市計画区域外 岡崎市(都計外)、豊田市(都計外)、新城市(都計外)、設楽町、東栄町、豊根

愛知県公示地価の全国での位置付けとは

愛知県の2018年の公示地価の好調ぶりは、全国平均と比べるとより鮮明になります。

<愛知県や全国平均などの平均変動率>
単位:%
△はマイナス
住宅地 商業地
2018年 2017年 2018年 2017年
愛知県 0.6 0.4 3.1 2.4
全国平均 △ 0.3 △ 0.6 1.1 0.5
3大都市圏 0.7 0.4 4.2 3.5
東京圏 1 0.6 4 3.3
大阪圏 0.1 0 5.4 4.5
名古屋圏 0.8 0.6 3.3 2.6
地方圏 △ 0.8 △ 1.0 △ 0.1 △ 0.6
東京都 2.4 1.8 5.9 4.9

愛知県と全国平均を比較すると、愛知県の強さは歴然としています。2018年の愛知県は全国平均より住宅地で0.9ポイント、商業地で2.0ポイント上回っています。
ただ、3大都市圏平均と愛知県を比較すると、やや見劣りします。2018年の愛知県は3大都市圏平均より住宅地で0.1ポイント、商業地で1.1ポイント下回っています。
しかしこれを悲観する必要はないでしょう。2018年の愛知県と大阪圏を比較すると、住宅地は愛知県が上回り、商業地は大阪圏が上回っていて1勝1敗です。

ところが東京都と愛知県を比較すると勝負になりません。2018年の愛知県は東京都より住宅地で1.8ポイント、商業地では2.8ポイントも下回っています。さすがは王者東京といったところでしょう。

名古屋市の公示地価の実力

愛知県の県庁所在地にして全国有数の大都市である名古屋市の2018年の公示地価の平均変動率(前年比)を確認しておきましょう。

  • 名古屋市の住宅地1.6%増、商業地6.5%増
  • 愛知県の住宅地0.6%増、商業地3.1%増

名古屋市の数値は愛知県の数値の内数です。名古屋市の地価が愛知県全体を押し上げていることがわかります。

そして名古屋市の平均変動率の推移は次のとおりです。

住宅地

2014年2.4%→2015年1.9%→2016年1.4%→2017年1.4%→2018年1.6%

商業地

2014年3.1%→2015年4.7%→2016年5.3%→2017年5.3%→2018年6.5%

2019年まで続く国内の好景気は2013年に始まりました。
好景気と経済の活性化と商業地需要は密接不可分の関係にあるので、大都市・名古屋市の商業地の平均変動率が2014年に3.1%増を記録し、その後も4%台、5%台、6%台と順調に上昇したことがこの関係の正当性を如実に表しています。
名古屋市内の商業地のオーナーは、確実に好景気の果実を得ているといえます。

商業地に比べると住宅地は1~2%台の上昇にとどまっていますが、それでも2018年の上昇率は2017年の上昇率より0.2ポイント上回っています。再び上昇基調に乗ることができたのは名古屋経済の底力のなせるわざといえます。

次に愛知県内の市町村別の住宅地平均価格ランキング(2018年)を見てみましょう。

  • 1位 名古屋市:181,500円/平方メートル
  • 2位 刈谷市:139,100円/平方メートル
  • 3位 知立市:134,300円/平方メートル
  • 4位 長久手市:132,000円/平方メートル
  • 5位 日進市:125,500円/平方メートル

2~5位の刈谷市、知立市、長久手市、日進市はすべて名古屋市と、トヨタ自動車の本社(豊田市トヨタ町1番地)がある豊田市の間にあります。名古屋にもトヨタ自動車にも近い立地が高値の要因といえます。
このランキングだけ見ると、1位名古屋市の約18万円/平方メートルは、2位刈谷市の約14万円/平方メートルより4万円/平方メートル高いだけです。この数字を見ると名古屋市の「独り勝ち」とはいえません。

ところが名古屋市内の区別の住宅地平均価格ランキングを見てみると、名古屋市の強さの秘密がわかります。

  • 1位 中区:845,000円/平方メートル
  • 2位 東区:311,000円/平方メートル
  • 3位 昭和区:293,300円/平方メートル
  • 4位 千種区:272,300円/平方メートル
  • 5位 瑞穂区:243,700円/平方メートル

1位中区は、名古屋市平均の実に4.7倍(=845,000÷181,500)にもなります。

名古屋市・豊田市と離れるほど下落率が高くなる

ここまで愛知県内の勢いのある部分を見てきましたが、さすがの愛知県でも郡部は地価が値下がりしています。
名古屋市と豊田市から離れる自治体ほど平均変動率の下落幅が拡大しています。

<2018年住宅地、市町村別平均変動率下位順位>(△はマイナス)

  • 1位 南知多町:△5.2%
  • 2位 美浜町:△4.8%
  • 3位 東栄町:△4.5%
  • 4位 新城市:△3.2%
  • 5位 田原市:△2.8%

<2018年商業地、市町村別平均変動率下位順位>

  • 1位 南知多町:△5.5%
  • 2位 新城市:△4.8%
  • 3位 設楽町:△3.5%
  • 4位 美浜町:△3.1%
  • 5位 田原市:△2.8%

知多半島の最先端に位置する南知多町は住宅地と商業地で「不名誉な2冠」となってしまいました。南知多町と接する美浜町も2つのランキングに入ってしまっています。
知多半島の対岸にある渥美半島の最先端の田原市も2つのランキングで5位になっています。

名古屋市と豊田市から離れるほど地価が下がるということは、それだけ名古屋市と豊田市の影響力が強いということです。

まとめ~「東京と大阪の間」「トヨタ」地価の安定は当然か

愛知県は、東京と大阪の間にあり、県庁所在地の名古屋市は独自の文化と圧倒的な経済力で全国的な知名度を誇り、世界最大級の企業、トヨタ自動車を抱えています。
日本経済のけん引役となる県であり、人もビジネスも集まります。
そのような地域の地価が上昇基調にあるのは当然といえば当然です。
また中古マンションや中古戸建ての価格も、名古屋などの主要市だけでなく、愛知県内の広い範囲で安定しています。
もちろん不動産価格は完全には回復していないので油断は禁物ですが、それでも愛知県内の不動産オーナーは、全国的に見て恵まれているといえます。