宮崎県内に売却用の「中古マンション、中古戸建て、土地」を所有している人は、すぐに売る準備に取りかかったほうがよいでしょう。不動産市場が九州のなかでも際立って低迷しています。
県庁所在地の宮崎市経済は、地元紙の記者が「悪循環が出来上がってしまった」と嘆くほど悪化しています。地元の経済人も先行きを不安視しています。
そして中古不動産の価格に影響を与える新設住宅着工戸数も低空飛行状態に入ってしまいました。
さらに宮崎県内の土地の価格も県庁所在地の宮崎市を含め値下がり傾向が止まりません。
宮崎県内の不動産オーナーは「売れるうちに売ってしまう」というスタンスでいたほうがいいでしょう。そして、少なくとも不動産仲介会社に連絡を取り、売却用不動産の査定をしてもらいましょう。
査定額さえ把握しておけば資金計画が立ちますし、いつでも売却活動を始めることができます。
- 宮崎県内の不動産価格が値上がりするのは難しい
- 値上がりを待って売却を延期するのはリスキー
- 仲介会社に連絡を取り査定や市況の情報を得ましょう
宮崎県の中古マンションの売買状況
不動産の種類ごとに動向をみていきましょう。
まず宮崎県内の中古マンションの売買状況ですが、市場らしい市場は宮崎市内にしか存在しません。
不動産調査会社によると、宮崎市内の中古マンションの平均価格は1,716万円でした。間取りごとの平均価格は以下のとおりです。
宮崎市の中古マンション相場 | |
---|---|
全体 | 1,716万円 |
2LDK~3DK | 1,381万円 |
3LDK~4DK | 1,970万円 |
4LDK以上 | 1,884万円 |
「3LDK~4DK」の平均価格は「2LDK~3KD」の43%増となっています。
全国的には、狭い3LDKより広い2LDKを好む傾向がみられますが、宮崎市内ではそうはなっていない模様です。
3LDKのマンションを売る方は期待できます。
また、一般的には「3LDK~4KD」より高価になるはずの「4LDK以上」が逆に安くなっています。
ここから、宮崎市内では広すぎるマンションは需要が低いことがわかります。
宮崎県民は、広い中古マンションなら広い中古戸建てを求めるのでしょう。地方都市ではそのような特徴がよくみられます。
4LDK以上のマンションの新築価格は相当高値だったはずです。しかしそれを中古で売るときは3LDKのマンションより値下がり幅が大きくなってしまうのです。「厳しい現実」といえるでしょう。
それでは個別の物件をみていきます。
宮崎市宮崎駅東3丁目、15階、100平方メートル3LDKが3,300万円
宮崎市宮崎駅東3丁目にある15階建て全91戸のマンションの最上階、100平方メートル3LDKの部屋が3,300万円で売りに出ています。2009年4月完成です。
敷地内いっぱいに庭木が植えられた、緑あふれる気持ちのよいマンションです。
エントランスにつながるアプローチはその木々のなかを通っていきます。エントランスを入ると広々した空間が広がります。エントランスの内装は白を基調にしていて、南国宮崎らしい雰囲気を醸し出しています。
室内は100平方メートルもあるので、3部屋取ってもリビングダイニングは20帖もあります。キッチンは対面式で使い勝手がよさそうです。窓は天井から床までガラスになった「掃き出し窓」で開放感があります。
浴槽、洗面台、トイレの水回りの設備は、築10年前とは思えないほど奇麗な状態を保っています。
ペントハウスに相応しい内容といえるでしょう。
宮崎駅東3丁目は、その名のとおりJR宮崎駅から300メートルほど北東に位置する場所にあります。地区内にはマックスバリュ宮崎駅東店、ホームプラザナフコ宮崎店、フーデリー青葉店があり、日々の買い物に困ることはないでしょう。
このほか周辺には宮崎市総合体育館、宮崎市中央公園、ホテル、学校があるなど、住環境は申し分ありません。
立地のよさと物件の内容からすると、3,300万円はお買い得といえるでしょう。買い手としてはありがたい条件ですが、売主からすると「厳しい現実」を突き付けられた思いでしょう。
宮崎市出来島町の2階98平方メートル4LDKが2,130万円
宮崎市出来島町にある14階建て全143戸のマンションの2階、98平方メートル4LDKの部屋が2,130万円で売りに出ています。2013年9月完成です。
地方の大規模マンションらしく、マンション前に広々とした駐車スペースが取ってあり解放感があります。立体駐車場への入庫が苦手な人には歓迎されるでしょう。
4部屋取っていますが98平方メートルもあるのでリビングダイニングも十分な広さがあります。リビングダイニングには、やはり掃き出し窓が使われています。
対面式のキッチン、浴槽、トイレ、洗面台は標準タイプで使い勝手はよさそうです。
宮崎市出来島町は大淀川の河口に面した地区で、太平洋まで2キロほどです。
JR南宮崎駅まで道路距離で2.6キロです。周囲は住宅街を形成していて、保育園、小学校、中学校、クリニック、スーパー、書店などがあり、生活に不便を感じることはないでしょう。
築浅物件でこれだけの条件であれば、2,000万円を少し上回るだけの価格は値ごろ感があります。
都城市年見町の6階73平方メートル3LDKが1,830万円
宮崎市以外の物件をみておきましょう。
都城市年見町にある10階建て全47戸のマンションの6階、73平方メートル3LDKの部屋が1,830万円で売りに出ています。2008年1月完成です。
73平方メートルで3LDKですが、リビングダイニングは17.5帖を確保しています。ただその分、3つの部屋は6帖、5.1帖、4.3帖と少々手狭感があります。
「半分」対面式のキッチンは人造大理石をトップに使っていて、デザイン性に優れています。トイレと洗面台は一般的なグレードですが、浴室はクオリティの高さが光ります。
都城市年見町はJR都城駅から1キロほどの場所に位置し、イオンモール都城駅前店が駅のすぐ目の前にあります。その他にも地区内には商業施設が並びます。幼稚園、小中学校、高校、南九州大は徒歩圏内です。
年見町を含む都城市の中心部は、四方を山岳地帯に囲まれた平野部で、決して便利な土地とはいえません。ただJR都城駅から宮崎駅まではJRで50分ほどです。
田舎に住みたいが完全に都会から離れたくない人には、2,000万円を大きく割り込むこの価格は魅力的に映るでしょう。
宮崎県の中古戸建ての売買状況
宮崎県内の中古戸建て市場は、中古マンション市場よりはしっかり形成されています。
県全体の平均価格は1,672万円で、この価格を上回ったのは宮崎市の2,026万円だけでした。宮崎市の市場が県全体の中古戸建て市場をけん引していることがわかります。
宮崎市以外の中古戸建てオーナーは、安値での売却を覚悟しなければならないかもしれません。
宮崎県内の中古戸建ての価格相場 | |
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宮崎県全体 | 1,672万円 |
宮崎市 | 2,026万円 |
都城市 | 1,248万円 |
延岡市 | 1,770万円 |
日南市 | 1,487万円 |
小林市 | 1,000万円 |
串間市 | 1,242万円 |
北諸県郡三股町 | 1,449万円 |
児湯郡高鍋町 | 1,487万円 |
それでは個別の物件を確認していきましょう。
宮崎市江平西1丁目の117平方メートル4LDKが3,980万円
宮崎市江平西1丁目にある軽量鉄骨2階建て、土地面積148平方メートル、延床面積117平方メートル4LDKが3,980万円で売りに出ています。2012年11月完成です。
敷地がこれだけ広いので、駐車スペースは3台分確保されています。外観はベージュを基調にした落ち着いた雰囲気です。リビングダイニングはたっぷり18帖取ってあり、対面式キッチンは上部に棚がないすっきりタイプです。
システムキッチンは高価なものが使われています。浴槽の設備のクオリティも申し分ありません。
室内は、クリーム色の壁紙と明るい茶色のフローリングで統一され、清潔感があります。
宮崎市江平西1丁目はJR宮崎駅の北西1.5キロほどの場所にあり、広大な住宅街の一角をなしています。周辺には学校、飲食店、商業施設、クリニックが多く、市民の憩いの場である「馬のいる公園」まで1キロほどです。
半径3キロ以内には、宮崎市郡医師会病院、宮崎善仁会病院、宮崎生協病院、平和台病院、宮崎中央眼科病院があり、高齢者がいる世帯でも安心できます。
土地の広さ、住宅の内容、住環境からすると約4,000万円は妥当といえるでしょう。
軽量鉄骨は値が下がりにくい傾向がありますが、それでもこれだけしっかりした価格がついているのは、宮崎県民の戸建て志向の強さのおかげでしょう。
日南市北郷町の153平方メートル4SLDKが1,298万円
日南市北郷町にある木造2階建て、土地面積454平方メートル、延床面積153平方メートル4SLDKが1,298万円で売りに出ています。1992年8月完成です。
築30年にせまる物件ですが、内外装のリフォームだけでなく基礎部分の補修も済んでいる物件ですので、「古さ」はまったくありません。駐車スペースはゆうに5台は停めることができ、屋根も設置されています。
リビングダイニングは19帖あり、キッチンは対面式です。トイレ、浴室、洗面台もほぼ新品なので快適です。
和室は床の間がある伝統的なタイプです。もちろん畳も張り替え済みです。手すりも取り付けられていて、バリアフリー化も万全です。
日南市北郷町はJR北郷駅を中心にした地区で、広渡川が流れる自然豊かな場所です。
地区内にはゴルフ場もあります。また東九州自動車道の始点が近くにあって交通の便は申し分ありません。
JR北郷駅周辺以外は山間部が広がっているので、快適な住宅で田舎暮らしをしたい人におすすめできる物件です。
高鍋町大字上江こだわりの平屋が3,800万円
宮崎県内の郡部の物件を紹介します。
高鍋町大字上江にある木造1階建て、土地面積1,162平方メートル、延床面積180平方メートル5LDKが3,800万円で売りに出ています。2011年10月完成です。
1,000平方メートルを超える土地、180平方メートルの平屋というだけで、こだわり感が伝ってくると思います。
外観は白塗りの一般的な住宅ですが、一歩家のなかに入ると、ふんだんに使われている木材に圧倒されるでしょう。
22帖のリビングダイニングだけでなく、居室にもトイレにも廊下にも大量の木材が使われています。内装はログハウスのようなのに、外観はあえて一般住宅ふうにしているところにもこだわりが出ています。
平屋ですが、屋根裏部屋があり、大人の隠れ家にしてもいいですし、子供の遊び場にすることもできます。
高鍋町大字上江は太平洋にほど近い場所にあり、近くには小丸川が流れています。保育園や小中学校、高校も周囲にありますので、子育て世帯には便利です。
JR高鍋駅までは4キロほどとやや遠いのですが、地区内に東九州自動車道の高鍋インターチェンジがありますので、自家用車があれば生活に支障を来すことはなさそうです。
決して安い価格ではありませんが、この家の価値がわかる人であれば納得できると思います。
宮崎県の土地の売買状況
宮崎県の2018年の公示地価をみていきましょう。金額は1平方メートル当たりの平均価格で、△はマイナスです。
- 全用途:平均価格39,400円/平方メートル、平均変動率(前年比)△0.7%減
- 住宅地:32,300円/平方メートル、△0.5%減
- 商業地:57,700円/平方メートル、△1.3%減
- 工業地:25,600円/平方メートル、△0.6%減
4指標とも平均変動率がマイナスになっています。
全国平均と地方圏平均の平均変動率と比べてみましょう。
- 住宅地:0.3%増
- 商業地:1.9%増
- 工業地:0.8%増
- 住宅地:△0.1%減
- 商業地:0.5%増
- 工業地:0.2%増
全国平均は、住宅地、商業地、工業地ともに前年を上回っています。地方圏平均も、住宅地がわずかに前年割れしただけで、商業地も工業地も前年比増となっています。
宮崎県の数字が「いかに悪いか」がわかると思います。
さらに衝撃的な数字
宮崎県内の土地オーナーに、さらに衝撃を与える数字があります。
2018年の九州・沖縄地方の地価の平均変動率は次のとおりでした。
- 住宅地:1.0%増
- 商業地:1.8%増
- 工業地:1.5%増
九州・沖縄地方の地価は、全国平均をはるかに上回る好調ぶりです。当然ですが、この数字のなかに宮崎県の平均変動率も入っています。
宮崎県の公示地価は、九州・沖縄地方の負け組に入っています。
人口トップ3の市でも「全滅」
宮崎県の公示地価が弱いのは、本来、県全体をけん引しなければならない県庁所在地や人口が多い市が不調だからです。
宮崎県には人口10万人を超えている市が3つあり、宮崎市40万人、都城市16万人、延岡市12万人となっています。
3市の2018年公示地価の平均変動率は以下のとおりです。
- 全用途:△0.1%減
- 住宅地:0.0%横ばい
- 商業地:△0.2減
- 工業地:△0.4%減
- 全用途:△1.7%減
- 住宅地:△1.4%減
- 商業地:△2.4%減
- 工業地:データなし
- 全用途:△0.6%減
- 住宅地:△0.3%減
- 商業地:△1.1減
- 工業地:△1.0%減
唯一、宮崎市の住宅地が横ばいだった以外は、全項目で前年割れしています。
宮崎県内の郡部はさらに深刻
宮崎県内には27の市町村がありますが、公示地価の対象になっているのは9市10町だけです。そしてその19市町で平均変動率がプラスになったところはひとつもありません。
全用途の平均変動率が△2.0%減より悪かったのは、
- 日南市(△2.2%減)
- 串間市(△3.1%減)
- えびの市(△2.7%)
- 高原町(△3.3%減)
上記となっています。
日南市は宮崎市と接していて、串間市は日南市と接しています。つまり県庁所在地の経済効果は、隣接自治体に届いていないのです。
そして、えびの市と高原町は九州の内陸部に位置し、面積のほとんどを山岳地と森林地帯が占めます。
宮崎県の公示地価は、本来けん引すべき宮崎市などが引っ張ることができず、さらに郡部の自治体が足を引っ張っているために、九州・沖縄地方のなかで目立って悪い結果になっているのです。
宮崎県の不動産の全体的な話題
宮崎県の不動産全体の価格に影響を与えそうな話題を紹介します。
企業マインドは冷え込んでいる
財務省・宮崎財務事務所は2019年4~6月期の「法人企業景気予測調査(宮崎県の概要)」を発表しました。
宮崎県内の資本金1千万円以上の企業を対象に景気の見通しを尋ねたところ、製造業では「状況が上昇する」と答えた企業が、「状況は下降する」と答えた企業を上回りましたが、非製造業は「状況は下降する」と答えた企業が上回りました。
売上高は、製造業は平均2.0%の増収を見込み、非製造業は平均2.7%の増収を見込んでいます。これはよい数字ですが、経常利益では、製造業は平均△1.9%の減収を見込み、非製造業は平均△13.6%の減収を見込んでいます(△はマイナス)。
つまり製造業でも非製造業でも、宮崎県内の企業は「今後忙しくなるだろうが、ますます儲からなくなる」とみていることがわかります。
そして設備投資は、製造業は△11.3%の減少を見込み、非製造業は△33.1%の減少を見込んでいます。「儲からないだろうから設備投資は控える」と判断しているわけです。
宮崎県内の企業マインドは冷え込んでいて、これでは不動産の値上がりは期待できそうにありません。
宮崎県・統計調査課が2019年3月に公表した「宮崎県経済の動き(2018年)」でも、財務省・宮崎財務事務所と似た報告がなされています。
2018年の宮崎県経済の全体の概況は、
- 鉱工業指数がやや上昇
- 消費は一進一退
- 観光面は順調な伸び
- 雇用環境は改善
- 企業は人手不足感が強い
といった内容になっています。
「宮崎県経済の動き(2018年)」で特に気になるのは、新設住宅着工戸数が前年比で減少していることです。
この数字は中古マンションや中古戸建ての価格に影響するので、不動産オーナーはしっかりチェックしておいてください。詳しくは次の章で解説します。
新設住宅着工戸数が不調
日本人は新築志向がとても強いその一方、中古住宅を敬遠する傾向があるので、新築市場が冷え込む前に中古住宅市場が落ち込みます。
宮崎県内の中古住宅市場は小さいのでしっかりした指標がありません。そのため新設住宅着工戸数は中古住宅市場の先行指標としてとても重要です。
新設住宅着工戸数の推移(単位:件) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
宮崎県 | 前年比 | 全国 | 前年比 | |||
2018年 | 6,591 | -5.00% | 2011年比 -20.5% |
952,936 | 0.70% | 2011年比 13.3% |
2017年 | 6,936 | -4.20% | 946,396 | -2.80% | ||
2016年 | 7,242 | 6.30% | 974,137 | 5.80% | ||
2015年 | 6,815 | 12.00% | 920,537 | 4.60% | ||
2014年 | 6,085 | -23.60% | 880,470 | -10.80% | ||
2013年 | 7,964 | 15.70% | 987,254 | 10.60% | ||
2012年 | 6,885 | -17.00% | 893,002 | 6.20% | ||
2011年 | 8,292 | 841,246 |
宮崎県の新設住宅着工戸数は、2011年の8,292件から2018年の6,591件へと△20.5%も減りました。全国平均は同じ期間、841,246件から952,936件へと13.3%増加しているにも関わらずです。
宮崎県内に中古マンションと中古戸建てを保有している方は、特に宮崎県の2017年と2018年の前年比に注目してください。2年連続で前年比減となっています。そして全国の2017年と2018年の数字も振るいません。
つまりこの4つの数字(宮崎県と全国の2017年と2018年の数字)から「全国の鈍化を先取りする形で宮崎県が急落している」と読み取ることができます。
宮崎県民が新築住宅を買わなくなったということは、中古住宅はさらに買わなくなったとみるべきでしょう。中古住宅のオーナーは、購入希望者や買い手をみつけたら「逃がさない」ようにしたいものです。
宮崎県観光のシンボル「シーガイア」が3期連続赤字
先ほど、「2018年の宮崎県の観光面は順調に伸びている」と紹介しました。
しかし宮崎県観光のシンボルである大型リゾート施設「シーガイア」(宮崎市)が不調です。シーガイアを運営するフェニックスリゾート社の2019年3月期決算は、7,000万円の最終赤字でした。赤字は3期連続です。
シーガイアは、ホテル、温泉、スパ、プール、レストラン、バー、ショップ、ゴルフ場、テニスコート、アクティビティ、結婚式場、会議場、宴会場などを備えた総合エンターテイメント施設です。
2019年3月期は、宿泊者数は伸びましたが、ゴルフ場利用者が想定を下回り全体の足を引っ張りました。シーガイアは2017年までに大規模改修を終えましたが、そのコストが重くのしかかっています。
観光のシンボルの不調は、宮崎県経済全体の「士気」に関わります。今後、景気にどのように影響するか注視する必要があるでしょう。
宮崎県経済は規模が小さくて勢いがない
内閣府の「県民経済計算」によると、宮崎県の2015年の県内総生産は3.6兆円で、47都道府県中37位でした。県内総生産は経済規模を表しますので、宮崎県の経済規模は「下位グループの下のほう」という位置づけになります。
宮崎県の上位3県は34位沖縄県4.1兆円、35位山形県4.0兆円、36位香川県3.8兆円でした。下位3県は38位奈良県3.6兆円、39位和歌山県3.5兆円、40位秋田県3.4兆円となっています。
2015年の県内総生産 | ||
---|---|---|
順位 | 県 | 経済規模(単位:兆) |
34 | 沖縄県 | 4.1 |
35 | 山形県 | 4.0 |
36 | 香川県 | 3.8 |
37 | 宮崎県 | 3.6 |
38 | 奈良県 | 3.6 |
39 | 和歌山県 | 3.5 |
40 | 秋田県 | 3.4 |
2014年から2015年への上昇率でも、宮崎県は2.6%増の33位に低迷しています。下位グループからは抜け出せていません。
宮崎県の上位3県は30位岐阜県2.9%増、31位佐賀県2.9%増、32位愛知県2.8%増、下位3県は34位兵庫県2.6%増、35位大阪府2.4%増、36位香川県2.3%増となっています。
2014年から2015年への上昇率 | ||
---|---|---|
順位 | 県 | 上昇率 |
30 | 岐阜県 | 2.9%増 |
31 | 佐賀県 | 2.9%増 |
32 | 愛知県 | 2.8%増 |
33 | 宮崎県 | 2.6%増 |
34 | 兵庫県 | 2.6%増 |
35 | 大阪府 | 2.4%増 |
36 | 香川県 | 2.3%増 |
経済規模が小さく勢いがない県の経済は、国内経済の落ち込みの影響を受けやすく、立て直しにくいという「二重苦」に見舞われます。
日本総合研究所は2019年7月に発表した「日本経済展望」で、景気に足踏み感があり、内需は堅調も外需が下振れする、との見通しを示しています。二重苦を持つ宮崎県経済は、さらに厳しい状況に立たされるでしょう。
地元の宮崎日日新聞は2018年3月、「誰かのせいにしない」というコラムでJR宮崎駅西口の大型商業ビル開発について触れ、「これまで誰も抜本的な打開策を見いだせずにいた」「若者は県外へ買い物に出掛けるという地元以外の経済を中心とした悪循環が出来上がってしまった」と指摘しています(*)。
「地元の目」からみても、宮崎県経済は苦境に立たされているわけです。
*:https://miyabiz.com/column/category_99/item_25321.html
まとめ~価格の上昇を待つ状態ではない
不動産価格は個別事情の影響を受けやすいので例外はありますが、それでも宮崎県内の不動産価格が値上がりに転じることは難しいでしょう。
宮崎県経済は規模が小さいため、日本経済の悪い影響を受けやすく、よい影響を受けにくいからです。また地域経済を見渡しても、不動産需要が高まる要素がみつかりません。
宮崎県内の不動産を売却するかどうか迷っている方は、迷わず売却してしまうことを強くおすすめします。値上がりを待って売却を延期するのはリスキーです。
さらに、物件によっては「買い手がみつかっただけ幸運」と考える必要があるかもしれません。まずは不動産仲介会社に連絡を取り、査定をしてもらったり、市況の情報を得たりしましょう。
- 関連ページ:福岡県の不動産売却時の相場
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