北海道の中古マンション、中古戸建て、地価の相場をみていきましょう。
北海道内最大にして190万人都市の札幌市の不動産売却は、大型の投資案件が次々決まるなど、いままさにバブルの様相を呈しています。札幌市も行政機関として不動産市場を後押ししているので、この好調ぶりはしばらく継続すると期待されています。
札幌市内に保有しているマンション、戸建て、土地の売却を検討している方は、いまこそ「売り時」かもしれません。もしくは「もう少し待つ」という姿勢も必要かもしれません。
いずれにしましても、「買いたたき」に遭わないように慎重に価格リサーチを行うことをおすすめします。
また北海道の不動産売却のトピックスとしては、冬のリゾート地である「ニセコ」という地域が海外マネーを吸い寄せており、この地域の高級コンドミニアムが文字通り飛ぶように売れています。

北海道の不動産価格に影響を与えそうなトピックス

北海道の不動産価格に影響しそうなトピックスやニュースをみていきましょう。
これらの情報は、中古マンション、中古戸建て、土地の売却価格に影響すると考えられます。

投資マネーを呼び込む札幌不動産の強さ

札幌市内に売却できる不動産を所有している方にとって、これから紹介するニュースは朗報といえるでしょう。
日本経済新聞は2018年9月に「REIT(リート)、札幌市の物件取得相次ぐ」という記事を掲載しました。
不動産投資信託(リート)が札幌市内のオフィスビルやホテルなどを相次ぎ取得している、というニュースです。リートによる札幌市内の不動産取得額は、2018年1~8月の総額で303億円と、10年ぶりの高水準を記録しています。2017年の不動産取得額は1年間で182億円でしたので、2018年の「旺盛ぶり」は突出しています。

リートとは投資家から集めたお金で不動産に投資して、そこから得られた賃貸料や売買益を投資家に配当する金融商品です。不動産に投資する人のなかには自分で不動産を購入して賃貸料を稼いだり売買で稼いだりしますが、それだと投資家自身が取得した不動産を管理しなければなりません。しかし投資家がリートの商品を買えば、不動産を管理するという面倒がなく、不動産投資をできるというわけです。
ただリートの場合、金融機関に手数料を支払わなければならないというデメリットがあります。要するに、投資した不動産が値上がりしたときの取り分が相対的に減ってしまうのです。
その点、個人が直接不動産を購入する投資方法は、値上がりしたときに売却すれば利益を総取りすることができます。

さて、リートという金融商品をつくるのは、投資信託運用会社です。つまり投資信託運用会社はいま、「札幌市内の物件はうまみがある」とみているのです。
北海道を訪れる外国人観光客が増えたことで、北海道旅行の拠点となる札幌市内のホテルの稼働率が上がっています。札幌市の不動産を扱ったリートの利回りは首都圏不動産のリートより高くなっている、という情報もあります。それが投資マネーを引き寄せているのです。

注目度は札幌市以上。ニセコ開発は外国人が大型投資

札幌市以上に加熱している不動産市場があります。それは豪雪地で知られる北海道ニセコ地区です。ニセコは20年以上前にオーストラリアの富裕層が別荘を建てるようになり、海外投資家の注目を集めるようになりました。ニセコのスキー場の雪質が上質な上うえ、湯量が豊富な温泉が海外受けしたのです。
オーストラリアの景気に陰りがみえだすと、今度は中国や香港、シンガポールのマネーがニセコに集まり始めました。
最近のニセコ不動産の目玉は、高級コンドミニアム「スカイニセコ」です。アメリカ人投資家たちが70億円の巨費を投じて建設に着手、2018年11月に完成します。分譲価格は1室5,000万円からで、最高は約8億円ですが、すでに完売したそうです。このコンドミニアムを買ったのはシンガポールや香港の富豪たちです。
この「スカイニセコ」の近隣では、別の高級コンドミニアム「ザ・メープルズニセコ」も2018年12月にオープンします。
北海道にはニセコより自然豊かな地域がありますが、ニセコは札幌市から車で約2時間の距離にあります。北海道としては「それほど遠くない距離」なので、都市圏へのアクセスのよさも喜ばれています。

行政も不動産バブルを後押し【ニセコ編】

札幌市やニセコ地区の不動産価格の上昇は、行政も歓迎しています。
北海道ニセコ地区の自治体のひとつである倶知安(くっちゃん)町で、2019年にG20(20カ国・地域)首脳会合の観光大使大臣会合が開かれます。
ニセコを世界にPRする好機とばかりに、北海道は国と連携し、各国の観光ビジネス関係者を受け入れる組織を立ち上げました。その組織のトップに北海道知事が就任するほどの力の入れようです。
また2018年7月には、ニセコ地区を舞台にした自転車レース「ニセコクラシック」が開催されました。これは国際的な自転車競技団体である国際自転車競技連合(UCI)の公認予選レースという位置づけの大会です。海外で自転車レースの人気が高いことに着目したニセコ地域の自治体や観光協会などが5年前に誘致しました。
北海道もニセコ地区の自治体も、「いまこそニセコの名を国際的に有名にするチャンス」と意気込んでいます。遠くて近い札幌とニセコ地区の2地域が盛り上がれば、両地域の間の市町村にも経済効果が期待できます。

行政も不動産バブルを後押し【札幌市編】

北海道に新幹線が史上初めて上陸したのは2016年です。ただ新幹線はまだ北海道の南の玄関口である新函館北斗駅までしか届いていません。札幌市まで新幹線が延びるのは2030年です。10年以上先の話ですが、すでに行政は動き始めています。

札幌市は、新幹線の札幌延伸を起爆剤にした都市再開発構想を練っています。その戦略のひとつが、建物の容積率の引き上げです。
容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合のことで、容積率を引き上げると高いビルを建設することができます。容積率は自治体が決めます。
札幌市は今回、公共に貢献できる新規の建物に対する容積率を最大200%上乗せする方針です。つまり新築のビルをこれまでより単純計算で2階分高くできるわけです。ビル開発事業会社はより「稼げる」ビルを建てることができます。
ちなみに公共に貢献できる施策とは、ビルの1階にオープンスペースをつくったり、他のビルや地下街と接続したりすることです。いずれも市民の利便性が増し、街のにぎわいづくりに貢献します。
商業ビルの建設と街づくりが同時に進めば街の魅力がアップするので、住民や観光客に喜ばれるだけでなく、ビルオーナーや開発業者が潤うので、行政は税収を上げることができます。
札幌市内の不動産バブルは、市内に売却する不動産を持っている方にとっても大きなメリットをもたらすでしょう。

北海道の中古マンションの売買状況

それでは札幌市を中心に、北海道内の主要市の中古マンションの売買状況をみていきましょう。

札幌市の一等地はバブルの様相を呈しており1億円以上のマンションが完売。

日本経済新聞は2018年7月の記事で、不動産会社幹部の「札幌市の近年のマンション相場は異常に高い」というコメントを紹介しています。さらに同じ記事のなかで、札幌市のマンション価格の高騰は「バブル」であると断言しています。
日経がそのようにみるのも当然で、住友不動産がJR札幌駅徒歩7分の一等地に、2019年完成予定の31階建て分譲タワーマンション「シティタワー札幌」を建設しているのですが、上層階の1億円以上の物件は完売しました。坪単価は300万円で、北海道内の最高値です。
高額なものから売れる傾向は、まさにバブルです。
さらに東急不動産は、高級住宅街の円山公園周辺(札幌市中央区)に分譲マンション「ブランズ円山外苑前」を建設していて、こちらの価格は最高値の坪300万円を上回る予定です。

新築マンションの高騰は、中古マンションの売却額に大きく影響します。
新築マンションが建つと、通常は周辺の中古マンションの魅力が下がってしまうので中古マンションの売却額は値下がりします。
しかし新築マンションの建設ラッシュが進み、なおかつ高額物件が増えると、今度は不動産投資マネーをその地域に呼び込むことになり、不動産市場全体が底上げされます。それに釣られる形で中古マンションの売却額も値上がりする可能性が出てきます。

したがって、札幌市内の中古マンションの売却を検討している方は「売り時」の見極めが難しいでしょう。しかしこの傾向は決して悪いことではありませんので、腰を据えてリサーチすることをおすすめします。

札幌市内の中古マンション価格は用途と地域で価格差が出ている

札幌市内の中古マンションの価格は以下のとおりです。

札幌市内の中古マンション 単位:万円
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
中央区 530 1,282 1,518 1,517 2,022 2,369 2,643 3,410
北区 695 1,050 1,750 1,852 1,482 1,782 2,358 1,940
東区 650 1,601 1,280 1,680 2,171 2,720 3,403
白石区 395 580 1,148 1,432 1,412 1,537 2,408 3,418
豊平区 407 400 953 1,309 2,013 2,025 1,887
南区 231 744 930 901 1,620 899 950
西区 240 320 1,298 1,106 1,825 1,536 2,562 4,680
厚別区 1,080 1,620 1,746 1,624 1,802 2,807
手稲区 962 1,197 1,490
清田区 1,335 1,345 1,680 2,280

札幌市は物件数がそれほど多くないので、際立った価格に平均価格が引っ張られてしまいます。例えば、北区の「101平方メートル~」の1,940万円や南区の「~100平方メートル」の899万円は、逆転現象が起きています。ここではそうした価格は無視して分析します。

「101平方メートル~」の価格をみると、地下鉄が通っていて交通の便がよい中央区、東区、白石区、西区の物件には、3,000万円以上の高値がついています。

このなかで注目したいのは西区で、60平方メートル以下の物件は低価格なのですが、100平方メートル付近から急に値上がりします。これは西区の高台の高級住宅街の物件が高価格帯の平均価格を上げているからです。一方で西区はあまり学生や若いサラリーパ―ソンが住まないので、狭い物件の需要が低く値段は安くなっています。
厚別区、手稲区、清田区も市中心部から離れているため、学生や独身サラリーパーソンのワンルームマンション需要が低く、50平方メートル以下の物件の相場が形成されていません。

札幌市以外では主要市でも物件が少ない

続いて札幌市以外の道内主要市の中古マンション価格をみていきましょう。

札幌市以外の道内主要市の中古マンション 単位:万円
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
函館市 350 738 820 966 1,133 1,745 1,800
小樽市 1,298 2,050 8,000
旭川市 135 480 220
室蘭市
釧路市 998
帯広市 1,200
北見市
夕張市
岩見沢市 795

ご覧のとおり、表のほとんどが空欄です。北海道の地方都市は、土地が広く人口密度が低いので、地価が驚くほど安くなっています。そのため戸建てを購入することができるので、マンション需要が生まれにくいのです。

ただ、道内第2の都市である函館市は、中古マンション相場が形成されています。函館市の「~90平方メートル」の1,745万円は、札幌市の白石区、南区、西区、厚別区、手稲区、清田区の「~90平方メートル」物件より高い価格です。函館市は国内有数の観光地なので、函館市の富裕層は札幌市の中間層より所得が高いからこうした現象が起きています。

また小樽市の「101平方メートル~」に8,000万円という価格が記載されています。小樽市も古い町並みが残る著名な観光地で、なおかつ札幌からJRで30分という立地のよさもあり、札幌の「奥座敷」的な地位が確立しています。
そのため、道内地方都市にかかわらず、141平方メートル、5LDK、8,000万円というマンションが販売されたのです。このマンションは札幌市の富裕層向けと考えられます。

北海道の中古戸建ての売買状況

札幌市を中心に、北海道内の主要市の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。

h4>札幌市には中古マンションより割安な中古戸建てが多い

札幌市の区別の「101平方メートル以上」の中古戸建ての相場は以下のとおりです。

札幌市の区 101m²~
中央区 5,005万円
北区 2,291万円
東区 2,682万円
白石区 2,890万円
豊平区 2,292万円
南区 1,818万円
西区 2,358万円
厚別区 2,396万円
手稲区 2,040万円
清田区 2,748万円

中央区は土地の価格が高いので、「中間層の上のほう」や「富裕層の下のほう」のクラスは高級マンションに住むことが一般的です。中央区で101平方メートル以上の戸建てに住むのは、「上のほうの富裕層」の人たちです。それで平均5,005万円という突出した金額になっているのです。
中央区を除くと、中古戸建てのほうが中古マンションよりリーズナブルであることがわかります。以下の表は先ほど紹介した札幌市内の中古マンション相場から101平方メートルの物件だけを抜き出したものです。

札幌市内の中古マンション(101平方メートル以上のみ再掲)

  101m²~
中央区 3,410万円
北区 1,940万円
東区 3,403万円
白石区 3,418万円
豊平区
南区 950万円
西区 4,680万円
厚別区 2,807万円
手稲区
清田区 2,280万円

東区、白石区、西区、厚別区では、中古戸建て住宅のほうが中古マンションより安いことがわかります。
東京や大阪などの本州の大都市では、同じ地域の戸建てマンションより安くなるという現象は起きないかもしれません。
しかし札幌市は豪雪地なので、戸建てを購入してしまうと冬場の雪かきで苦労します。そのため「お金があっても戸建てではなくマンションを買う」という購買行動が起きやすいのです。

札幌市以外の道内主要市は100平方メートル以上でも1,000万円台

札幌市以外の道内主要市になると、以下のとおり中古戸建ての安さがさらに際立ちます。

地区 100m²~
函館市 1,581万円
小樽市 906万円
旭川市 1,145万円
室蘭市 1,040万円
釧路市 1,314万円
帯広市 1,770万円
北見市 1,096万円
夕張市
岩見沢市 1,000万円
網走市 2,008万円

道内第2の都市函館でも1,581万円です。
オホーツク海に面する街である網走市の平均価格が2,008万円と高額になっているのは、敷地約900平方メートル、建物面積228平方メートル、価格4,500万円の大豪邸が売りにだされたためですので、これもイレギュラーな額といえるでしょう。

北海道の土地の売買状況

最後に土地の相場をみていきましょう。

札幌市中央区では一等地が売りに出ている

札幌市内の区別の100平方メートル以上の土地の市場価格は以下のとおりです。

札幌市の区 100m²~
中央区 8,221万円
北区 1,545万円
東区 2,119万円
白石区 2,175万円
豊平区 1,853万円
南区 775万円
西区 1,773万円
厚別区 1,484万円
手稲区 1,748万円
清田区 1,143万円

中央区の土地価格が異常に高くなっていますが、これは200平方メートルで1億6,000万円の土地と、360平方メートルで3億円の土地が売りに出されたためです。
したがって、この価格は相場を確認するときの参考値にはなりませんが、しかしこのことから一等地の土地オーナーが「売り時」と判断し始めていることがわかります。
中央区を除くと、最高価格の白石区の2,175万円と最安の南区775万円とでは、その差は約3倍の開きがあります。人気の土地と不人気の土地は鮮明であるといえるでしょう。

札幌市以外の道内主要市の土地価格は安い

札幌市以外の道内主要市の土地はとても安い価格がついています。これでは土地オーナーは売りにくいでしょう。
札幌市以外の道内の土地は、投資先としては魅力が薄いといわざるを得ません。

地区 100m²~
函館市
小樽市 583万円
旭川市 601万円
室蘭市
釧路市 370万円
帯広市 1,129万円
北見市 652万円
夕張市
岩見沢市 242万円
網走市 667万円

まとめ~北海道は「寒暖差」が激しい

日本の好景気が札幌市には確実に届いています。札幌市の不動産価格はバブルの様相を呈するほどです。本州に最も近い街で新幹線が開通した函館の不動産価格にも、好景気の影響がみられます。
この2市は「ようやく雪解けの季節がきた」といったところで、不動産オーナーはそろそろ本腰を入れて売却を検討してもよいころです。
しかしそれ以外の道内の不動産市況は依然「お寒い状況」が続いていて、不動産オーナーはまだしばらく動きにくい状況が続きそうです。
ただ、ニセコ地区のように突如観光地として脚光を浴びることがあります。外国人の北海道人気は根強いものがあるので、「その日」が来るのを期待したいところです。