長野県内の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と不動産売却事例を紹介します。
長野県には全国に知られた観光地が多く存在し、東京からのアクセスも良好です。認知度が高い地域や大都市圏と密接につながっている場所の不動産価格は上昇しやすい傾向があります。
また、同じく不動産価格に影響を与える長野県経済も、2017年6月以降18カ月連続で「緩やかに回復している」状況が続いています。

これだけ好条件がそろっていると、長野県内の不動産価格の上昇を期待したくなりますが、不動産関連の指標は楽観視できない数値を示しています。
長野県内に売却用の不動産を保有している方にとっては、「売り時」をみつけづらい状況が続いているのではないでしょうか。

長野県内の不動産の全体的な話題

まずは長野県内の不動産に関する全体的な話題を紹介します。
企業の経済活動や県民の個人消費などが活発になるほど不動産が必要になるので、不動産価格が上昇します。また、不動産価格は、景気の上昇に先んじて上昇することもあります。
このように経済と不動産価格は密接な関係があるので、不動産の売却タイミングを計っている方は、長野県経済のウォッチを継続したほうがいいでしょう。

長野県経済は18カ月連続で緩やかに回復

一般財団法人長野経済研究所は毎月、長野県経済の動向を調査し、公表しています。
それによると、長野県経済は2017年5月の「一部に弱さは残るものの、回復に向けた動きが続いている」状態から、2017年6月に「緩やかに回復している」に改善しました。それ以降、最新データの2018年11月まで18カ月連続で「緩やかに回復している」状況が続いています(*1)。
これは国内の景気動向に連動しているとみられます。政府は2019年1月に「2012年12月から始まった景気回復が戦後最長になった可能性がある」と指摘しました(*2)。景気の回復基調は2019年1月で74カ月連続となり、これまでの2002年2月から2008年2月までの73カ月の戦後最長を更新した模様です。

景気の動きは、

  • 国内の景気回復:2012年12月からスタート
  • 長野県の景気回復:2017年8月からスタート

となっています。
約5年遅れて東京の景気が長野県に届いたわけです。

しかし注意しなければならないのは、この数値はそれほど力強い内容ではない、ということです。多くの人が「好景気の実感がない」「賃金がそれほど上昇していない」といった印象を持っているのではないでしょうか。
また今回の景気回復は「長いだけ」で「高くはない」という指摘もあります。今回の景気回復期における年平均の実質国内総生産(GDP)成長率は1.2%でしたが、2002~2008年の景気回復期は1.6%でした。1965~1970年のいざなぎ景気は11.5%でした。
現在の景気回復は、まさに「緩やかな」成長にすぎないのです。

そして地方の景気には、好景気はゆっくりやってきて不景気を先導するという特徴があります。
そしていま、長野県の景気は緩やかに回復しているものの、陰りがみえ始めているのです。
その陰りを詳しくみてみます。

*1:http://www.neri.or.jp/www/contents/1000000001173/index.html
*2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40597660Z20C19A1MM0000/

長野県経済の「陰り」の実態

再び長野経済研究所の「長野県経済の動向(2018年10、11月)」の内容に注目してみます。
2018年10月の鉱工業生産指数(季節調整済指数)が前月比2.5%の減少となり、3カ月ぶりに前月を下回りました。
個人消費では、2018年11月の大型小売店売上高が前年同月比1.1%減で、2カ月連続で前年割れしました。なかでも衣料品は前年同月比7.4%減と大きく減らしました。
次に不動産価格に直結する建設投資の状況をみてみます。

新設住宅着工戸数も前年を下回る

2018年11月の長野県内の新設住宅着工戸数は1,020戸で、前年同月比8.8%減でした。前年割れは2カ月連続です。
新設住宅1,020戸の内訳をみると、持家は前年同月比14.8%増でしたが、貸家は同25.6%減、分譲は同45.8%減でした。
「持家」は、住宅オーナーが自分用に建てる新設住宅です。「貸家」と「分譲」は、建設会社が販売目的で建てる新設住宅です。
貸家と分譲が減っているということは、建設会社は「長野県内の住宅需要は落ちている」または「伸びていない」とみているのです。

そして2017年までの過去5年の新設住宅着工戸数をみると、合計戸数は2014年に10%以上減り、続く2015年も微減しました。2016年は前年を上回りましたが、2017年に再び前年割れを喫しています。これは持家の落ち込みに加え、貸家と分譲の伸びが鈍化していることが原因となっています。
ちなみに「給与」とは給与住宅のことで、企業が社員用に建設する社宅などがこれに含まれます。

長野県内の2017年までの過去5年の新設住宅着工戸数
  合計戸数(戸) 前年同月比 利用関係別
持家(戸) 前年同月比 貸家(戸) 前年同月比 給与(戸) 前年同月比 分譲(戸) 前年同月比
2013年 12,261   8,382   2,602   68   1,209  
2014年 10,807 -11.90% 6,559 -21.70% 2,987 14.80% 299 339.70% 962 -20.40%
2015年 10,805 0.00% 6,657 1.50% 2,723 -8.80% 57 -80.90% 1,368 42.20%
2016年 12,031 11.30% 6,860 3.00% 3,628 33.20% 22 -61.40% 1,521 11.20%
2017年 12,020 -0.10% 6,662 -2.90% 3,701 2.00% 28 27.30% 1,629 7.10%

参照:https://www.pref.nagano.lg.jp/kenchiku/kurashi/sumai/tokei/jutaku/tokei/tyakkoutoukei1407.html

長野県の中古マンションの売買状況

不動産の種類ごとに動向をみていきましょう。
まず、中古マンションの売買状況についてですが、長野県内でしっかりした市場が形成されているのは、長野市、松本市、上田市、軽井沢町の4市町です。下記の表からは高額物件が平均を押し上げていることがわかります。
それではこの表のなかから、個別の物件を詳しく紹介します。

不動産会社が公表している中古マンションの市町村別、延べ床面積別の平均価格表です。

長野県内で中古マンション市場が形成されている4市町の売買状況
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
長野市 4,980万円 1,848万円 2,518万円 3,033万円
松本市 750万円 1,990万円 2,420万円 2,967万円 3,980万円 3,180万円
上田市 3,287万円 3,180万円
軽井沢町 1,100万円 2,500万円 1,480万円

長野市三輪1丁目の15階建て最上階、81平方メートル、3LDK、4,280万円の物件の実力とは

長野市三輪1丁目の15階建て全56戸のマンションの最上階、81平方メートル、3LDKの物件が4,280万円で売りに出ています。
2018年6月に完成したばかりですので、ほぼ新築といってよいでしょう。

長野市三輪1丁目は、北陸新幹線とJR信越本線の共通駅である長野駅から2キロほどの場所にあり、駅前の繁華街へのアクセスは苦にならないレベルです。
近隣には長野中央警察署や長野中央病院、小林脳神経外科病院、朝日ながの病院などがあります。小中学校も周囲に点在しているので、ファミリー向けの地域といえるでしょう。

売りに出ているこのマンションは新しいだけあって、水回りは最新の設備が使われていて使い勝手がよさそうです。エントランスはガラスを贅沢にあしらった豪華なつくりで、オーナーズラウンジといった珍しい施設も備わっています。
そしてこの物件の目玉は、15階からの眺望です。北西と南西のバルコニーからは日本アルプスが一望できます。
地方都市の中古マンションで4,000万円超は決して安い金額ではありませんが、81平方メートルという広さと設備、立地、住環境、景観などを考えると割高感はありません。

松本市本庄1丁目、8階、98平方メートル、2LKD、3,980万円の物件の実力とは

松本市本庄1丁目に、98平方メートルという広さがありながら2LDKという贅沢なつくりのマンションが売りに出ています。リビングダイニングは21.8帖もあります。
この14階建てのマンションは2013年11月に完成し、売りに出ているのは8階の部屋で価格は3,980万円です。

松本市本庄1丁目はJR篠ノ井線・松本駅から500メートルの距離にあり、周辺には井上百貨店、丸善松本店、ホテルブエナビスタがあります。
そして全国的な知名度を誇る相澤病院も100メートルの場所にあります。
さらに松本駅前記念公園や田川の支流が近くにあり、緑が多く自然環境にも恵まれています。

マンションの設備ではアイランドキッチンや収納の多さ、広いバルコニーが目を引きます。バルコニーからアルプスの山々を眺望することもできます。エントランスの壁には印象的なオブジェが掲げられていて高級感が漂います。
約4,000万円の値に見合った内容といえるでしょう。

「さすが軽井沢」築約30年の74平方メートル1Kでも2,500万円

「さすが軽井沢」といえるのが、軽井沢町大字軽井沢にある1989年4月完成、全22戸、3階建ての2階、74平方メートル、1Kの物件で、この条件で価格は2,500万円です。

物件条件だけみると割高に感じるかもしれませんが、立地を考えると割安感すらあります。
北陸新幹線と「しなの鉄道線」の共通駅である軽井沢駅まで徒歩9分、名門・万平ホテルまで1.1キロ、大賀ホールまで850メートルです。マンションの隣には軽井沢アートミュージアムがあります。
マンションは、立派な街路樹が並ぶ幅広の歩道に面していて、お洒落な街並みに溶け込んでいます。このマンションに住めば、軽井沢で生活していることを毎日実感できるでしょう。

長野県の中古戸建ての売買状況

続いて長野県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
県内の地方部は土地の価格が安いため、県全域で広い家を建てる傾向があります。したがって長野県内の中古戸建て市場に出回るのは、ほとんどが延べ床面積101平方メートル以上の物件です。ここでも101平方メートル以上の物件の平均価格のみ掲載しました。
このなかから、注目の物件を紹介します。

長野県内の中古戸建ての売買状況(市場が形成されている101平方メートル以上のみ掲載)
地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~
長野市 2,411万円 小海町 松川町 864万円 麻績村
松本市 2,254万円 川上村 高森町 生坂村
上田市 1,617万円 南牧村 阿南町 山形村
岡谷市 1,100万円 南相木村 阿智村 朝日村
飯田市 1,175万円 北相木村 平谷村 筑北村
諏訪市 1,941万円 佐久穂町 1,348万円 根羽村 池田町 1,388万円
須坂市 1,675万円 軽井沢町 3,794万円 下條村 松川村
小諸市 2,061万円 御代田町 2,499万円 売木村 白馬村 2,680万円
伊那市 1,691万円 立科町 天龍村 小谷村
駒ヶ根市 1,359万円 青木村 833万円 泰阜村 坂城町 1,194万円
中野市 1,898万円 長和町 1,198万円 喬木村 小布施町 2,774万円
大町市 799万円 下諏訪町 豊丘村 高山村 1,198万円
飯山市 富士見町 大鹿村 山ノ内町 664万円
茅野市 1,543万円 原村 上松町 木島平村
塩尻市 1,779万円 辰野町 1,250万円 南木曽町 野沢温泉村
佐久市 1,933万円 箕輪町 1,224万円 木祖村 信濃町 1,185万円
千曲市 1,492万円 飯島町 王滝村 小川村
東御市 1,315万円 南箕輪村 大桑村 飯綱町 1,190万円
安曇野市 1,632万円 中川村 1,120万円 木曽町 栄村
宮田村 1,748万円

約2億円の軽井沢の物件は企業の保養所やオーベルジュに使えそう

軽井沢町大字軽井沢の木造2階建て、土地面積1,494平方メートル、延べ床面積300平方メートル、8DKの物件が1億9,500万円で売りに出ています。2006年8月完成です。
軽井沢ならではの価格ですし、軽井沢でなければこのような物件をつくられなかったでしょう。

「ザ軽井沢」といえる地域に建つこの物件は、8つの寝室と大食堂と厨房、バーベキューができそうなテラスとバルコニーで構成されています。企業が購入すれば高級保養所として社員に喜ばれるでしょう。
また、宿泊できるレストランであるオーベルジュを開くこともできます。

長野市大字大豆島の木造2階建て219平方メートル、6SLDKが3,480万円

長野市大字大豆島の木造2階建て、土地面積251平方メートル、延べ床面積219平方メートル、6SLDKの物件が3,480万円で売りに出ています。2001年3月完成です。

長野市大字大豆島地区は長野駅まで道路の距離で約7キロ、車で14分ほどです。長野市は自動車社会なので、この距離であれば駅までのアクセスを苦にすることはないでしょう。
大豆島地区は犀川の河岸に接していて、周辺のゴルフ場やスキー場の玄関口のような位置づけになっています。上信越自動車道・長野インターチェンジには自動車で20分以内で行けます。
「地方都市の郊外」といった雰囲気の街で、大豆島地区を貫く県道372号には全国チェーンの飲食店が並びます。

この物件の延べ床面積が200平方メートルを超えるのは、2世帯住宅だからです。玄関が2つあるタイプで、家のなかで2つの世帯を行き来できるのは1つのドアだけです。完全分離に近い2世帯住宅といえます。
トイレは1階と2階に1つずつついています。浴槽がある浴室は1階のみで、2階にはシャワールームがあります。
駐車場が広く取ってあって、詰めれば6台停めることもできます。感じのよい戸建て住宅が並ぶ住宅街にあるので、住環境はよさそうです。
築年数は20年近いのですが、3,500万円を切る価格は妥当ではないでしょうか。

長野県の土地の売買状況

長野県の2018年の公示地価の平均変動率(前年比)は、住宅地で21年連続の下落、商業地は26年連続の下落となりました。
工業地は21年ぶりに横ばいとなり、住宅地と商業地も下落幅は縮小しています。全体的な評価としては「悪いなりに改善傾向はみられる」といえますが、それでも全国的にみると見劣り感は否めません。

全国平均と比べると弱さは明らか

2018年の公示地価を長野県、上位3都道府県、全国平均で比べてみると、長野県の地価への懸念が募ります。

<2018年の公示地価の変動率(前年比)の比較>△はマイナス
住宅地 商業地 全用途
25位 長野県△0.5% 34位 長野県△1.0% 32位 長野県△0.7%
1位 沖縄県5.5% 1位 京都府6.5% 1位 沖縄県5.7%
2位 宮城県2.7% 2位 沖縄県5.6% 2位 東京都3.4%
3位 東京都2.4% 3位 東京都5.4% 3位 宮城県3.3%
全国平均0.3% 全国平均1.9% 全国平均0.7%

全国平均は住宅地、商業地、全用途の3項目でプラスになっています。そして3項目すべてで上位に入っている沖縄県は、全項目で約6%のプラスになるという驚異的な伸びをみせています。

一方の長野県は、3項目すべてでマイナスでした。全国順位も「半分より下」で、商業地と全用途では30位台にまで沈んでいます。
軽井沢や白馬、日本アルプス、長野オリンピック、セイコーエプソン、ワインなど「全国区のもの」を数多く保有している県としては、意外な印象を受けます。

よい傾向だが心配は尽きない

長野県の公示価格の10年間の平均変動率の推移をみてみましょう。

<長野県の公示地価の平均変動率(前年比)の推移>マイナスは△
  2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
住宅地 △3.1 △3.8 △3.7 △3.2 △2.9 △2.3 △1.8 △1.3 △0.8 △0.5
商業地 △4.2 △5.1 △5.0 △4.5 △3.9 △3.2 △2.5 △1.9 △1.5 △1.0
全用途 △3.5 △4.3 △4.1 △3.7 △3.3 △2.6 △2.0 △1.5 △1.0 △0.7

100年に一度の経済危機といわれたリーマンショックは2008年に発生しました。長野県はその影響をもろに受け、2009年の公示地価は商業地で△4.2%を記録しました。
長野県内の公示地価は回復に時間がかかり、住宅地・商業地・全用途の3項目すべてが「△3%台」を脱することができたのは2015年でした。リーマンショックから7年かかりました。

「失われた20年」が終わり、日本の好景気が始まったのは2013年ごろです。よい影響はゆっくりと長野県に届き、2016年には3項目がすべて「△1%台」に乗りました。2018年は住宅地に続き全用途も「△0%台」に乗りました。
このまま2019年はプラス圏に突入したいところですが、簡単ではないでしょう。もしかしたら2019年は3項目のうちいくつかはプラスになるかもしれませんが、2019年10月には消費増税があり、2020年には東京五輪が終了してしまいます。いずれも景気の下振れ要因であり、地価への影響が危惧されます。

長野県の公示地価には、全国的な悪い傾向には敏感に反応し、よい傾向はなかなか届かないという特徴があります。
保有している土地の売却を検討している方は、「売れる時が売り時」という姿勢を崩さないほうがいいかもしれません。そのために情報収集を欠かさないようにしてください。

なお、2018年公示地価の用途別平均価格は次のとおりでした。

  • 住宅地35,700円/平方メートル(前年比△0.5%)
  • 商業地66,100円/平方メートル(前年比△1.0%)
  • 工業地15,600円/平方メートル(前年比0.0%)
  • 全用途45,500円/平方メートル(前年比△0.7%)

高価格地点ベスト5は動かず

続いて長野県内のローカル情報に注目してみましょう。
2018年公示地価の住宅地と商業地の高価格地点ベスト5は、いずれも前年と同じ構成でした。

<2018年と2017年の公示地価:住宅地の高価格地点ベスト5>
2018年順位
(2017年順位)
所在地 2018年公示価格(上昇率)
(2017年公示価格)
(円/平方メートル)
1(1) 長野市大字栗田字西番場368番6
「長野駅周辺第二72街区6」(北中公民館南)
114,000(3.6%)
(110,000)
2(2) 軽井沢町大字軽井沢字上御原308番11外
(旧軽井沢別荘地)
91,500(3.5%)
(88,400)
3(3) 長野市若里1丁目385番6「若里1-19-47」
(ホクト文化ホール南)
88,000(2.9%)
(85,500)
4(4) 松本市開智1丁目1528番15「開智1-2-11」
(開智小学校南西)
86,400(1.4%)
(85,200)
5(5) 長野市大字南長野字本郷207番1
(妻科神社南)
84,700(0.0%)
(84,700)

長野市が3カ所、軽井沢町が1カ所(2位)、松本市が1カ所(4位)にランクインしました。そして2017年比の上昇率では、すべてで0またはプラスでした。価格が高い場所ほど上昇率が高くなっています。
日本経済が全体的に、よいところはよりよくなり、悪いところはより悪くなる傾向がありますが、長野県内の住宅地の高価格地点でも同じ傾向がみられました。

それでは次に商業地の高価格地点をみてみましょう。

<2018年と2017年の公示地価:商業地の高価格地点ベスト5>
2018年順位
(2017年順位)
所在地 2018年公示価格(上昇率)
(2017年公示価格)
(円/平方メートル)
1(1) 長野市大字南長野字石堂東沖1970番1外
(長野駅前浪やビル)
356,000(0.0%)
(356,000)
2(2) 松本市深志1丁目703番「深志1-1-2」
(松本駅前朝日生命松本ビル)
240,000(△1.2%)
(243,000)
3(3) 松本市中央1丁目487番外「中央1-4-7」
(公園通りNAKAZAWAビル)
225,000(△0.4%)
(226,000)
4(4) 長野市大字南長野字石堂町並1414番1
(中央通りタカギビル)
203,000(0.0%)
(203,000)
5(5) 長野市南千歳1丁目19番8
(佐藤ビル)
182,000(0.0%)
(182,000)

商業地も上位5位に変動はありませんでしたが、こちらは前年比の上昇率が0またはマイナスでした。商業地は住宅地よりも経済の影響を強く受けるので、気になる数字です。

住宅地の高上昇率は軽井沢の強さが際立つ

2018年の公示地価の住宅地の上昇率の高い地点ランキングをみると、軽井沢の強さが際立ちます。そして高価格地点ランキングでは入ってこなかった安曇野市が、こちらの高上昇率地点ランキングでは2位になりました。

<2018年と2017年の公示地価:住宅地の高上昇率地点ベスト5>
2018年順位
(2017年順位)
所在地 2018年公示価格(上昇率)
(2017年公示価格)
(円/平方メートル)
1(1) 軽井沢町大字発地字荒熊1184番22
(風越公園南)
14,200(5.2%)
(13,500)
2(5) 安曇野市豊科5586番27
(豊科北中学校南)
40,000(3.9%)
(38,500)
3(新規) 長野市大字栗田字西番場368番6
「長野駅周辺第二72街区6」
(北中公民館南)
114,000(3.6%)
(110,000)
4(3) 軽井沢町大字軽井沢字上御原308番11外
(旧軽井沢別荘地)
91,500(3.5%)
(88,400)
5(4) 軽井沢町大字軽井沢字長倉往還南原1052番142
(南原別荘地)
51,700(3.4%)
(50,000)

住宅地の上昇率1位は軽井沢町大字発地字荒熊1184番で5.2%も上昇しました。この地点は有名ゴルフ場や有名ホテルが密集する高級リゾート地にあります。
4位と5位も軽井沢で、これは「日本全体の景気は好調→別荘地需要は旺盛」という流れを受けているのでしょう。
したがって軽井沢の別荘地に売却用の土地を保有している方は、長野県では例外的に「売り急がないほうがよい」といえるでしょう。

安曇野市が2位、3.9%上昇と健闘しました。
安曇野市豊科地区は、元は1つの自治体で豊科町といいました。2005年に安曇野市に合併されました。豊科地区は工業が盛んな街で、安曇野市経済のけん引役となっています。

下落率が高い地点の傾向はつかみにくい

長野県内でも地方ほど住宅地の下落率が高くなる傾向がみられました。

<2018年と2017年の公示地価:住宅地の下落率が高い地点ワースト5>
2018年順位
(2017年順位)
所在地 2018年公示価格(上昇率)
(2017年公示価格)
(円/平方メートル)
1(5) 上松町大字上松968番6外
(上旭町公民館南東)
18,200(△3.7%)
(18,900)
2(4) 千曲市上山田温泉4丁目27番15
(住吉公園北)
27,300(△3.5%)
(28,300)
3(7) 木曽町福島5751番3
(木曽税務署北西)
26,200(△3.3)
(27,100)
4(5) 諏訪市大字上諏訪字菅平9289番2
(茶臼山配水池東)
23,500(△3.3%)
(24,300)
5(14) 千曲市大字戸倉字中町1816番
(中町公民館東)
32,500(△3.3%)
(33,600)

上松町(人口約5千人)、千曲市(人口約6万人)、木曽町(人口約1.2万人)、諏訪市(人口約5万人)が不名誉なランキングに載ってしまいました。
木曽町は松本市に接し、上松町は木曽町に接しています。
千曲市は県庁所在地の長野市に接し、諏訪市にはセイコーエプソンがあります。
したがって必ずしも「不利な条件」が集まっている地域ではなく、傾向がつかみづらい結果となりました。

長野県の市町村別住宅地の平均変動率

長野県は2018年の公示地価調査で、県内43市町村の住宅地を調査しました。その平均変動率は以下のとおりです。人口が多い自治体であっても、必ずしも平均変動率が高くなるわけではないことがわかりました。例えば諏訪市と須坂市はともに2019年の人口が4.9万人台でしたが、諏訪市は△1.9%、須坂市は△0.6%と、1.3ポイントもの差がありました。

平均反動率がプラスになったのは、松本市、塩尻市、安曇野市、軽井沢町の4市町だけでした。県内の最大の人口を抱える県庁所在地の長野市が0.0%だったことは、全体的な低迷ぶりを象徴してしまっています。

市町村別、2018年住宅地平均変動率(住宅地の調査地点のある市町村のみ)
市町村 平均変動率
(前年比、%)
2019年人口(人) 市町村 平均変動率
(前年比、%)
2019年人口(人)
長野市 0 371,920 軽井沢町 2.9 19,159
松本市 0.5 241,074 御代田町 △ 0.7 15,209
上田市 △ 0.7 155,169 下諏訪町 △ 1.3 19,520
岡谷市 △ 1.3 48,652 富士見町 △ 1.7 14,039
飯田市 △ 0.4 99,174 辰野町 △ 2.9 19,114
諏訪市 △ 1.9 49,043 箕輪町 △ 1.9 25,148
須坂市 △ 0.6 49,937 飯島町 △ 2.3 9,192
小諸市 △ 1.5 41,625 南箕輪村 △ 0.6 15,454
伊那市 △ 1.2 67,058 中川村 △ 2.8 4,697
駒ヶ根市 △ 1.9 32,237 宮田村 △ 1.5 8,745
中野市 △ 1.2 42,756 松川町 △ 1.5 12,767
大町市 △ 0.8 26,747 高森町 △ 0.8 12,827
飯山市 △ 0.8 20,126 木曽町 △ 2.8 11,007
茅野市 △ 1.3 55,764 上松町 △ 3.0 4,351
塩尻市 0.8 66,894 池田町 △ 0.8 9,491
佐久市 △ 0.6 98,895 松川村 △ 0.6 9,686
千曲市 △ 2.3 59,453 白馬村 △ 0.5 9,422
東御市 △ 1.2 29,559 坂城町 △ 2.2 14,416
安曇野市 0.2 94,673 小布施町 △ 0.3 10,490
小海町 △ 1.7 4,431 山ノ内町 △ 3.1 11,689
野沢温泉村 △ 1.2 3,510
信濃町 △ 2.6 7,922
飯綱町 △ 3.0 10,494

まとめ~潜在能力の高さが評価されていない

長野県は、北海道レベルの豊かな自然を持ちながら、新幹線や高速道路などで東京とつながっています。軽井沢や日本アルプスといったイメージリーダーも存在し、その土地が持つ魅力の潜在能力の高さは全国有数といえます。
ところが必ずしもその魅力が不動産価格に反映されているとはいえません。人々の評価が低すぎるのか、長野県のアピールが足りないのか、もしくはその両方なのかもしれません。

しかし視点を変えてみると、都会からの脱出を考えている人にとっては、不動産価格が落ち着いている地域は移住先に適しています。長野県ぐらい東京へのアクセスがよければ、リタイアした人たちばかりでなく、現役世代であっても移住することができそうです。