佐賀県内に売却用の「中古マンション、中古戸建て、土地」をお持ちの方は、売るなら今です。その理由は3つあります。
- 公示地価の推移が悪くない
- 新設住宅着工戸数に陰りがみえる
- 佐賀県経済は回復しつつある
不動産全般の価格に大きな影響を与える公示地価の推移が「悪くない」ことは不動産オーナーにとってはプラス材料です。
また新設住宅着工戸数の推移は、中古マンションと中古戸建ての販売状況にリンクします。したがって、佐賀県の新設住宅着工戸数が「陰り」から「悪化」に転じる前に、中古マンション、もしくは中古戸建てを手放すのが理想です。
地元経済が好調だと不動産売買が活性化するので、個人も自身の不動産を売りやすくなります。
不動産を売りやすい状況なら、売却を延期して高値になるのを待ったほうがよいのかというと、そこまでの力強さは佐賀県経済にはありません。
悪くない状況の今が「決断のとき」といえるでしょう。
佐賀県の不動産の全体的な話題
不動産の種類ごとの動向をみる前に、佐賀県の不動産全般に影響を与えそうなトピックスを紹介します。
不動産価格は、その土地の経済情勢に大きく左右されます。したがって不動産オーナーは、佐賀県経済の動向を注視する必要があります。
2019年の佐賀県経済は順調に推移していますが、そのなかに気になる数字が隠れています。ここでは佐賀県経済や佐賀県内の不動産価格に関係する「よいニュース」と「悪いニュース」の両方を紹介します。
【よいニュース】佐賀県経済が上方修正された
財務省佐賀財務事務所は2019年1月30日に佐賀県内経済情勢報告を発表し、全体判断を「回復しつつある」に上方修正しました。前回の2018年10月の全体判断は「緩やかに回復しつつある」でしたので「緩やかに」が取れました。すなわち、経済の回復にスピード感が出てきた、ということです。
景気判断が据え置かれる自治体が多い中での上方修正だけに、よいニュースといえます。またこれは、佐賀県内の不動産価格にプラスに働きます。
【よいニュース】県内企業が好調
以下は佐賀新聞の経済記事の見出しです。
「佐賀県内企業、増収増益傾向 先行きは『悪化』懸念」(2019年5月30日付け)
「夏のボーナス3%増、佐賀銀行推計 雇用確保の賃上げ反映」(2019年5月31日付け)
最初の記事は、佐賀新聞が実施した第167回佐賀県内企業経営動向調査(2019年1~3月期)を解説したものです。売上高、経常利益ともに増加した企業が前回調査より上回りました。佐賀県内の企業は増収増益傾向にあります。
ただ、先行きに不安を抱える経営者も少なくありませんでした。
2つめの記事は佐賀銀行が行った調査を報道したものです。佐賀県内の官公庁と民間企業の2019年夏のボーナスは前年より3%増え、総額706億円になる見通しです。
官公庁は5年連続の増加、民間企業は2期ぶりの増加です。民間企業がボーナスを増やすのは、人手不足による雇用確保が目的とみられています。
ボーナスが増えると住宅購入意欲が高まるので、中古住宅市場によい効果をもたらすことが期待できます。
【悪いニュース】新設住宅着工戸数に陰り
続いて佐賀県経済にとって悪いニュースを紹介します。
佐賀県の新設住宅着工戸数は、次のように推移しています。( )は佐賀県を含む九州全体の数字で、△はマイナスを表します。
2014年 | 4,830戸:前年比△13.3%減(九州△10.5%減) |
---|---|
2015年 | 4,941戸:前年比2.3%増(九州5.5%増) |
2016年 | 5,463戸:前年比10.6%増(九州7.6%増) |
2017年 | 5,519戸:前年比1.0%増(九州1.8%増) |
2018年 | 5,574戸:前年比1.0%増(九州△1.2%減) |
九州全体では2018年に前年割れを起しましたが、佐賀県は増加を維持できています。ここまでは「よい数字」なのですが、月別にみると陰りがみえてきます。
以下の数字は佐賀県内の新設住宅着工戸数の前年同月比の推移です。
2018年 | ||
---|---|---|
1月 | 2月 | 3月 |
△7.0%減 | △4.3%減 | △11.2%減 |
4月 | 5月 | 6月 |
△5.5%減 | △8.1%減 | △4.0%減 |
7月 | 8月 | 9月 |
△2.3%減 | 0.7%増 | 3.7%増 |
10月 | 11月 | 12月 |
0.4%増 | 1.9%増 | 1.0%増 |
2019年 | ||
1月 | ||
△3.3%減 |
この数字から、2018年1年間の前年比1.0%増は、8~12月の増加に支えられていたことがわかります。逆に1~8月までは連続して前年割れを起していました。
そして2019年1月は再び前年割れに転じ、しかもその減少幅は△3.3%減と決して小さくないのです。
日本人は新築志向が強く、中古住宅を敬遠しがちです。新築住宅の人気が低下していれば、中古住宅の購買意欲はさらに低下している可能性があります。
したがって新設住宅着工戸数に陰りがみえるということは、中古マンション・中古戸建てはそれに先行して悪化している可能性があります。
【悪いニュース】佐賀県経済は小さく弱い
不動産価格が安定するかどうかは地元経済の動向次第という側面がありますが、佐賀県経済は規模が小さく勢いは強くありません。
先ほど、「2019年の佐賀県経済の好調ぶり」を紹介しましたが、これは極めて短期的な見方です。
長期的な視点に立って佐賀県経済を見渡すと、違った判断になります。
内閣府の県民経済計算によると、2015年の佐賀県の県内総生産(経済規模)は2.8兆円で47都道府県中44位でした。佐賀県を下回るのは、45位島根県2.6兆円、46位高知県2.4兆円、47位鳥取県1.8兆円です。
佐賀県の上位3県は、41位山梨県3.3兆円、42位福井県3.2兆円、43位徳島県3.1兆円でした。
また佐賀県の県内総生産の2014年から2015年の上昇率は2.9%で31位でした。経済規模の順位(44位)よりは上位にありますが、それでも下位グループです。
例えば経済規模で42位だった福井県は、上昇率6.5%で2位になっています。経済規模が小さい県ほど、小さい経済効果で上昇率を急上昇させることができるからです。
福井県と比較すると、佐賀県経済はやはり「勢いが弱い」と判断せざるを得ないでしょう。
「だから」売るなら今
佐賀県内の不動産全体に影響を与えそうなトピックスを紹介しました。よい経済ニュースもありますが、売却用の不動産を保有しているオーナーはネガティブな情報に注目して警戒を怠らないほうがよいでしょう。
よい経済ニュースは「売りやすい地合い」と理解して、悪い経済ニュースは「売り急ぐ警報」と理解してはいかがでしょうか。
佐賀県内の不動産オーナーは、売却対象の「中古マンション、中古戸建て、土地」の査定を済ませておいてはいかがでしょうか。査定を不動産仲介業者に依頼すれば、営業担当者から佐賀県の不動産価格の動向を聞くこともできます。また査定額がわかれば資金計画を立てることもできますし、いつでも売却活動を始められます。
佐賀県の中古マンションの売買状況
それでは次に、不動産の種類ごとの動向を探っていきます。
佐賀県内でしっかりした中古マンション市場が形成されているのは、佐賀市、唐津市、鳥栖市の3市だけです。他の市町でも中古マンションは販売されていますが、市場と呼べるほどの売買規模ではありません。
3市の中古マンションの平均価格は次のとおりです。
- 佐賀市
- 1,581万円
- 唐津市
- 1,434万円
- 鳥栖市
- 1,488万円
近隣市との比較では、福岡市の2,710万円や長崎市の1,954万円と比べると見劣りしますが、北九州市の1,254万円と比べると佐賀県3市の価格が「悪くない」ことがわかります。
佐賀県内で人口が最大の佐賀市が23万人で、北九州市は94万人(いずれも2019年)です。人口が多いほど高級マンションが建つ割合は高くなりますので、佐賀市の中古マンションの平均価格が北九州市を上回っていることは特筆に値します。
佐賀市内の中古マンションの延べ床面積別の平均価格は以下のとおりです。
630万円 | |
61~70平方メートル | 1,242万円 |
---|---|
71~80平方メートル | 1,476万円 |
81~90平方メートル | 1,738万円 |
91~100平方メートル | 1,855万円 |
101平方メートル~ | 1,860万円 |
それでは実際に販売されている物件をみていきましょう。
佐賀市水ヶ江4丁目の11階90平方メートル3LDKが2,150万円
佐賀市水ヶ江4丁目にある15階建て41戸のマンションの11階、90平方メートル3LDKの部屋が2,150万円で売りに出ています。2006年1月完成です。
90平方メートルもあるので、3つの部屋を取ってもリビングダイニングは23帖とゆったりしています。キッチンは人気の対面式です。築10年以上経過していますが、シンク、浴室、トイレ、洗面所などの水回りの設備には古さを感じません。
マンションのブランドとしては中位ですが、周囲に高い建物がないので15階建ては目立つ存在です。この物件は11階ですが、それでも眺望は良好です。
佐賀市水ヶ江4丁目は佐賀城公園の東隣に広がる地区なので、このマンションを購入すれば観光地に住むことができます。佐賀県医師会健診センターを始め、諸隈病院、志田病院、百武整形外科病院が周囲にあり、高齢者がいる世帯でも安心です。
大隈重信記念館や佐賀県立美術館、幕末維新記念館といった文化施設も近くにあります。
JR佐賀駅までは道路距離で3キロほどなので徒歩圏内とはいえませんが、マンションの内容や住環境からすると「2,000万円+アルファ」の価格は十分検討に値する金額といえるでしょう。
佐賀市唐人1丁目の8階83平方メートル3LDKが2,250万円
佐賀市唐人1丁目にある15階建てのマンションの8階、83平方メートル3LDKの部屋が2,250万円で売りに出ています。2008年10月完成です。
リビングダイニングとベランダの間の窓は、天井から床までがガラス張りのいわゆる「掃き出し窓」になっていて、解放感があり採光にも優れています。対面式のキッチン、浴槽、トイレ、洗面所の水回りは水準以上の設備が採用されています。
収納スペースが多く、主婦には喜ばれるでしょう。エントランスは決して広くないのですが、モニュメントが飾られたり、小さな庭がみえたりして趣味のよさが光ります。
8階からの眺望も悪くありません。
佐賀市唐人1丁目はJR佐賀駅の南500メートルほどの場所にあり、近くには佐賀銀行本店や大和証券佐賀支店、日本政策金融公庫佐賀支店などがあります。飲食店や学校も多く、都会生活を送ることができます。
築10年ほどの物件ですが、これだけの条件がそろっているマンションを2,250万円で買うことができるのは、地方の特権といってよいでしょう。
唐津市栄町の5階74平方メートル3LDKが1,750万円
唐津市栄町にある10階建て全54戸のマンションの5階、74平方メートル3LDKの部屋が1,750万円で売りに出ています。2009年1月完成です。
74平方メートルで3部屋取っていますが、リビングダイニングは17帖を確保しています。家族世帯でも十分な広さといえます。築10年なので、住宅設備に古さは感じません。
唐津市栄町は松浦川の河口に面し、唐津湾は「すぐそこ」です。毎日海を感じながら生活することができます。JR唐津駅や海に面した珍しい唐津城、城内病院は半径1キロ圏内にあります。スーパーマーケットやファミリーレストランといった商業施設にも恵まれている住みやすい街です。
この住環境で2,000万円を大きく割り込む価格は値ごろ感があります。
鳥栖市本通町2丁目の7階87平方メートル3LDKが1,750万円
鳥栖市本通町2丁目にある14階建て全26戸のマンションの7階、87平方メートル3LDKの部屋が1,750万円で売りに出ています。2002年2月完成です。
87平方メートルもありながらリビングダイニングが15帖なのは、3つの部屋を6帖、6.2帖、6.5帖と、広めに取っているからです。最近は部屋を狭くしてリビングダイニングを広くする傾向もありますが、リビングを広くするか部屋を広くするかは住む人の好みがわかれるところです。
築20年近くになりますが、室内はとてもきれいです。オーナーが丁寧に住んでいたのでしょう。全26戸なので、大規模マンションが苦手な人には向いています。
鳥栖市本通町2丁目はJR鳥栖駅の西側に広がる地区で、市民の憩いの場になっている中央公園が近くにあります。住宅街と飲食店が混在した街で、幼稚園、学校、クリニックが多く住環境は良好です。
1,750万円の価値は十分ある物件といえそうです。
佐賀県の中古戸建ての売買状況
佐賀県民は戸建て志向が強いので、中古戸建て市場は佐賀市だけでなく地方までしっかり形成されています。佐賀県内の20市町のうち、市場が形成されている16市町の中古戸建ての平均価格は次のとおりです。
佐賀市 | 唐津市 | 鳥栖市 | 多久市 |
---|---|---|---|
1,698万円 | 1,169万円 | 2,089万円 | 1,212万円 |
伊万里市 | 武雄市 | 鹿島市 | 小城市 |
1,178万円 | 1,850万円 | 1,307万円 | 1,432万円 |
嬉野市 | 神埼市 | 吉野ヶ里町 | 上峰町 |
1,402万円 | 1,402万円 | 1,470万円 | 1,240万円 |
みやき町 | 有田町 | 大町町 | 江北町 |
1,434万円 | 1,360万円 | 1,066万円 | 1,146万円 |
鳥栖市の2,089万円と武雄市の1,850万円は、県庁所在地の佐賀市の1,698万円を上回りました。また、有田町(1,360万円)や嬉野市(1,402万円)、鹿島市(1,307万円)といった佐賀市からも福岡県からも遠い自治体でもしっかりした価格がついています。
佐賀県では、中古戸建ては売りやすいと考えていてよさそうです。
それでは売りに出ている物件をみていきましょう。
佐賀市大和町大字尼寺の234平方メートル7SDKの豪邸が3,500万円
佐賀市大和町大字尼寺にある木造2階建て、土地面積676平方メートル、延べ床面積234平方メートル7SDKの豪邸が3,500万円で売りに出ています。2001年10月完成です。
住宅の前に紹介したいのが、別棟になっている車のガレージです。2台を余裕を持って収めることができ、ガレージにもかかわらず瓦屋根になっています。
土地面積が676平方メートルもあり、そのほとんどがコンクリート敷きになっています。ガーデニングは楽しめませんが、土埃(つちぼこり)に悩まされることはありません。
住宅は延べ床面積が234平方メートルもあるので、7部屋あってもそれぞれがとっても広々しています。室内も豪華で、床の間や欄間(らんま)といった伝統的な住宅設備が目を引きます。
そろそろ築20年を迎えるので、キッチン、浴槽、トイレ、洗面台などの水回りは「それなり」ですが使い勝手に問題はなさそうです。
佐賀市大和町大字尼寺はJR佐賀駅から道路距離で5.5キロしか離れていませんが、近くに嘉瀬川リバーサイドゴルフ場や自然豊かな森があるなど、郊外の雰囲気もあります。
半径1キロ圏内に、イオンモール佐賀大和店、佐賀記念病院、長崎自動車道・佐賀大和インターチェンジなどがあります。
都市機能を失わずに自然を満喫できる環境は、地方都市ならではといえます。
この住環境とこの豪邸が3,500万円で手に入るのは、佐賀市ならではといえるでしょう。
鳥栖市轟木町の104平方メートル3LDKが2,798万円
鳥栖市轟木町にある木造2階建て、土地面積154平方メートル、延べ床面積104平方メートル3LDKが2,798万円で売りに出ています。2017年5月完成です。
とてもオシャレな外観を持つ家です。下半分は白で、上半分は黒に近い灰色となっていて、ヨーロッパの田舎をイメージさせます。
内装もこだわっていて、リビングダイニングの床はレンガ調の白いフローリングで、壁も天井も白で統一されています。明るくて清潔感ある空間です。
キッチンはアイランド式で、上部に棚がないのですっきりしていますし、食器や調理器具を入れる棚の容量は十分確保されています。
それぞれの部屋には、ベージュや濃い青が使われていてセンスの良さが光ります。
鳥栖市轟木町は九州新幹線・新鳥栖駅から500メートルの場所にあり、JR鳥栖駅からも約1キロしか離れていません。
轟木町はコカ・コーラボトラーズやセキスイハイム、フランスベッドの工場や倉庫がある工業地でありながら、住宅地も広がっています。鳥栖市民体育館や市民公園へのアクセスも良好です。
医療機関、学校、小売店、飲食店も充実していて、日常生活に不便は感じないでしょう。
優れた住環境を持つ地区の築浅のこだわり住宅が、3,000万円を大きく割り込む価格で売られているのは魅力的です。
吉野ヶ里町吉田の184平方メートル3LDKが1,098万円
吉野ヶ里町吉田にある木造2階建て、土地面積246平方メートル、延べ床面積184平方メートル3LDKが1,098万円で売りに出ています。1968年12月完成です。
築50年の物件ですが、売りに出すに当たって大規模リノベーションが施されています。キッチンが対面式に変えられているほか、シンク、浴槽、トイレ、洗面台は最新のものが設置されています。
そして玄関や居室も新築の雰囲気が漂います。
吉野ヶ里町吉田は佐賀県の内陸部に位置し、地区内にJR長崎本線・吉野ヶ里公園駅があります。吉野ヶ里公園駅から九州新幹線・新鳥栖駅までJRで10分という近さです。
そして吉野ケ里遺跡を含む吉野ケ里歴史公園は300メートルほどの場所にあります。歴史ロマンあふれる散歩コースを楽しむことができます。
学校や商業施設も多く住環境としては申し分ありません。
生活の不便さを感じることなく田舎暮らしを堪能したい人には、約1,000万円の価格は「安い」と感じるはずです。
佐賀県の土地の売買状況
2018年の佐賀県の公示地価には勢いがあります。全国の地方と比べて、上昇率の高さが際立っています。
しかしそのことだけで、「土地の売却を延期したほうがよい」と判断しないようにしてください。佐賀県の土地価格を正しく評価するには注意が必要です。
2018年公示地価は地方としては優秀な成績
2018年の佐賀県の公示地価は次のとおりです。△はマイナスです。
- 住宅地:平均価格30,300円/平方メートル、平均変動率0.0%(横ばい)
- 商業地:平均価格57,100円/平方メートル、平均変動率△0.1%減
- 工業地:平均価格29,100円/平方メートル、平均変動率5.5%増
工業地は5.5%も上昇していますが、住宅地は0.0%で横ばい、商業地は△0.1%減でした。それでも「勢いがある」といえるのは、次の「2018年公示地価、地方圏(その他)」の数字をみればわかります。
- 住宅地の平均変動率:△0.5%
- 商業地の平均変動率:△0.4%
- 工業地の平均変動率:△0.1%
「地方圏(その他)」とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市を除いた地方の市町村のことです。
佐賀県の3つの平均変動率はすべて、地方圏(その他)の値を上回っています。すなわち佐賀県は「優秀な地方」といえるのです。
全国平均と比べると見劣りがする
ただ2018年の佐賀県の公示地価について手放しで喜べないのは、全国平均と比べると見劣りがするからです。その結果は次のとおりです。
住宅地の平均変動率 | 佐賀県0.0%、全国0.3%増 |
---|---|
商業地の平均変動率 | 佐賀県△0.1%減、全国1.9%増 |
工業地の平均変動率 | 佐賀県5.5%増、全国0.8%増 |
工業地の平均変動率は全国平均を大幅に上回っていますが、個人の土地オーナーの関心が高い住宅地と商業地は全国平均を下回っています。
福岡県と比べると見劣りがする
2018年の佐賀県の公示地価を手放しで喜べない理由はもうひとつあり、それは隣県の福岡県と比べると見劣りする点です。ここでは平均価格で比較してみます。
佐賀県 | 福岡県 | |
---|---|---|
住宅地 | 30,300円/平方メートル | 74,900円/平方メートル |
商業地 | 57,100円/平方メートル | 319,300円/平方メートル |
工業地 | 29,100円/平方メートル | 48,200円/平方メートル |
佐賀県の平均価格は、住宅地は福岡県の2.5分の1、商業地は福岡県の5.6分の1、工業地は福岡県の1.7分の1にすぎないのです。
また平均変動率も福岡県の上昇幅と比べると、佐賀県の上昇幅は見劣りします。
平均変動率 | 佐賀県 | 福岡県 |
---|---|---|
住宅地 | 0.0% | 1.8%増 |
商業地 | △0.1%減 | 3.9%増 |
工業地 | 5.5%増 | 1.9%増 |
佐賀県の住宅地と商業地の平均変動率は、福岡県に大きく水を開けられています。
福岡県経済の恩恵は大きい
次に佐賀県内の2018年公示地価を市町別にみていきます。
住宅地の市町別平均変動率ランキングは次のとおりです。
1位 | 吉野ヶ里町 | 1.0%増 |
---|---|---|
2位 | 佐賀市 | 0.7%増 |
3位 | 鳥栖市 | 0.6%増 |
4位 | 基山町 | 0.4%増 |
5位 | 小城市 | 0.1%増 |
前年2017年は4位(△0.8%減)だった県庁所在地の佐賀市が2位に入ったのは、面目躍如といったところでしょう。
また、1位の吉野ヶ里町をはじめ、佐賀市、鳥栖市、基山町は福岡県に接していますし、5位の小城市は佐賀市に接しています。つまり地価の上昇率が高い佐賀県の市町は、福岡県経済の恩恵を受けていると推測することができます。
佐賀県内の住宅地の平均変動率が最も高かった地点は、「佐賀市兵庫北5丁目151番」の8.7%増で、2017年の55,000円/平方メートルから2018年は59,800円/平方メートルになりました。佐賀市兵庫北5丁目はJR佐賀駅の北東に位置するエリアで、商業施設が建ち並んでいます。
佐賀県内の住宅地の価格が最も高かった地点は、「佐賀市八幡小路130番外(八幡小路5-19)」の66,300円/平方メートルでした。上昇率も4.2%増と好調でした。
佐賀市八幡小路はJR佐賀駅の南に位置し、近くに佐賀城跡や佐賀県立美術館などがある文化的な街です。
福岡県に近くても不振の自治体はある
次に住宅地の平均変動率が低かった佐賀県内の市町を紹介します。
1位(最下位) | 多久市 | △1.9%減 |
---|---|---|
2位 | 有田町 | △1.6%減 |
3位 | 白石町 | △1.2%減 |
4位 | 伊万里市 | △1.1%減 |
5位 | 神埼市 | △1.0%減 |
多久市、有田町、白石町、伊万里市は福岡県と接していません。また伊万里市と有田町は佐賀市から最も離れた自治体です。したがって、福岡県経済圏や佐賀市経済圏から離れると地価が下落しやすいことがわかります。
ただ5位の神埼市は福岡県にも佐賀市にも接しているので、必ずしも「福岡県と佐賀市に近ければ地価が安定する」わけではありません。このあたりに佐賀県の地価の弱さが出てしまっています。
商業地は佐賀市が2冠
2018年の佐賀県の商業地の地点別ランキングでは、平均変動率の上昇率、最高価格ともに佐賀市の地点が1位でした。
上昇率1位は「佐賀市神野東2丁目2658番(神野東2-1-3)」の7.7%増でした。佐賀市神野東2丁目はJR佐賀駅から100メートルほどの距離にあり、都市機能が充実しているエリアです。
価格1位は「佐賀市駅前中央1丁目152番1(駅前中央1-5-10)」の222,000円/平方メートルで、上昇率も7.2%増の高率でした。佐賀市駅前中央1丁目はJR佐賀駅を含むエリアで、ホテルや全国区の企業の支店が多くあります。
まとめ~「今」を逃さないように
佐賀県経済は健闘しています。それにともない、不動産を売りやすい地合いになっています。したがって、佐賀県内の不動産を売るなら「今」です。このときを逃さないようにしてください。
令和の時代になり、日本経済が揺らいでいます。これまで飛ぶ鳥を落とす勢いがあった大企業の業績に陰りがみえ始め、経済指標も悪化または停滞を示すものが多くなりました。
日本経済は、都会からよくなって地方から悪化します。佐賀県は典型的な地方県なので、福岡県より早く経済が低迷する可能性があります。佐賀県内の不動産オーナーは、他県を様子見するのではなく、足元の情勢を見極めましょう。
そのためにはまず、不動産仲介業者に連絡し、売却不動産の査定を依頼したほうがよいでしょう。そのとき営業担当者に、佐賀県内の不動産動向を尋ねてください。きっと有益情報が得られるはずです。
「あのとき売っておけばよかった」と後悔しないため、今動き始めましょう。
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