京都府内の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と実際の不動産売却事例をみていきましょう。
不動産価格は経済の鏡です。経済が上向くと大量の不動産が必要とされるので、中古物件を含めて不動産価格は上昇します。
日本経済は2018年後半から「陰りの兆し」が現れ始めましたが、例外的に好調なのが観光業です。訪日外国人が急増しているうえに、それぞれの観光地が自治体を巻き込んで魅力づくりに取り組んでいることから、日本中に観光ブームが訪れています。
日本一の観光地「古都京都」のある京都府経済は、緩やかながら「拡大基調」を保っています。
このような状況ですので、京都府内の不動産オーナーは、自身の不動産価格の値上がりを期待していると思います。ただ、京都市の独り勝ちしていることと、府内格差が拡大していることには注意が必要です。
京都市内の一部の不動産オーナーが好景気の多大な恩恵を受けている一方で、その他の地域の不動産オーナーは厳しい状況が続いています。この傾向は公示地価に顕著に現れていますので、本文でしっかり解説していきます。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪万博を控え、京都市内に売却用のマンション、戸建て、土地を持っているオーナーは今後の値上がりを期待できるかもしれませんが、それ以外の地域の不動産オーナーは「売れるときに売る」姿勢でいたほうがいいかもしれません。

京都府の不動産の全体的な話題

京都府政策企画部が作成した「京都府経済の動向(2019年2月報告)」によると、府内経済の総合判断は、一部に弱さがあるものの、緩やかな拡大基調にあります。
個人が保有している不動産を高値で売却するには京都府内の経済情勢をウォッチする必要がありますので、「京都府経済の動向(2019年2月報告)」を細かくみていきましょう。

観光が好調な一方、足を引っ張っているのは生産、消費、賃金、雇用。

総合判断が指摘している「一部の弱さ」とは、生産、消費、賃金、雇用のことです。
生産の指標となる鉱工業生産指数は、△7.4%(△はマイナス、以下同)で2カ月連続の前月割れでした。電子部品、デバイス工業、輸送機械工業などの10業種が低下しました。中国経済の低迷と米中貿易戦争の余波も受けているのでしょう。

百貨店・スーパー全店販売額は前年同月比△0.6%でした。身の回り品の販売額は増加したものの、飲食料品が減少したことが響きました。
実質賃金指数は前年同月比△1.3%で、これで4カ月連続の前年同月割れです。賃金が下落しているので消費も落ち込んでいるわけです。
さらに、全国的に人手不足が深刻化しているなか、京都府内の有効求人倍率は前月より△0.02%の微減でした。生産指数が悪化していることから、今後も求人については警戒する必要があるでしょう。不景気の兆候は雇用情勢に明確に現れるからです。

一方で観光は、指数となるホテルなどの客室稼働率は前年同月比2.0%と2カ月連続の上昇でした。

中古不動産は近畿圏でみると「売り急ぐ」傾向も

もう少し広い視野で不動産市況をみてみましょう。
近畿圏不動産流通機構によると、2018年10~12月期の近畿圏の中古不動産市場は、中古マンションが成約件数、価格ともに堅調で、中古戸建ては成約件数が減少、価格が上昇という結果でした。
近畿圏不動産流通機構は、近畿圏の中古不動産市場について「先行き不透明感は高まっているが、良好さは維持されている」との見解を示しています。

売却用の不動産を保有しているオーナーが注意したいのは、先行きの不透明感です。なぜなら中古マンションや中古戸建てや土地は、「今日売ろうと思って明日売れるもの」ではないからです。売却活動を開始してから売買契約が成立するまでに、最低でも3カ月、長ければ1年以上かかります。
そのため不動産オーナーは、常に3カ月以上先の見通しを把握しておくことが理想です。

先行きの見通しで参考になるのが、近畿圏不動産流通機構への新規登録件数です。同機構は、売りに出た不動産の情報を集めて不動産会社に公開しています。つまり新規登録件数の増加は、売りに出る中古不動産の件数が増加していることを意味します。
近畿圏の2018年10~12月の新規登録件数は、中古マンションが15,512件で前年同期比2.4%増、中古戸建てが13,252件で前年同期比4.1%増でした。
中古マンションの新規登録件数は15期連続で、中古戸建ての新規登録件数は6期連続で、前年同期を上回りました。
つまり、近畿圏では中古マンションも中古戸建ても「売り急ぐ」傾向が強まっていると考えられます。これは供給が需要を上回り、中古不動産や土地の価格が下がるリスクにつながります。

「いまのところ」近畿圏の中古マンションも中古戸建ても成約価格は上昇しているので、供給過多とはいえないようです。まだしばらくは値上がりするかもしれません。したがって不動産オーナーとしては、売却をもう少し待ちたい気持ちに駆られるでしょう。

しかし、不動産を最高値で売却することはプロでも簡単なことではありません。したがって個人が自分の不動産を売却する場合は、市場が値上がり基調にあってもそのなかに少しでも値下がりの兆候がみえたら、早めに売却することをおすすめします。
少しの値上がりを待ったばかりに、急な下落に巻き込まれてしまった、ということがないようにしたいものです。

京都府の中古マンションの売買状況

それでは不動産の種類ごとに売買状況をみていきましょう。
最初は中古マンションです。

よい数字が並んでいるが、待つべきか「売り時」と考えるべきか

近畿圏不動産流通機構の2018年10~12月期レポートによると、京都市内の賃貸マンションの賃料は上昇基調にあります。
また同期間の中古マンションの販売価格は、京都市では前年同期比4.0%上昇、京都市以外の京都府全体では前年同期比10.1%上昇しました。
さらに2018年10~12月期の京都市内の中古マンションの成約件数は、10~12月期の過去最多を更新しました。
こうした流れを受け、2018年10~12月期の中古マンション件数は、京都市内で前年同期比4.0%増、京都市以外の京都府全体では6.6%増でした。

京都市内には中古マンションを求める人が多くいて、それが価格を釣り上げているようです。そして価格が上昇したことで売りに出す人も増えてきたのです。
先ほどみた近畿圏の状況と似た動きが京都府内、とりわけ京都市内でもみられます。
まだしばらくは値上がりするかもしれません。しかしその後で値下がりするかもしれません。ピークを迎える時期を見極めることが難しい以上、「ここらが潮時」と考えて売却活動に着手したほうが無難です。

京都府内の注目の中古マンション

不動産会社が公表している京都府内の中古マンションの価格情報を元に、市町村別・延べ床面積別に平均価格を算出して表にしました。中古マンション市場が形成されていない自治体は省略しています。
京都市内には「億円」の数字もみられます。このなかから注目したい物件の詳細をみていきましょう。

京都府内の市町村別・延べ床面積別中古マンション価格動向(市場が形成されている自治体のみ掲載)
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
京都市北区 430万円 1,413万円 1,369万円 1,180万円 3,375万円 4,884万円
京都市上京区 831万円 1,585万円 3,089万円 2,665万円 5,937万円 6,900万円 2,780万円 10,800万円
京都市左京区 907万円 1,727万円 1,625万円 2,879万円 4,403万円 3,323万円 4,890万円 28,000万円
京都市中京区 1,403万円 2,289万円 3,481万円 4,062万円 5,878万円 7,997万円 9,107万円 9,193万円
京都市東山区 1,374万円 3,812万円 3,163万円 5,266万円 7,639万円 5,950万円
京都市下京区 1,546万円 2,756万円 2,806万円 3,554万円 3,827万円 4,780万円 6,825万円
京都市南区 1,634万円 1,794万円 1,099万円 1,301万円 3,071万円 1,671万円 1,882万円
京都市右京区 1,055万円 1,385万円 1,900万円 2,154万円 2,715万円 2,244万円 2,715万円
京都市伏見区 510万円 633万円 1,078万円 1,505万円 1,878万円 2,502万円
京都市山科区 241万円 890万円 987万円 2,674万円 2,828万円 3,090万円 1,280万円 3,280万円
京都市西京区 1,049万円 964万円 1,694万円 1,255万円 2,373万円 3,380万円 2,980万円
宇治市 480万円 750万円 1,508万円 2,599万円 1,373万円
向日市 697万円 2,315万円 1,946万円 2,147万円
長岡京市 880万円 1,262万円 3,738万円 4,850万円
八幡市 800万円 1,120万円 2,592万円
京田辺市 433万円 680万円 1,036万円
木津川市 1,205万円 1,400万円 1,850万円
乙訓郡大山崎町 966万円 1,166万円 1,698万円

1990年完成、1階、3LDKでも2億8,000万円のマンションの実力とは

京都市左京区下鴨泉川町にある3階建て全3戸のマンションの1階、延べ床面積160平方メートル、3LDKの部屋が2億8,000万円で売りに出ています。1990年完成なので約30年が経過していますが、この価格を維持しています。

大都会の場合、延べ床面積80平方メートルのマンションに4人家族が住むことは珍しくありません。したがってこの物件の160平方メートルは、確かに「相当広い」といえます。
しかしそれでもなお、築年数が経過していることと1階ということを考えると、やはり「なぜこのような価格がつくのか」と疑問に思います。

京都市左京区下鴨泉川町には、縁結びで知られる下鴨神社(正式名、賀茂御祖神社)があります。この神社の東西2つの本殿は国宝に指定されています。
また周囲には呉服店や京懐石料理店など、京都らしい店が並びます。
下鴨泉川町は賀茂川と高野川の間に挟まれた場所にあり、毎日散歩したくなる住環境です。賀茂川と高野川は、合流して鴨川になります。
下鴨泉川町は叡山電鉄の元田中駅や出町柳駅に近いほか、京都市営地下鉄烏丸線・鞍馬口駅も1キロ圏内にあるなど交通アクセスは良好です。京都下鴨病院や小学校、中学校も近くにあり、子育て世代や高齢者世帯も安心して住むことができます。

由緒正しい場所に建つ歴史ある豪華マンションのため、このような価格がついているのでしょう。

京都市に接する宇治市の1,580万円のマンションの実力とは

リーズナブルな物件を紹介します。
宇治市莵道籔里にある7階建て全132戸のマンションの4階、延べ床面積81平方メートル3LDKの部屋が1,580万円で売りに出ています。
1987年7月完成ですので、築30年以上が経過しています。

宇治市は京都市の北東に接している自治体で、京都市のベッドタウンになっています。宇治市の人口は18万人で、148万人の京都市に次ぐ府内2位の規模を誇ります。
宇治市莵道籔里は京滋バイパスの宇治東インターチェンジと京都宇治線・三室戸駅が近くにある、交通の便がよい地区です。
近くには寺社仏閣が多く、十分、古都の雰囲気を味わえます。宇治川の河原までは500メートルほどでウォーキングを楽しめそうです。

この物件の築年数がかなり経過していますが、それでも2,000万円を大きく割り込む価格は魅力的です。
「京都の中心地から離れたくないが、京都市内に住むことにこだわらない」人にとっては、掘り出し物的な物件といえるでしょう。

京都府の中古戸建ての売買状況

京都府内の中古戸建ての売買状況をみてみましょう。
中古マンションと比べると、中古戸建ては京都府内の地方までまんべんなくしっかりした市場が形成されています。
注目の物件を紹介します。

京都府内の市町村別・延べ床面積別中古戸建て価格動向
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
京都市北区 863万円 1,398万円 2,274万円 2,228万円 2,551万円 4,472万円 3,285万円 4,615万円
京都市上京区 1,041万円 1,788万円 2,670万円 3,411万円 2,249万円 3,753万円 3,885万円 7,272万円
京都市左京区 1,333万円 1,608万円 2,542万円 3,372万円 3,261万円 3,897万円 2,996万円 5,234万円
京都市中京区 1,358万円 2,706万円 3,106万円 4,292万円 6,473万円 5,917万円 7,380万円
京都市東山区 2,228万円 1,466万円 5,423万円 2,070万円 6,760万円 3,209万円 5,280万円 7,793万円
京都市下京区 1,344万円 2,384万円 3,682万円 3,615万円 3,178万円 5,840万円 6,340万円 9,230万円
京都市南区 1,016万円 1,786万円 1,808万円 3,604万円 2,754万円 3,078万円 5,028万円
京都市右京区 953万円 2,125万円 1,541万円 1,998万円 2,587万円 1,290万円 3,279万円 4,121万円
京都市伏見区 774万円 1,009万円 1,268万円 1,877万円 1,766万円 2,079万円 2,769万円 3,189万円
京都市山科区 653万円 899万円 1,195万円 1,729万円 1,481万円 2,020万円 1,424万円 3,184万円
京都市西京区 1,623万円 1,313万円 1,401万円 1,783万円 2,481万円 3,649万円 3,371万円 3,987万円
福知山市 2,742万円 1,609万円
舞鶴市 1,714万円
綾部市 1,775万円
宇治市 593万円 806万円 1,162万円 1,551万円 1,620万円 2,248万円 2,093万円 2,919万円
宮津市 1,080万円
亀岡市 480万円 1,080万円 1,223万円 1,180万円 2,600万円 2,343万円
城陽市 299万円 937万円 708万円 811万円 1,035万円 2,128万円 2,401万円 2,832万円
向日市 1,117万円 1,719万円 1,055万円 2,252万円 2,871万円 2,907万円 2,733万円 4,608万円
長岡京市 924万円 955万円 1,513万円 2,231万円 3,256万円 3,374万円 3,379万円
八幡市 290万円 855万円 470万円 795万円 1,353万円 2,221万円 2,425万円 2,596万円
京田辺市 783万円 880万円 1,241万円 2,681万円
京丹後市 998万円 500万円
南丹市 1,750万円
木津川市 2,380万円 2,453万円
乙訓郡大山崎町 1,080万円 1,180万円 2,698万円 2,780万円 3,066万円 3,514万円
久世郡久御山町 980万円 1,350万円 3,500万円
綴喜郡井手町 1,480万円 1,444万円
綴喜郡宇治田原町 1,193万円
相楽郡笠置町
相楽郡和束町
相楽郡精華町 1,240万円 3,023万円
相楽郡南山城村 350万円
船井郡京丹波町 1,228万円
与謝郡伊根町
与謝郡与謝野町

精華町桜が丘1丁目の169平方メートル、7LDKが3,900万円

精華町は京都府の南部に位置し、奈良市に接しています。
精華町桜が丘1丁目にある軽量鉄骨2階建て、土地面積420平方メートル、延べ床面積169平方メートル、7LDKの家が3,900万円で売りに出ています。1992年7月完成で築25年以上経過しています。

土地が420平方メートルもあるので、庭は広々しています。庭木が多いうえ、敷地は石垣囲まれているので、プライバシーは程よく保たれています。

精華町桜が丘1丁目は京奈和自動車道・山田川インターチェンジに近く、学研都市線・西木津駅まで約2キロ、車で5分の距離にあります。
物件は大規模な住宅街のなかにあり、そのため商業施設や学校へのアクセスは良好です。住環境は申し分ありません。
周辺には加茂カントリークラブや美加ノ原カンツリークラブ、新奈良ゴルフクラブ、奈良パブリックゴルフ場などがあり、ゴルフ愛好家にはたまらない環境といえるでしょう。

京都市西京区嵐山中尾下町、木造3階建て、122平方メートル、4LKDが2,780万円

京都市の「区」にありながら3,000万円以内で買える物件を紹介します。
京都市西京区嵐山中尾下町にある木造3階建て、土地面積71平方メートル、延べ床面積122平方メートル、4LDKの物件が2,780万円で売りに出ています。2006年9月完成です。

土地面積は決して広くないのですが、3階建てにしてあるため、1階の3分ほどを車1台分の駐車スペースに割くことができています。1階にはその他に、浴室と洗面所と7.5畳の部屋があります。
2階に13畳のリビングダイニングキッチンと7.5畳の部屋があります。3階は9畳の部屋が2つあります。収納が多く、使い勝手がよさそうです。

京都市西京区嵐山中尾下町は阪急嵐山線の終着駅、嵐山駅の近くにあります。嵐山公園中之島地区や嵐山東公園が近くにあり、贅沢な散歩コースを設定できます。
嵐山モンキーパークいわたやま、京都オルゴール堂嵐山店、京都嵐山温泉花伝抄、風風の湯など観光施設が充実していて、にぎやかな雰囲気を好む人にはよいロケーションです。
嵐山中尾下町は一級の観光地でありながら、北西側には桂川が流れ、西側は嵐山のふもとの森が迫っていて、自然環境に恵まれた土地でもあります。
このような地区に自宅を持てば、会社の同僚や友人、親戚からうらやましがられるでしょう。

京都府の土地の売買状況

京都府の2018年の公示地価では、住宅地は下げ止まって上昇から横ばい(平均変動率0.0%)に転じました。商業地は平均変動率(前年比)が7.5%となり、これで5年連続で上昇しました。上昇率ランキングでは2年連続で日本一を獲得しました。
工業地は4.0%で4年連続の上昇、全体は1.9%で3年連続の上昇となりました。

ただ京都府内での京都市の独り勝ちは鮮明で、「そこそこ好調」な近郊地域(宇治市、城陽市、向日市、長岡京市、大山崎町)も大きく引き離しています。
そして、

  • 山城地域(八幡市、京田辺市、木津川市、久御山町、井手町、宇治田原町、笠置町、和束町、精華町、南山城村)
  • 南丹地域(亀岡市、南丹市、京丹波町)
  • 中丹地域(福知山市、舞鶴市、綾部市)
  • 丹後地域(宮津市、京丹後市、与謝野町、伊根町)

の4地域は出遅れ感が否めません。

京都府の地価の全国的な位置づけや、府内の市町村の土地価格の動向について詳しくみていきましょう。

京都府の住宅地は好調、商業地は絶好調

京都府の2018年公示地価の住宅地の平均変動率0.0%は、全国10位でした。全国平均が△0.3%で、1位は沖縄県の4.0%、2位東京都2.4%、3位福岡県1.1%でした。
京都府の住宅地の過去のランキングは、2017、2016年が11位、2015年が10位でしたので「10位ぐらい」が京都府の定位置となります。

住宅地は好調ですが、商業地はそれを上回り絶好調です。
2018年公示地価の商業地では、1位の京都府7.5%と2位の沖縄県7.3%は別格の強さで、3位の東京都5.9%、4位の大阪府5.7%、5位の宮城県4.7%を突き放しています。全国平均は1.1%でした。
京都府の商業地の過去のランキングは、2017年が1位、2016年4位、2015年5位でした。じりじり上昇し、2017年についにトップに躍り出て、2018年は王座を守った形です。

商業地の絶好調ぶりは、京都市の観光業の好調ぶりを受けてのことと推測できます。京都市の京都観光総合調査によると、2016年の1年間の観光消費額は1兆862億円(前年比11.9%増)でした。京都市は2020年に1兆円に到達する目標を打ち立てていたので、4年も前倒しすることができました。
観光客数は日本人、外国人ともに増え、宿泊客数は過去最高の1,415万人(前年比3.9%増)でした。
さらに、消費単価も過去最高の19,669円(前年比2,596円増)と「観光の質」も向上しています。国際会議開催件数も過去最高でした。
これだけ観光業が盛況だと、商業地を求める企業が増えるので地価が高騰するわけです。

京都府内の地域格差は拡大の一途

京都府内の公示地価が好調なのは、京都市が牽引しているからです。そして京都市以外の地域は低迷し地価格差が拡大しています。

まず2018年の住宅地の平均変動率(前年比)ですが、京都市は2.0%、近郊地域は0.3%上昇しました。しかし山城地域は△1.5%、南丹地域△1.2%、中丹地域△1.1%、丹後地域△0.8%と、軒並み前年割れしました。
そして最も高い京都市と最も低い山城地域の差は3.5ポイント(=2.0%-△1.5%)でした。
2015年は、最も高い京都市が0.4%で最も低い中丹地域が△1.5%でしたので、その差は1.9ポイントです。
2015年から2018年の3年間で地価格差が1.9ポイントから3.5ポイントに拡大しているのです。

商業地の格差拡大はさらに深刻です。
2018年の平均変動率は、京都市12.5%、近郊地域3.1%、山城地域0.2%、南丹地域△1.2%、中丹地域△0.8%、丹後地域△2.4でした。最高の京都市と最低の丹後地域の差は14.9ポイント(=12.5%-△2.4%)でした。
2015年は最も高い京都市が3.8%、最も低い丹後地域が△3.3%でしたので、差は7.1ポイント(=3.8%-△3.3%)でした。
2015年から2018年の3年間で商業地の地価格差は、7.1ポイントから14.9ポイントへと2倍以上になっています。

よりローカルな情報【住宅地編】

京都府内の2018年公示地価の住宅地について、よりローカルな情報を紹介します。
京都市では、右京区(2.7%)が前年までの下落から上昇に転じ、山科区(△0.3%)以外のすべての区で平均変動率(前年比)が以下のとおり上昇しました。
北区(1.7%)、上京区(7.4%)、左京区(2.7%)、中京区(7.6%)、東山区(4.5%)、下京区(4.7%)、南区(3.0%)、西京区(1.2%)、伏見区(0.2%)。

近郊地域は4市がすべて上昇し、宇治市(0.3%)、城陽市(0.2%)、向日市(1.2%)、長岡京市(0.2%)となりました。
山城地域は下落率の拡大がみられました。
また、山城地域以外の南丹・中丹・丹後の3地域も、地域経済の低迷、高齢化、人口減という、土地需要が後退する3大要因に見舞われ下落が続いています。

よりローカルな情報【商業編】

京都府内の2018年公示地価の商業地について、よりローカルな情報を紹介します。

京都市内では調査を継続している全55地点で上昇しました。特に下京区は20.8%の大幅な伸びで「バブル」の様相を呈しています。
そのほか、東山区の「四条通祇園町北側」地点が全国2位の上昇率29.2%を記録し、伏見区の「伏見5-1」地点が20.0%上昇しました。
下京区以外で10%を超えた区は、上京区(12.8%)、中京区(17.6%)、東山区(15.7%)でした。

近郊地域は上昇または横ばいでした。
そのほかの地域では、山城地域の京田辺市が2.4%の上昇、八幡市と精華町がともに0.0%(横ばい)だったほかは、山城地域の京田辺市以外の自治体、南丹・中丹・丹後地域の全市町村は下落しました。

京都府内で最も地価が高い場所

京都府内の2018年公示地価で、1平方メートル当たりの価格が最も高かった3地点をみてみましょう。
1位は「京都市中京区烏丸通四条上る笋町689番」の4,700,000円/平方メートルで、2017年より17.5%上昇しています(平均変動率が17.5%ということ)。
2位は「京都市中京区烏丸通六角下る七観音町638番」の3,600,000円/平方メートルで、同17.7%です。
3位は「京都市中京区河原町通三条下る2丁目山崎町238番」の3,400,000円/平方メートルで同21.9%です。

いずれも京都市中京区でした。
そして3地点とも上昇率が約20%と、かなりの高率です。つまり、価値が高い土地は、ますますその価値を高めています。これも京都府の地価格差拡大の要因のひとつになっているのです。

まとめ~安いわけがないが安心はできない

京都の中古マンション、中古戸建て、土地の価格が高値で取り引きされているのは、当然といえば当然です。かつての日本の首都であり、大阪経済圏の柱であり、日本観光ブームの中心地――その京都に人や企業が集まらないわけがなく、そうなれば不動産はいくらでも必要になります。

ただ、その京都ですら、バブル崩壊後の失われた20年に飲み込まれた過去を持ちます。したがって売却用の不動産を保有しているオーナーは、現在の好景気がいつまでも続くとは考えないほうがいいでしょう。
確かに公示地価をみれば、前年比で20%も上昇した地点がありました。しかしそれは特殊事例と考えるべきでしょう。自身の保有不動産がそのような恵まれた状況にないのであれば、やはり「早めに売却する」のが間違いないといえます。