長崎県内の「中古マンション、中古戸建て、土地」の相場と売却事例を紹介します。
結論を先に述べると、長崎県内に売却用の不動産を保有している方は、本格的に売却の準備に取りかかりましょう。
少なくとも不動産仲介業者に査定を依頼しましょう。査定額さえ把握しておけば、資金計画を作成することができますし、いつでも売却活動に着手できます。
今ならまだ「投げ売り」する必要はなく、じっくり買い手を探すことができます。なぜなら中古マンション市場も中古戸建て市場も平穏を保っていますし、長崎県経済が悪化していないからです。
不動産価格は地域経済の影響を受けます。したがってこれから不動産を売ろうとしている方は、長崎県経済と地元の市町経済をしっかりウォッチする必要があります。
長崎県経済は勢いがあります。それは、長崎新幹線や世界遺産観光、観光投資といった起爆剤があるからです。これは九州の他県がうらやむレベルです。
では、不動産の売却を延期して高値になるのを待つべきかというと、そこまで条件が整っているわけではありません。経済指標も不動産価格の動向も、悪化傾向が見え隠れしています。
長崎県の不動産オーナーは「売れる時に売る」姿勢でいたほうがよいでしょう。
- 長崎県の経済は今悪くない
- 値上がりを待つのは得策ではない
- 好条件を待つより、悪条件を回避するようにしたほうがいい
長崎県の不動産の全体的な話題
不動産の種類ごとの動向を探る前に、長崎県内の不動産全般に影響を与えそうな話題を紹介します。よいニュースと悪いニュースを合わせてみていきます。
長崎新幹線、2022年度に暫定開業【よいニュース】
九州新幹線長崎ルート(博多-長崎、長崎新幹線)が2022年度に暫定開業します。新幹線はいつの時代も大きな経済効果をもたらすので、これは不動産市場にとって間違いなくよいニュースです。
ただ、博多と長崎の間にある佐賀県が、長崎新幹線への大型投資に難色を示しています。また、博多-長崎間は全線新幹線規格になるわけではなく、一部が在来線規格になります。
それでも暫定開業までこぎつければ長崎県と福岡県の距離は相当縮まり、九州最大の経済圏の恩恵を受けることができます。そうなれば不動産需要も高まるので、価格の安定が期待できます。
世界遺産効果で観光好調、投資も進む【よいニュース】
次もよいニュースです。
「2017年長崎県観光統計」によると、2017年の長崎県の観光客延べ数は33,568,114人で、前年より4.2%増え過去最高を更新しました。長崎県観光は2016年の熊本地震で一時落ち込みましたが、見事に復活しました。
ハウステンボス(佐世保市)の入場者の増加やクルーズ客船の長崎入港など、目玉行事が奏功しました。
また長崎には、「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」や「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」といった世界文化遺産があります。世界遺産は恒久的に集客できるので、訪日外国人客の増加傾向と合わせて、今後も長崎観光は期待できます。
また、離島である対馬市や五島市で大型ホテルやペンション、ジャンボタクシーなどの大型・中型投資が相次いでいます。韓国資本も参入しているといいます。
観光業の盛り上がりと継続的な観光投資は、不動産価格に二重によい効果をもたらします。
ひとつめの効果は、不動産需要の高まりです。観光ビジネスは土地も施設も住宅も必要になるので、需要が高まって不動産価格が安定します。
2つめの効果は、イメージアップです。観光地には、住みたい街になりやすい傾向があります。つまり観光地は「ブラント地域」になれる可能性を秘めています。例えば、軽井沢より自然豊かで風光明媚な土地はたくさんあっても、ブランド化されていない地域の不動産価格は軽井沢ほど高くはありません。
したがって、観光客の注目を集めている長崎県は、ブランド地域になるポテンシャルを有しているわけです。
経済規模は小さいが経済の勢いは日本一【よいニュース】
内閣府の県民経済計算によると、2015年の長崎県の県内総生産は4.4兆円で、47都道府県中32位でした。
長崎県より上位の3県は、29位富山県4.6兆円、30位石川県4.6兆円、31位青森県4.5兆円でした。
長崎県より下位の3県は、33位大分県4.4兆円、34位沖縄県4.1兆円、35位山形県4.0兆円でした。
経済規模(県内総生産)では長崎県は下位グループに甘んじていますが、2014年から2015年にかけての上昇率は7.6%増で堂々の1位を獲得しました。
2位福井県6.5%増、3位岡山県5.9%増でしたので、長崎県は唯一の7%台でした。
住宅に関する指標が弱含み【悪いニュース】
続いて、不動産価格に悪い影響を及ぼすニュースを紹介します。
財務省の長崎財務事務所が2019年4月に公表した「長崎県内経済情勢報告」によると、長崎県経済の総括判断は「緩やかに持ち直している」で、前回の1月の判断を据え置きました。
しかしその報告の中身をみると気になる数字があります。
新設住宅着工戸数が前年を下回りました。前回の1月も前年を下回っていました。日本人は新築志向が強く、中古住宅は敬遠される傾向にあります。したがって新設住宅着工戸数の数字が悪化しているということは、それに先行して中古マンション市場や中古戸建て市場が悪化している可能性があります。
また、やはり長崎財務事務所が2019年3月に公表した「法人企業景気予測調査」によると、企業の景況判断は全産業で△12.0%減、製造業は△26.9%減、非製造業は△7.3%減でした(△はマイナス)。長崎県内の多くの企業が、景気が下降していると感じています。
経営者が「景気が悪化している」と感じると、企業は投資を控えるので不動産需要は落ちこみます。そして実際に景気が悪化し始めると企業は保有不動産を売却するので、不動産価格は一気に下落します。
個人の不動産オーナーは、そうなる前に売却しておきたいところです。
長崎県の中古マンションの売買状況
それでは不動産の種類ごとに動向を探っていきます。
まずは中古マンションの売買状況を紹介します。長崎県内の中古マンション市場は小さく、市場が形成されているのは、長崎市、佐世保市、諫早市、大村市だけです。
価格上昇も乱高下が気になる
全国指定流通機構連絡協議会が運営する不動産取引情報提供サイト「レインズマーケットインフォメーション」(以下、レインズ)によると、長崎県内の中古マンションの価格動向は次のとおりです。
レインズ 中古マンション動向 長崎県全域 |
2017年6月から2017年8月 | 2017年9月から2017年11月 | 2017年12月から2018年2月 | 2018年3月から2018年5月 | |
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合計成約件数(件) | 23 | 32 | 48 | 38 | |
平均成約価格(万円) | 1,583 | 1,741 | 1,948 | 1,899 | |
平均m²単価(万円/m²) | 21 | 25 | 25 | 24 | |
平均専有面積(m²) | 73 | 71 | 74 | 80 | |
2018年6月から2018年8月 | 2018年9月から2018年11月 | 2018年12月から2019年2月 | 2019年3月から2019年5月 | 2017年6月比 | |
合計成約件数(件) | 31 | 46 | 33 | 33 | 43% |
平均成約価格(万円) | 1,874 | 1,999 | 1,777 | 1,918 | 21% |
平均m²単価(万円/m²) | 24 | 26 | 24 | 27 | 25% |
平均専有面積(m²) | 77 | 79 | 73 | 71 | -3% |
成約件数は、「2017年6~8月」の23件から2年後の「2019年3~5月」には43%増の33件になりました。中古マンション市場は拡大しています。
平均成約価格も同じ期間、1,583万円から1,918万円へと21%も上昇しています。平均平方メートル単価も21万円/平方メートルから27万円/平方メートルへと25%上昇しています。
市場が大幅に拡大し、価格も急上昇しています。この数字だけをみると長崎県内の中古マンション市場は「プチバブル」の様相を呈しています。
先ほどみた新設住宅着工戸数は前年割れが続いていたので、中古マンション市場は新設住宅と「真逆」の動きをしていることになります。
しかし上記の表を丹念に追うと、真逆ではないことがわかります。
例えば成約件数を前年同期でみると、「2019年3~5月」の33件に対し「2018年3~5月」は38件なので△13%減です。
平均成約価格でも、「2018年12月~2019年2月」の1,777万円に対し「2017年12月~2018年2月」は1,948万円なので△9%減です。
このように長崎県内の中古マンション市場は乱高下を繰り返していて、これが隠れた悪化傾向を示しています。
「長崎県内の中古マンションのオーナーは売却を急いだほうがよい」というアドバイスは、こうした状況が背景にあります。
景気が上昇基調でない以上、今後中古マンションが急騰することは考えにくいでしょう。したがって、売却を延期しても値段が上がることは「あまり」期待できませんし、市場が乱高下を繰り返しているということは、下落する可能性が「大いに」あるということになります。
ポジティブ要素が「あまり」なく、ネガティブ要素が「大いに」ある現状は、売却準備に着手する十分な理由になります。
それでは次に、長崎県内で売りに出ている個別物件をみていきます。
長崎市中川2丁目の9階92平方メートル4LDKが3,080万円
長崎市中川2丁目にある14階建て全52戸のマンションの9階、92平方メートル4LDKの部屋が3,080万円で売りに出ています。2007年9月完成です。
豪華かつ個性的なデザインのエントランスが目を引きます。92平方メートルもあるので、4部屋取っていてもリビングダイニングは15帖と十分な広さを確保しています。キッチンは「半分」対面式の変わったつくりです。シンク、浴室、トイレ、洗面台の水回りの設備は築10年以上経過していますが古さはまったく感じません。マンションには珍しく、各戸に門扉がついています。
長崎市中川2丁目は路面電車の長崎電気軌道・蛍茶屋駅の北側に広がるエリアで、マンションや高級戸建てが建ち並ぶ住宅街を形成しています。近くには学校、図書館、飲食店などがあります。
蛍茶屋駅からJR長崎駅までは路面電車で7分で、都市機能へのアクセスは良好です。
マンションの質と立地条件を考えると、約3,000万円は十分検討の価値がありそうです。
佐世保市光月町7の2階87平方メートル3LDKが1,598万円
佐世保市光月町7にある5階建て全15戸のマンションの2階、87平方メートル3LDKの部屋が1,598万円で売りに出ています。1983年3月完成です。
明るい茶色のタイル張りの外観が目を引きます。87平方メートルで3LDKなので、リビングダイニングも居室も広々しています。この物件は現在、不動産会社が所有していて、リビングダイニングはモデルルームのように食卓テーブル、椅子、ソファ、ローボード、ラグなどが並べられています。1,598万円は、これらの家具を含む金額です。
キッチンは対面式で、上部に棚がない「すっきりタイプ」です。IHクッキングヒーターや、シンク、浴室、トイレ、洗面台の水回り設備はリフォーム済です。床と壁もプロのクリーニング業者が清掃していて清潔感があります。外観をみないで部屋のなかに入ったら、新築物件と思うかもしれません。
佐世保市光月町7は松浦鉄道・中佐世保駅から200メートルほどの場所にあります。周囲には佐世保市体育文化館、長崎家庭裁判所佐世保支部、ホテルロータスハウス、親和銀行、千住病院、商業施設、ライザップ佐世保店などがあります。小学校と中学校も半径1キロ圏内にあります。
さらに足を伸ばすと、佐世保公園やニミッツパーク、させぼシーサイドパークといった憩いの場やレジャー施設があります。
佐世保湾まで2キロほどなので、生活のなかで海を感じることができます。
築35年以上経過していますが、海の街にあるリフォーム済物件としてはお値ごろ感がある価格です。
諫早市幸町4の2階83平方メートル4LDKが1,350万円
諫早市幸町4にある14階建て全89戸のマンションの2階、83平方メートル4LDKの部屋が1,350万円で売りに出ています。1990年6月完成です。
83平方メートルで4部屋取っているので、リビングは10帖ほどとやや狭い印象です。またキッチンは壁に向かっているタイプで、対面式ではありません。築30年になろうとしているので、シンクを含めトイレ、浴室、洗面台の水回りは「それなり」です。
諫早市幸町4は、島原鉄道の本諫早駅と幸駅の中間に位置します。周囲にはビジネスホテル、眼科クリニック、居酒屋、ハローワーク、長崎地方法務局諫早支局、学校などがあります。
1キロほど歩くと、上山公園、長崎県立総合運動公園、わいわいプール、長崎県立総合運動公園、トランスコスモススタジアム長崎、サッカー球技場などの運動施設が集中するエリアに到着しますので、絶好のウォーキングコースになるでしょう。
大村湾までは直線距離で5キロほどです。
これだけ住環境に恵まれているので、築年数が気にならなければ、1,500万円を大きく割り込む価格は魅力的です。
長崎県の中古戸建ての売買状況
続いて長崎県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
長崎県民は戸建て志向が強いので、中古戸建て市場は郡部にも広がっています。中古マンションよりは売りやすいでしょう。
市場は微増、価格は上昇基調
長崎県全域の中古戸建ての価格動向は以下のとおりです。
レインズ 中古戸建て 長崎県全域 |
2017年6月から2017年8月 | 2017年9月から2017年11月 | 2017年12月から2018年2月 | 2018年3月から2018年5月 | |
---|---|---|---|---|---|
合計成約件数(件) | 47 | 56 | 44 | 56 | |
平均成約価格(万円) | 1,461 | 1,902 | 1,869 | 1,789 | |
平均土地面積(m²) | 199 | 224 | 194 | 181 | |
平均建物面積(m²) | 109 | 115 | 108 | 107 | |
2018年6月から2018年8月 | 2018年9月から2018年11月 | 2018年12月から2019年2月 | 2019年3月から2019年5月 | 2017年6月比 | |
合計成約件数(件) | 49 | 50 | 71 | 48 | 2% |
平均成約価格(万円) | 1,617 | 1,897 | 1,651 | 1,947 | 33% |
平均土地面積(m²) | 208 | 240 | 197 | 245 | 23% |
平均建物面積(m²) | 110 | 124 | 116 | 120 | 9% |
中古戸建て市場の規模の指標になる成約件数は、「2017年6~8月」の47件から「2019年3~5月」の48件へと2%の微増となっています。
平均成約価格は同じ期間に1,461万円から1,947万円へと33%も上昇しています。2,000万円に迫る価格は、売却用の中古戸建てを保有しているオーナーには朗報といえますが、懸念材料もあります。
「2018年12月~2019年2月」は1,651万円で、「2019年3~5月」の1,947万円より△15%も低い価格です。中古マンション同様、長崎県内の中古戸建て市場も乱高下が続いています。
中古戸建てオーナーもやはり、いつでも売ることができる態勢を整えておくことが肝要です。
それでは売りに出ている物件をみていきましょう。
長崎市西泊町8の102平方メートル4SLDKが3,290万円
長崎市西泊町8にある軽量鉄骨2階建て、土地面積156平方メートル、延べ床面積102平方メートル4SLDKが3,290万円で売りに出ています。2013年8月完成です。
外観をひと目みただけで「立派な家」と感じるでしょう。外壁材の質の高さはすぐにわかります。庭に面した部屋には縁側があり、駐車スペースには3台停めることができます。
延べ床面積も100平方メートルを超えているので、4部屋あってもリビングダイニングは16帖を確保しています。築浅物件なので、対面式キッチン、浴室、トイレ、洗面台は最新式が設置されています。収納の多さは主婦に喜ばれるでしょう。
長崎市西泊町8は海に面した地域です。また背後には豊かな森が広がります。周囲には学校はあるものの、商業施設はほとんどありません。ただJR長崎駅まで道路距離で5キロほどなので、自動車があれば都市機能へのアクセスは問題ありません。
それよりも県庁所在地のセントラルステーションであるJR長崎駅から5キロ離れただけで静寂な生活を手に入れることができるのは、地方都市に住む醍醐味といえます。
3,500万円を大きく割り込む価格で豪華な築浅物件を手に入れられるのも、地方都市ならではです。
大村市黒丸町の129平方メートル5LDKが2,400万円
大村市黒丸町にある軽量鉄骨2階建て、土地面積364平方メートル、延べ床面積129平方メートル5LDKが2,400万円で売りに出ています。2000年9月完成です。
この物件の第一印象は「広大な敷地のなかに建つ立派な家」となるでしょう。この家なら家庭菜園もガーデニングもひとクラス上を目指せます。延べ床面積もたっぷりあるので、9帖、8帖、8帖、6.4帖、4.5帖の5部屋を確保しながら、リビングダイニングキッチンは17帖あります。
そのリビングダイニングキッチンは、床面から天井までがガラスになっている「掃き出し窓」を使っているので解放感があります。シンク、浴室、トイレ、洗面台は、築20年になるので古さは隠せませんが、使い勝手に支障はなさそうです。
大村市黒丸町は大村湾に面した地区で、毎日海を感じながら生活することができます。住宅街ですが家々はそれほど密集してなく、この物件のようにどの家も広い庭を有しています。こども園や小学校、中学校が近くにあります。牧山内科外科医院や長崎医院も半径1キロ圏にあり安心です。
半径5キロ圏には、JR大村線・竹松駅、長崎空港、長崎自動車道・大村インターチェンジ、私立大村市民病院、天然温泉ゆの華などがあります。
田舎に移住したいが都心部とのアクセスも保ちたい、という人にはうってつけの物件といえそうです。
長与町の本物のお屋敷が7,000万円
長与町岡郷にある木造2階建て、土地面積929平方メートル、延べ床面積243平方メートル8DKのこの物件は、本物のお屋敷です。
売り出し価格は7,000万円で、1983年10月完成です。
日本瓦をふんだんに使った「入母屋屋根(いりもややね)」を持つ、旧家といったたたずまいの家です。広い玄関から家のなかに入ると広い廊下が続いています。8つの部屋はすべて畳が敷かれた和室です。
長与町岡郷は長与川の河口付近にあり、海まですぐそこです。近くには長与総合公園や町民体育館、長与シーサイドパーク多目的広場などがあります。イオン時津ショッピングセンターまでは2キロほどですので、徒歩で買い物に行くこともできます。半径3キロ圏内には長崎百合野病院や長崎県立大学、長崎外国語大学があります。
JR長崎本線・長与駅までは約3キロで、長与駅から長崎駅まではJRで15分の近さです。
かなりの高額物件ですが、例えば旧家を改装したカフェを開くこともできそうです。
長崎県の土地の売買状況
長崎県の2018年の公示地価の平均変動率(前年比)は、次のとおりでした。
( )は2017年の平均変動率で、△はマイナスです。
- 全用途:△1.0%減(△1.3%減)
- 住宅地:△1.2%減(△1.5%減)
- 商業地:△0.3%減(△0.8%減)
3項目すべてで2017年より下落幅が改善したものの、下落傾向は続いています。住宅地は20年連続、商業地は26年連続の前年割れです。
公示地価は、土地の市場価格だけでなく、その他の不動産価格にも影響を与えますし、また不動産全体の状況が公示地価に反映されます。これは率直に「厳しい状況」といえるでしょう。
平均価格は以下のとおりです。
- 全用途:41,900円/平方メートル
- 住宅地:24,100円/平方メートル
- 商業地:93,300円/平方メートル
長崎市の住宅地は微減、商業地は好調
それでは地域ごとの公示地価の動向をみていきましょう。
まず県庁所在地の長崎市の2018年の公示地価は以下のとおりです。平均変動率、平均価格の順に記載しました。
- 全用途:1.0%増、101,300円/平方メートル
- 住宅地:△0.1%減、44,000円/平方メートル
- 商業地:4.0%増、247,800円/平方メートル
住宅地は前年割れしましたが、下げ幅は最小レベルです。長崎市は坂が多い街なので平坦地は希少性が高く、そこに利便性や快適性が加わると高値で取り引きされます。逆に、斜面地で自動車の通行が困難な土地の価格は下落傾向が続き、底値がみえません。
商業地は大幅上昇となりました。この背景には県庁移転、新幹線の延伸、土地区画整理事業などの「大イベント」があります。また、長崎県内で最大の繁華街である「浜町アーケード」の周辺はマンション用地の需要が高く、商業地価の上昇をけん引しています。
佐世保市、諫早市、大村市の【住宅地】の動向
次に、長崎市以外の主要市である佐世保市、諫早市、大村市の2018年の住宅地価の動向をみてみます。
佐世保市の平均変動率は△0.9%減、諫早市は△0.9%減、大村市は0.3%増でした。
佐世保市では、利便性の高い土地は前年より上昇していますが、やはり斜面地の下落が足を引っ張りました。
諫早市は既存の分譲住宅地が売れ残っていて、供給過剰状態が続いています。ただ、市中心部の地価は安定してきています。
大村市は新興住宅地の取り引きが順調で2017年に引き続き2018年も前年比増を達成しました。
3市の平均価格は次のとおりです。
- 佐世保市:27,600円/平方メートル
- 諫早市:25,900円/平方メートル
- 大村市:30,700円/平方メートル
長崎市の住宅地44,000円/平方メートルに比べると見劣りしますが、3市のなかでは最も平均価格が高い大村市が前年を上回っているのは「大健闘」といえます。
佐世保市、諫早市、大村市の【商業地】の動向
佐世保市、諫早市、大村市の商業地価の動向をみてみます。
2018年の平均変動率は佐世保市△0.9%減、諫早市△1.0%減、大村市0.6%増と、商業地でも大村市の健闘が光ります。
3市の平均価格は次のとおりです。
- 佐世保市:97,200円/平方メートル
- 諫早市:48,400円/平方メートル
- 大村市:54,100円/平方メートル
長崎市の商業地の平均価格は247,800円/平方メートルでしたので、格差は歴然としています。これは経済の強さと弱さが如実に反映した結果といえます。
「2015年度長崎県の市町民経済計算」によると、市町内総生産額は長崎市の1.5兆円に対し、佐世保市0.7兆円、諫早市0.6兆円、大村市0.3兆円でした。2位の佐世保市でも長崎市の約半分、大村市は5分の1です。
まとめ~売るなら経済情勢がよい今
長崎県経済は今、悪くありません。中古マンション、中古戸建て、土地を売るなら今です。中古マンションと中古戸建ては価格が上昇していますが、短期的には下落する局面もあり市場は不安定です。今後、不動産需要が急拡大する要因が見当たらないため、値上がりを待つのは得策ではありません。
長崎県内の不動産オーナーは、好条件を待つより、悪条件を回避したほうがよいでしょう。
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- 関連ページ:北海道の不動産売却時の相場
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