晴れた日の桜島
鹿児島県内に使用する予定がない「中古マンション、中古戸建て、土地」を所有している方は、そろそろ真剣に売却の準備に取りかかったほうがいいでしょう。

鹿児島県の不動産関連の情報や指標をみると、順調な数字のなかに「悪い数字」が見え隠れしています。不動産オーナーはつい、よい数字のほうを信じ、悪い数字を「気のせい」と思いたがります。しかし悪い数字を見逃すと、適正価格で売却する機会を逸することになりかねません。

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」による鹿児島ブームや鹿児島中央駅周辺の大規模再々開発、九州第3位の経済力等々、こうした景気のよい話で安心しないようにしてください。
鹿児島銀行などは、鹿児島県経済は下降し始めていると警鐘を鳴らしています。

不動産価格は地域経済に連動しますので、景況感の悪化が現実のものになれば、不動産価格は急落するでしょう。
そうなる前に「中古マンション、中古戸建て、土地」を手放す方法を検討するべきです。

この記事のポイント!
  • 再開発やドラマの影響で地域は活性化している
  • しかし不動産価格の値上がりは期待しにくい
  • 不動産会社と相談し良い条件があればすぐに売却しよう

鹿児島県の不動産の全体的な話題

不動産の種類ごとの価格動向をみる前に、鹿児島県全体の最近の経済ニュースを確認しておきます。
県経済は県内の不動産価格に大きな影響を与えるからです。

原則、景気が上向けば不動産価格は上昇し、景気が落ち込めば不動産価格は下落します。

ただ、鹿児島県のような地方県の場合、景気が上向いても不動産価格の上昇が鈍く、景気が落ち込むと敏感に下落する傾向があるので注意してください。

そんな鹿児島県の不動産に関わる経済状況を【よいニュース】と【悪いニュース】にわけて紹介します。

【よい経済ニュース】最大の繁華街「天文館」で開発進む

鹿児島県の天文館
鹿児島県内最大の娯楽・商業エリアである鹿児島市の天文館はJR鹿児島中央駅と鹿児島駅のほぼ中間に位置しています。
海にも近く、ここ数年で再開発が進み注目されている地域です。

2019年6月、そんな天文館に鹿児島銀行の新本店ビルの一部が開業しました。

「よかど鹿児島」という愛称が付けられたこのビルは、地上13階、地下1階の本館の金生町ビルと、地上8階、地下1階の別館の泉町ビルの2棟で構成されています。

今回開業したのは別館の泉町ビルです。
本館は2020年4月に開業する予定です。本館には27のテナントが、別館には14のテナントが入居します。

よかど鹿児島の物販部分は、南九州の黒豚やご当地ラーメン、スイーツなどの「よかもの」を集めた商業施設で、鹿児島観光の起爆剤になると期待されています。

また、入居する小売店や飲食店は、完全キャッシュレスで運営します。
この事業に先行して鹿児島銀行では、独自のスマホ決済「Payどん」の運用を開始しました。

【よい経済ニュース】鹿児島中央駅の駅ビルの来館者は年1,000万人に

九州新幹線の終着駅である鹿児島中央駅は2004年に開業しました。
それから15年が経過した2019年、同駅周辺は「再々開発」が行われています。

新幹線の乗り入れと同時に開業した鹿児島中央駅・複合商業駅ビルは地上6階、一部7階、地下1階、延べ床面積6.7万平方mという規模です。
ビル内には211のショップや飲食店、シネコンなどが入居しており、ビル屋上の設置された大観覧車がランドマークになっています。
この複合商業駅ビルの集客力は年間で1,000万人に及びます。

鹿児島中央駅の再々開発の現場は、現在プロジェクトが進行中の「中央町19・20番街区第一種市街地再開発事業」です。

鹿児島県初の本格的な超高層建築で、地上24階、地下1階、高さは99.98m、延べ床面積は4.7万平方mです。
1~7階が商業施設で、そのうち5・6階がホール、8~24階が分譲マンションという構成になっています。

さらに、このビルと鹿児島中央駅・複合商業駅ビルと南国センタービルを結ぶ歩行者デッキも整備される予定です。
一部商業施設は2020年10月に開業し、全体の完成は2021年1月になる予定です。

この鹿児島中央駅の再々開発の余波はすでに地価に現れていて、2018年公示地価でも軒並み地価が上昇しています。この点については後段で詳しく紹介します。

【よい経済ニュース】その他の再開発や「西郷どん」ブームなど

その他にもよい経済ニュースがあります。
NHK大河ドラマ「西郷どん」をきっかけにして、西郷隆盛ゆかりの地を巡るツアーが開発されるなど、鹿児島県観光が元気です。

「西郷どん」放映前の2017年時点でもすでに、鹿児島県内の延べ宿泊者数は7,986,670人となりました。

この数字は過去6年間で最多で、2012年(6,870,930人)と比較すると16%も増えています。「西郷どん」効果が見込まれる2018年はさらなる増加が期待されます。

また、鹿児島市高麗町の交通局跡地に建設される予定の複合施設「キ・ラ・メ・キ テラス」には、分譲マンション、病院、シェラトン鹿児島ホテルが入居します。

さらに鹿児島中央駅西口の県工業試験場跡地では、鹿児島県が総合体育館を建設中です。地上4階、地下1階で、客席数は8,000人です。

またサッカープロリーグJ2に昇格した鹿児島ユナイテッドFCの本拠地になる新スタジアムの建設候補地が、「浜町バス車庫」「ドルフィンポート」「住吉町15番街区」の3カ所に絞られるなど、鹿児島市内は発展してきています。

このように、鹿児島県にはよい経済ニュースが目白押しです。
しかし、この上昇ムードに水を差す【悪い経済ニュース】がいくつかあります。

【悪い経済ニュース】県経済は「ぎりぎり上位グループに届かず」

内閣府の県民経済計算によると、2015年の鹿児島県の県内総生産は5.4兆円で47都道府県中26位でした。
九州では福岡県(全国9位、18.9兆円)、熊本県(全国25位、5.6兆円)に次ぐ3位でした。
そして鹿児島県の2014年から2015年への成長率は3.2%増で、全国25位でした。
九州内の成長率でも、19位福岡県(3.7%増)、24位大分県(3.2%増)に次ぎ3位でした。

鹿児島県の経済力は九州内では存在感がありますが、全国的にみると、経済規模でも成長率でも、ぎりぎり「下位グループ(24位以下)」に入ってしまいました。

少しずつ発展を見せていますが、鹿児島県経済の「地力」は決して強いわけではありません。

したがって、好景気で地価が膨大に沸く可能性が低く不景気に反応しやすい性質があります。

鹿児島県内の不動産オーナーは、経済イベントに一喜一憂することなく冷静に現状を見極める必要があるでしょう。

【悪い経済ニュース】県内景況に並ぶ「弱」

物価が下落
鹿児島銀行と九州経済研究所は2019年7月に県内景況を発表し、次のように評価しました。

「雇用情勢が堅調に推移しているものの、観光関連の一部で弱含んでいるほか、生産活動や消費関連、投資関連がやや弱含むなど、全体としてやや弱っている」(*)

*:https://www.kagin.co.jp/library/pdf_release/news20190731_142_keikyo.pdf

弱い数字は以下のとおりです。

  • 5月の焼酎生産が3カ月ぶりに前年を下回る
  • 4月の鰹節生産が6カ月連続で前年を下回る
  • 6月の紙パルプ生産が2カ月連続で前年を下回った
  • 6月の主要ホテル・旅館宿泊客数のうち鹿児島・霧島・指宿地区は2カ月連続で下回り、島しょ部の種子島・屋久島地区も2カ月連続で下回った
  • 新設住宅着工戸数が2カ月連続で前年を下回った
  • 主要建設資材卸売業者の売上は2カ月ぶりに前年を下回った

上記6項目のうち、特に赤字の項目に注意してください。

鹿児島観光が、2019年に入って好調さを失いかけています。2018年の「西郷どん」特需の反動と考えられます。

そして「中古マンション、中古戸建て、土地」の価格に影響を及ぼす新設住宅着工戸数が不振です。日本人は新築志向が強いので、日本の住宅業界は、新築市場より先に中古市場が落ち込みます。
したがって新設住宅着工戸数に勢いがなくなれば、中古市場が先に低迷している可能性があります。この点は、後段で詳しくみていきます。

【よい経済ニュース】と【悪い経済ニュース】を把握したうえで、不動産の種類ごとの動向をみていきましょう。

鹿児島県の中古マンションの売買状況

握手している男性
鹿児島県内の中古マンションの売買状況をみてみましょう。
鹿児島県でしっかりした中古マンション市場が形成されているのは、鹿児島市と霧島市だけです。その両市の動向は以下のとおりです。

鹿児島県内の中古マンション相場
鹿児島市 全平均 1,914万円
4LDK以上 2,549万円
3LDK~4DK 2,300万円
2LDK~3DK 1,801万円
1DK~2DK 856万円
1R~1K 381万円
霧島市 全平均 1,781万円
4LDK以上 なし
3LDK~4DK 2,094万円
2LDK~3DK なし
1DK~2DK なし

鹿児島市内の中古マンション全体の平均は1,914万円でした。福岡市は2,715万円、熊本市は1,868万円ですので、鹿児島市も熊本市も福岡市にはるかに及ばないことがわかります。

つまり鹿児島市内の中古マンションは、九州内では好調に推移しているようにみえるかもしれませんが、大都市と比べると見劣りします。

また高級帯の4LDK以上では、鹿児島市の平均価格は2,549万円でした。こちらも福岡市の4LDKの平均は3,322万円なので、その差はかなり大きいといえます。

霧島市の中古マンション価格は、県庁所在地以外の市としては健闘しているといえそうです。しかし間取りが足りていない物件があり、市場が活発な状態であるとは言えません。

それでは次に、どのような物件が市場に出回っているのかみていきましょう。

鹿児島市平之町の3階、106平方m3LDKが2,680万円

鹿児島市平之町にある8階建て全33戸のマンションの3階、106平方m3LDKの部屋が2,680万円で売りに出ています。1990年2月完成です。

100平方mを超えていながら3部屋しか取っていないので、リビングダイニングは21.6帖と広々としています。

築年数が約30年になるので、キッチンは壁のほうを向いた昔ながらのタイプで、対面式でもアイランド式でもありません。

ただリビングダイニングには、天井から床までが窓になっている掃き出し窓が設置されていて開放感があります。
トイレ、浴室、洗面台は築年数相応です。

鹿児島市平之町は甲突川に面した地区で、近くに城山公園、中央公園、天文館公園といった憩いの場が多くあります。
さらに近隣に白石病院、中江病院、内科有馬病院、厚地脳神経外科病院があり、安心して暮らせそうです。学校も徒歩圏内にあります。

市電・加治屋町と高見馬場駅の両駅は500mほどの場所にあります。そして鹿児島中央駅まで直線距離で1キロ弱しかありません。

築年数と低層階であることを考え合わせても、この広さとこの住環境で3,000万円を大きく割り込む価格は値ごろ感があります。

霧島市国分中央3丁目の12階、90平方m4LDKが2,900万円

霧島市国分中央3丁目にある14階建てマンションの12階、90平方m4LDKの部屋が2,900万円で売りに出ています。2013年3月完成です。

周囲に高い建物がないので、14階建てのこのマンションは地域のランドマークのような存在です。住人はステータスを感じることができるでしょう。
延べ面積は90平方mあるので、4部屋あってもリビングダイニングは23帖あります。
4帖の和室がリビングダイニングにくっついているので、ここを開放すればさらに広い空間を確保できます。

リビングダイニングの窓はこちらも掃き出し窓を採用しています。キッチンは対面式で、食器棚も高級感があります。水回りの設備は最新のものが採用されていて使い勝手がよさそうです。

霧島市国分中央3丁目はJR日豊本線・国分駅前に広がる地区です。同駅から鹿児島中央駅まではJRで39分ですので、都市機能へのアクセスは悪いほうではないでしょう。

霧島市国分中央3丁目とその周囲には、アパホテル鹿児島国分、国分中央病院、学校、飲食店などがあります。
半径1キロ圏内には、霧島市国分体育館、国分陸上競技場、国分城山公園、京セラ鹿児島国分工場などがあります。
桜島までは20キロほどです。

国内有数の観光地の近くにある、広めの10階を超えるマンションなので2,900万円は妥当な額といえるのではないでしょうか。

鹿児島県の中古戸建ての売買状況

続いて鹿児島県の中古戸建ての売買状況をみてみましょう。
全国指定流通機構連絡協議会が運営する不動産取引情報提供サイト「レインズマーケットインフォメーション」(以下、レインズ)によると、鹿児島県全域の中古戸建ての価格動向は以下のとおりです。

 

レインズ
鹿児島県全域
中古戸建て
2017年8月
から
2017年10月
2017年11月
から
2018年1月
018年2月
から
2018年4年
2018年5月
から
2018年7月
合計成約件数(件) 46 48 75 76
平均成約価格(万円) 2,078 2,034 2,083 2,170
平均土地面積(m2) 161 157 168 157
平均建物面積(m2) 100 99 100 105
2018年8月
から
2018年10月
2018年11月
から
2019年1月
2019年2月
から
2019年4月
2019年5月
から
2019年7月
2017年8月比
合計成約件数(件) 42 46 79 96 109%
平均成約価格(万円) 2,202 2,056 2,161 2,228 7%
平均土地面積(m2) 196 163 160 163 1%
平均建物面積(m2) 2,261 103 102 105 4%

成約件数に注目してください。「2019年5~7月」が96件で、2年前の「2017年8~10月」46件と比較すると109%増となっています。

つまりこの2年間で中古戸建ての成約件数は2.1倍になったということです。
驚異的な上昇率といえます。
それに伴って平均成約価格も同じ期間、2,078万円から2,228万円へと7%増とやはり大きな伸びとなっています。
プチバブルのようにみえます。

ただこの数字をもって、さらなる高値を狙って中古戸建ての売却を延期することはおすすめできません。それはこの表の2カ所で前年比減が起きているからです。

「2018年8~10月」の成約件数は42件で、前年同期の46件から4件減です。「2018年11~2019年1月」の成約件数も46件で、前年同期の48件から2件減です。

このように鹿児島県の中古住宅市場は乱高下を繰り返していて、安定していません。

市場が混乱しているときは「動かない」ことが原則ですが、先ほど確認した鹿児島県経済への懸念や地価の動向などを考慮すると、混乱から上昇に転じるとは考えにくいでしょう。
したがって、よい売却の機会があれば、手放したほうが無難かもしれません。

続いて鹿児島市内の中古戸建ての価格動向をみてみます。

レインズ
鹿児島市内のみ
中古戸建て
2017年8月
から
2017年10月
2017年11月
から
2018年1月
2018年2月
から
2018年4月
2018年5月
から
2018年7月
合計成約件数(件) 46 48 72 73
平均成約価格(万円) 2,078 2,034 2,118 2,210
平均土地面積(m2) 161 157 157 158
平均建物面積(m2) 100 99 99 106
2018年8月
から
2018年10月
2018年11月
から
2019年1月
2019年2月
から
2019年4月
2019年5月
から
2019年7月
2017年8月比
合計成約件数(件) 41 46 79 94 104%
平均成約価格(万円) 2,227 2,056 2,161 2,253 8%
平均土地面積(m2) 196 163 160 159 -1%
平均建物面積(m2) 2,314 103 102 104 4%

この数字から、県全域の取引のほとんどは鹿児島市のものであることがわかります。
したがって鹿児島市以外の市町村の中古戸建て市場は、それほど活発ではないと推測できます。

鹿児島市以外での売却は難航するでしょう。

次に市場に出ている個別物件をみていきましょう。

鹿児島市桜ヶ丘8丁目の133平方m4LDKが5,300万円

延べ床面積が133平方mあるとはいえ、鹿児島市内の中古戸建てが5,300万円というのは割高な印象があります。内容をみてみましょう。

この家がある場所は鹿児島市桜ヶ丘8丁目で、建物は軽量鉄骨2階建て4LDK、土地面積168平方m、2015年9月完成です。

家の前には3台分の駐車スペースがあります。建物の外壁は黒鉄色のブロック状の材質を使っていて、高級感があります。狭いながら庭があり、立木が植えられています。

高台に建っていて居間からの眺望は良好です。
また2階には広大なテラスがあり、テラスの正面に住宅がないので、テラスでバーベキューなどをしても近所迷惑にならないでしょう。

鹿児島市桜ヶ丘8丁目には鹿児島大学桜ケ丘キャンパス、近くには鹿児島大学医学部・歯学部付属病院があります。保育園、幼稚園、小学校、中学校も近隣にあるので通学に便利です。商業施設も充実しています。
付近はこの家のような大きな戸建てが多く、高級住宅街を形成しています。

JRの最寄り駅は指宿枕崎線・宇宿駅で、1キロほどの場所にあります。
同駅から鹿児島中央駅まではJRで10分ほどで好立地です。

価格の高さは住環境と立地が影響しているのでしょう。

鹿屋市寿4丁目95平方m4LDKが2,880万円

オーナーのセンスが光る家を紹介します。
鹿屋市寿4丁目にある木造1階建て、土地面積254平方m、延べ床面積95平方m4LDKが、2,880万円で売りに出ています。

2018年7月完成です。

三角屋根の外観が目を引きます。
5台は停めることができる駐車スペースの地面は白いコンクリートで、濃紺の外壁とのコントラストが見事です。
庭木を植えるスペースを「小島」風にしているところにもオーナーのこだわりを感じます。

こだわりといえば、あえて平屋にしているところにも相当のこだわりを感じます。居間のフローリング材には、濃い茶色の木の質感がダイレクトに伝わる素材を使っています。

キッチンはシンクや調理スペースが真っ白で、側面が黒という大胆な色使いが目を引きます。トイレ、浴室、洗面台も黒と白のコンセプトを貫いています。

鹿屋市寿4丁目は広大な住宅街の一角をなしていて、地域には学校、商業施設、行政機関、病院などがあり利便性が高い場所です。

近くにJRは通っていないので、自家用車は必須でしょう。鹿屋市寿4丁目から鹿児島中央駅までは道路距離でちょうど100キロ、自動車で1時間半の距離になります。

鹿児島中央駅までの道路は、桜島をぐるりと回るように通っているため、道路距離が長くなっています。

こだわりの家に住みたい方で、立地を問題視しないのであれば3,000万円を割り込む価格は魅力的ではないでしょうか。

鹿児島県の土地の売買状況

2018年の鹿児島県の公示地価は以下のとおりです。( )内は前年2017年の数字です。
平均変動率は「前年比」とほぼ同じ意味です。△はマイナスです。

全用途 平均41,000円/平方m、平均変動率△1.6%減(△2.0%減)
住宅地 平均27,200円/平方m、平均変動率△1.6%減(△2.0%減)
商業地 平均80,600円/平方m、平均変動率△1.6%減(△2.3%減)
工業地 平均38,300円/平方m、平均変動率△0.6%減(△1.4%減)

ご覧のとおり、軒並み下落しています。

鹿児島県企画部は「下落幅は縮小している」と楽観的な見方を示していますが、土地オーナーは次の理由から、この数字をシビアにとらえるべきでしょう。

  • 2018年段階の国内景気はまだ堅調に推移していたにも関わらず下落している
  • 2019年に入り国内景気は下落傾向が顕著になっているので、鹿児島県経済も先行きが懸念される
  • 2017年の国内景気は相当強かったが、それにも関わらず工業地以外は△2%台に乗っていた。「鹿児島県の地価は弱い」と考えておいたほうがよい

それでは2018年の鹿児島県公示地価を、さらに深掘りしていきましょう。

住宅地:需要弱く、21年連続下落

不動産の価格が下がる
鹿児島県の住宅地の平均変動率が△1.6%減となったことで、21年連続で地価が下落する形となりました。

鹿児島県企画部は、過疎化と少子高齢化が進んだことで宅地需要が弱まったことが原因であるとみています。

地点別の動向では、上昇率1位は鹿児島市吉野町3355番226外の3.2%増でした。

地下が最も高かったのは鹿児島市上荒田町17番5の220,000円/平方mでした。

対して、下落率1位は鹿児島市入瀬々串町3476番外の△4.6%減でした。

上昇率も下落率も1位は鹿児島市でした。

鹿児島県全体の低調ぶりは、県庁所在地の鹿児島市の「低空飛行」に引っ張られていることは明らかです。
鹿児島中央駅周辺と荒田地区と鴨池地区は、利便性の高さから土地需要が高まっているにも関わらず、2018年の鹿児島市の住宅地の平均変動率は△0.5%で、20年連続の下落です。

地方県の地価の指標は、県庁所在地が低迷すると下落する傾向があります。鹿児島県はまさにその典型のようになっています。

商業地:県全体は27年連続下落だが鹿児島市はプラスに

県全体の商業地は△1.6%減となり、27年連続の下落となりました。ただ鹿児島市の2018年の商業地の平均変動率は0.9%増で、前年の0.3%よりプラス幅を拡大させました。
2年連続の前年比増でした。

鹿児島市の商業地価が好調を維持している要因について鹿児島県企画部は、次の3点を挙げています。

  • 鹿児島中央駅周辺の開発への期待
  • 天文館周辺の商業地価が千日町の再開発
  • 荒田周辺がマンション用地として需要が高まっている

「独り勝ち」している地区

暗い数字が並ぶ2018年の鹿児島県の公示地価ですが、鹿児島市の一部の地区や地点に限ってはよい数字が並んでいますので紹介します。

鹿児島市内の上昇率の高い住宅地

・吉野地区:1.1%増
・荒田・鴨池地区:1.0%増
・吉野町3355番226外:3.2%増
・草牟田2丁目4082番8:2.7%増
・星ヶ峯3丁目3821番90:2.3%増
・荒田1丁目32番4:1.9%増
・荒田2丁目17番4:1.9%増

鹿児島市内の上昇率の高い商業地

・天文館周辺:1.8%増
・荒田周辺:1.8%増
・中央町24番25:8.4%増
・荒田1丁目41番10:2.4%増
・松原町1番17:2.2%増
・山之口町8番40:2.1%増
・船津町4番20外:2.0%増

県内地方の状況は厳しい

鹿児島県内の2018年の公示地価は、「好調」といえる地区ですら1~2%台の増加にすぎないので、県内地方の状況の厳しさは想像に難くないでしょう。
住宅地と商業地の平均変動率の下落幅ワースト5(最も下落幅が大きい地点が1位)は以下のとおりです。

鹿児島県内の下落幅の大きい住宅地
1位:鹿児島市喜入瀬々串町3476番外 △4.6%減
2位:奄美市名瀬大字西仲勝字中勝原879番 △4.5%減
3位:南九州市川辺町中山田字下之口113番3 △4.5%減
4位:伊佐市菱刈荒田字亀ノ甲1333番 △4.3%減
5位:伊佐市菱刈重留字池之原1319番3 △4.2%減

下落幅トップは県庁所在地の鹿児島市でした。
喜入瀬々串町には、鹿児島中央駅と指宿駅のほぼ中間にある瀬々串駅があり、交通の便は特別悪い地区ではありませんが、このような結果になってしまいました。

2位の奄美市は離島、3位の南九州市は九州のほぼ最南端、伊佐市は九州内陸部と、それぞれ地域特性が異なる場所がワースト5に入っています。つまり、鹿児島県全体で地価が上がりにくい状態であると推定できます。

鹿児島県内の下落幅の大きい商業地
1位:錦江町田代麓字古川739番3内 △5.1%減
2位:さつま町鶴田字赤坂3454番2 △4.8%減
3位:南大隅町根占川北字宮原1275番4 △4.3%減
4位:霧島市隼人町内字前田1550番5外 △4.3%減
5位:出水市野田町上名字仮屋原387番1 △4.1%減
6位:錦江町城元字堂ノ元815番 △4.1%減

商業地のワースト5も、県北部の出水市・さつま町、県南部の南大隅町・錦江町、県中部の霧島市と県全域に広がっています。

鹿児島県内の地価は、それほど強くない鹿児島市の独り勝ちで、その他の市町村は満遍なく不調、といった状況にあります。
したがって「鹿児島県内の土地は売れるときに売る」姿勢でよいと思います。

元気だが不動産価格への寄与度は低い

鹿児島県は元気な街です。
しかしその元気さには、鹿児島県経済全体を押し上げるほどの強さはありません。

不動産価格も、値上がりしているのは鹿児島市の一部であり、その他の鹿児島市内を含めた県全体は地価が低迷しています。

したがって鹿児島県内にある中古マンション、中古戸建て、土地を売ろうと考えている方は、売れるチャンスが巡ってきたら、購入希望者から想定を下回る価格を提示されても売却を検討すべきです。

不動産会社に相談するなどして、他に買い手が現れそうにない場合は、「損失覚悟」で売却を決断したほうがよいケースも考えられます。
売り時を逃さないようにしたいものです。