東京オリンピック2020前と後で土地価格は変わる?売るならどっちがお得なのか!?


不動産の売却を検討している方は、売るタイミングに悩んでいるのではないでしょう。不動産売却は「早いほどよい」のが鉄則ですが、しかし2020年の東京オリンピックが気になります。
東京オリンピック後に景気が落ち込むのであれば、早く売ってしまったほうがいいと判断できます。
逆に、東京オリンピックを契機に日本経済がさらに強くなるのであれば、土地や建物の値上がりが期待できるので、売却は待ちたいところです。
不動産売却のベストタイミングは東京オリンピックの前なのか後なのか、さまざまな角度から検証していきましょう。

土地の価格と日経平均の関係

経済がよくなると不動産価格が上がるのは、景気の拡大によってビジネスの場である土地と建物が必要になるからです。現行の日本の経済は、2013年から始まったアベノミクス(安倍政権発足は2012年末)以降「好調さを維持している」といっていいでしょう。
ということは、不動産の売却タイミングとしては、いまは悪くないといえます。それは数字の上でも証明することができます。

経済の指標として、ここでは日経平均を使います。日経平均とは、日本経済新聞社が考案した指標です。東証1部上場企業のなかから日本の景況に影響を与えている企業を選び、それらの企業の株価を独自の計算方法で算出しています。
日本の経済と日経平均には「経済が良い(または悪い)=優良企業が元気(または消沈)=企業の株価が上昇(または下降)する」という関係性があります。
不動産価格の指標には、ここでは都市部の公示地価を使います。

まずは2009~2018年のそれぞれの1月の日経平均株価の推移をみていきます。

金額 前年比
2009 7,994 ±0
2010 10,198 27.6%
2011 10,237 0.4%
2012 8,802 -14.0%
2013 11,138 26.5%
2014 14,914 33.9%
2015 17,674 18.5%
2016 17,518 -0.9%
2017 19,041 8.7%
2018 23,098 21.3%

(単位:円)

注目したいのは、世界的に注目された経済政策であるアベノミクスが本格的にスタートした2013年以降の前年比です。前年比は、その年の1月の株価が、前年の1月の株価より何%上がったか(または下がったか)を示す数値です。
2016年にわずかながらマイナスになりましたが、それ以外は見事にプラスになっています。

それでは次に、東京23区、名古屋市、大阪市のそれぞれの坪単価(公示地価)をみていきます。

東京23区坪単価(単位:万円)

金額 前年比
2009 208 ±0
2010 192 -7.7%
2011 161 -16.1%
2012 161 ±0
2013 158 -1.9%
2014 167 5.7%
2015 171 2.4%
2016 173 1.2%
2017 182 5.2%
2018 189 3.8%

名古屋市坪単価(単位:万円)

金額 前年比
2009 52 ±0
2010 50 -3.8%
2011 50 ±0
2012 51 2.0%
2013 52 2.0%
2014 55 5.8%
2015 56 1.8%
2016 56 ±0
2017 57 1.8
2018 58 1.8%

大阪市坪単価(単位:万円)

金額 前年比
2009 83 ±0
2010 78 -6.0%
2011 77 -1.3%
2012 76 -1.3%
2013 75 -1.3%
2014 77 2.7%
2015 77 ±0
2016 77 ±0
2017 78 1.3%
2018 79 1.3%

こちらも「2013年以降の前年比がプラス」という傾向がしっかり現れています。
下のグラフは、上記の日経平均の前年比の推移と東京・名古屋・大阪の地価の推移を組み合わせたものです。
ただ、日経平均の前年比の数値をそのまま使うと振れ幅が大きすぎて、地価の前年比の動きとの関係がみえにくいので、日経平均の前年比の数値は4分の1にしてあります。

上昇する折れ線グラフ

経済が安定していなかった2010~2012年は、

  • 日経平均の前年比は下り坂
  • 東京の地価の前年比は乱高下
  • 名古屋と大阪の地価の前年比は上昇傾向

と、4指標がバラバラの動きをしていました。

ところが2013年以降は、

  • 4指数とも2014年にピークを迎える
  • 4指数とも2016年にいったん底を迎える
  • 4指数とも2017、2018年は上昇基調だが勢いは緩んでいる

と、そろった足並みをみせています。

もちろん不動産価格を考えるには、マンション価格や戸建て価格もみる必要がありますが、ただ、ざっくりとした傾向を押さえるだけなら、上記の数値だけで十分参考になると思われます。
これらの数値からは次の2点がわかります。

  • 経済が順調だと不動産価格も安定する
  • 経済が低調だと不動産価格は予測が難しくなる

やはり不動産は経済が順調なときに売却したほうがよい」といえ、2020年東京オリンピック前後の経済動向を推測することが重要になります。

東京オリンピック前後の景気の行方

不動産は景気がよいときに売却したほうがよい、ということがわかりました。しかし2020年東京オリンピックの景気については、マスコミや金融機関や学者などの経済ウォッチャーは、実にさまざまな見方をしています。
それらの見解は大体以下の4つにまとめることができます。

  • 東京オリンピックまでは好景気が続く
  • 東京オリンピックまで好景気を維持できない
  • 東京オリンピック後に景気が落ち込む
  • 東京オリンピック後も好景気が維持される

つまり経済の専門家たちは、すべてのパターンが「起きうる」と言っているのです。これでは不動産オーナーは、どの説を信じて売却タイミングを測ったらいいのかわからないでしょう。
そこで参考にしたいのが、過去のオリンピックの開催国の景気動向です。auと三菱UFJ銀行でつくる「じぶん銀行」によると、オリンピック開催国の景気は開催日が近づくにつれてよくなる傾向にあります。
1964年の東京オリンピックから2016年のリオデジャネイロオリンピック(ブラジル)までの計13回の大会の平均を取ると、オリンピック開催年の5年前から開催年の5年後までの10年間は右肩上がりになっています(※)。ここでは景気の指数としてGDP(国内総生産)を使っています。
https://www.jibunbank.co.jp/column/article/00126/
しかも1964年の東京オリンピックだけをみると、開催年を中央に置いた10年間のGDP推移の右肩上がりの傾向は、平均よりも強く表れています。

この事実からは、少なくとも「2020年東京オリンピック後も景気は上昇するかもしれない」とはいえそうです。
ただ注意しなければならないのは、1960年代から1970年代にかけての時期は、あのバブル経済の助走期間だった点です。だから「1964年の東京オリンピックがあろうとなかろうと、この時期の経済は右肩上がりだった」ともいえるのです。
東京オリンピックがあったから景気が上向いたのではなく、経済が絶好調だった日本・東京だからオリンピックを開催できた、ともいえるのです。
過去の事例からは、「2020年東京オリンピック後の景気は下降する」可能性を除去できません。

それでは次に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の景気予測に注目してみましょう(※)。
https://www.nikkeibook.com/archive/2018/06/191863
ここではまず、2019年10月の消費増税に注目しています。消費税増税の景気への影響については一般的に、増税前は駆け込み需要によって景気が一時的に好転するものの、増税後は、増税前の反動と実質値上げによる消費者マインドの落ち込みのWパンチで景気が急激に悪化する、といわれています。
よって2019年9月までは景気は上向くか、少なくとも現状を維持すると考えられますが、2019年10月以降は下降線をたどる可能性が大きいのです。

しかし今回の消費増税ではその約1年後に東京オリンピックが控えているので、2019年10月以降の景気の落ち込みも限定的になるだろうとみられています。
さらに2022年には森ビルが東京・虎ノ門に超高層ビルを建てるプロジェクトが進行中です。2025年には、誘致に成功すれば大阪万博が開催され、2027年には東京・名古屋間にリニア中央新幹線が開通します。
さらに東急電鉄はいま、渋谷再開発を進めています(※)。
http://www.tokyu.co.jp/shibuya-redevelopment/index.html
同社の渋谷開発は2012年の渋谷ヒカリエから始まっていて、2018年9月には渋谷ストリームと渋谷ブリッジを開業させました。渋谷スクランブルスクエアは2019年と2027年の2回にわけて開業します。道玄坂一丁目駅前地区と南平台プロジェクトは2019年に竣工、渋谷駅桜丘口地区開発は2023年にスタートします。
このように2020年以降も、東京オリンピックほどではないにしろ、それでもかなり大型の事業が目白押しなのです。これだけのボリュームがあれば、景気を下支えできそうです。

世界景気のサイクルも、2020年東京オリンピック後の日本の景気を後押ししそうです(※)。
https://www.nikkeibook.com/archive/2018/06/191863
経済は常に好景気と不景気を繰り返します。この繰り返しをサイクル(循環)といいます。
そして世界経済には短期サイクル、中期サイクル、長期サイクル、超長期サイクルの4つのサイクル(景気循環)があります。
この4つのサイクルが同時に上昇する時期があり、それを金のサイクルといいます。金のサイクルは2018年でいったん終了すると考えられています。
しかし2025年近辺に、銅のサイクルが訪れると考えられているのです。銅のサイクルは金のサイクルほどの景気上昇は期待できないのですが、しかし長期サイクルと超長期サイクルの2つのサイクルが同時に上昇するので景気は上向くとされています。

以上の考察では「2020年東京オリンピック後に景気がガクンと落ち込む」証拠は得られませんでした。逆に「2020年東京オリンピック後も景気の良さは継続するかもしれない」と思わせる証拠は少なからず存在していました。
不動産売却のタイミングを測りかねている方は、ぜひこうした検証を参考にしてみてください。

東京オリンピック前後で空室率はどう変わるか

地域の賃貸住宅の空室率が不動産の売却価格に影響を与えることがあります。賃貸住宅の空室率の低下は「賃貸住宅が足りない」サインであり、建設会社やデベロッパーはマンションやアパートを建設しようとします。それで土地探しが始まるので、不動産の売却価格は上昇します。
逆に空室率が上昇すると「賃貸住宅が余っている」サインになるので、新規の建設意欲が低下し、不動産の売却価格は下落する可能性があります。

ある不動産コンサルティング会社によると、47都道府県で最も空室率が高い(空室が余り気味)のは福井県の30.1%で、2位山梨県28.2%3位長野県27.7%でした。
この3県はいずれも「過疎地域を多く抱えるので空室率が高くなっている」といえそうなのですが、ただ、過疎地を抱える県はほかにもあるため「地方・過疎地=高い空室率」とはいえません。

一方、空室率の低い(空室が不足気味)都道府県ランキングは、興味深い結果になっています。
1位沖縄県11.7%2位東京都14.5%3位佐賀県15.7%4位宮崎県15.8%5位神奈川県16.1%5位愛知県16.1%
大都市を抱える都道府県と地方の県が混在しているのです。ここから、空室率を低くする要因は、大都市の巨大な人口か地方の住宅事情の悪さであると推測できます。

もうひとつ興味深い調査結果があります。
東京23区の空室率の低さランキングは、1位江東区7.4%2位世田谷区8.7%3位墨田区9.8%となっています。
一方、空室率の高さランキングは、1位千代田区36.5%、2位目黒区28.2%、3位中央区27.7%でした。
空室の不足している区は、日本の首都らしく逼迫した数値を示しているのですが、空室が余っている区は福井県や山梨県並みにだぶついているのです。

東京23区内の不動産を売却しようとしている方は、東京オリンピックの前後でどの程度住宅が供給されるのかを知っておいたほうがいいでしょう。
例えば東京都中央区の晴海エリアでは、オリンピック後に6,000戸分のマンションなどが建てられる、という情報があります。
中央区の空室率は27.7%で、空室率の高さランキングで3位でした。そこに新築住宅が供給されるので、空室率はさらに上昇する可能性があります。ということは、不動産の売却価格には不利に働くことが予想されます。

このように不動産売却を検討するときは、周辺の空室率と新築集合住宅の情報に注意したほうがいいでしょう。

東京23区の不動産は「売り急ぐ必要はない」のか?

東京23区の不動産の売却タイミングを検討するときは、建設コストの動向にも注意しましょう。
建設コストとは、建築資材の価格や建設職人たちの人件費、そして土地の価格のことです。全国的な傾向として、円安による原材料の値上げに伴い建設資材の価格は上昇しています。建設職人の人件費も深刻な人手不足で高騰しています。そして東京23区は、中国資本などの流入で土地の価格も上昇しています。
この状況に2020年東京オリンピックによる建設需要の上昇が加わるので、建設コストは現在も高いのですが、まだまだ高騰するでしょう。

建設コストの高騰は、新築物件の価格を上げます。そうなると、不動産の購入を検討している人は、新築物件を買いづらくなります。そうなると「新築は買えないけど中古なら買えそう」という人が増えるので、中古物件への需要が高まることが予想されます。
需要が高sまれば中古不動産の買い取り価格が安定するので、不動産売却はしやすくなります。
東京23区の不動産は売り急ぐ必要がないと考えることができるのです。

「頭と尻尾は差し上げる」の姿勢がよいのでは

2020年東京オリンピックが、不動産売却のタイミングにどのように影響するのかをみてきました。売り時を見極めるポイントとして、土地の価格、日経平均、景気動向、空室率、建設コストを紹介しました。チェックポイントがこれだけ存在すると混乱してしまうかもしれませんが、最高値で不動産を売却するには情報収集は欠かせません。

そのため初めて不動産を売却する方は「頭と尻尾は買主に差し上げる」という姿勢で取り組んでみてはいかがでしょうか。
不動産価格が上昇していると、「もう少し待てばもっと値上がりするかもしれない」と思ってしまいます。不動産価格が下降していても、「もう少し待てば底値を打って(最低価格に到達し)、上昇に転じるのではないか」と思ってしまいます。
いずれも何の根拠もなく待つことになり、売り時を逸してしまう恐れがあります。そこで最高値(魚の頭と尻尾)で売却することをあえてあきらめて、その代わり確実に損とはいえない価格(魚の身)で売ることを目指すのです。
そして不動産売買に詳しい専門家に問い合わせることも忘れないでください。