今住んでいる不動産を売却し、新しい不動産に買換えする際は、不動産売却だけの場合や新たに購入をする場合よりも諸経費がかかるため、きちんとした資金計画を立てておくことが大切です。たとえば、不動産会社に支払う仲介手数料は売却と購入で2回分支払う必要があります。また、売却と購入のタイミングによっては、売却代金が入るまで購入代金の支払いにつなぎ融資が必要になることもあります。
ここでは、住み替えで不動産売却をする際の注意点と節税対策となる税金の特例について説明します。

住み替えをする時、売ってから買う?買ってから売る?

住み替えをする際、先に売ってから買うか、先に買ってから売るか、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれの取引の流れを確認し、その際のメリットとデメリットについて説明します。

不動産売却と購入の流れを確認

不動産売却の流れ
  1. 査定

    不動産一括査定を依頼して、仲介不動産業者を選定します。

  2. 媒介契約

    仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。

  3. 売却活動

    売り出し価格を決めて広告掲載をし、購入検討者の内覧を受け付けます。

  4. 引き渡し

    売却代金の残金を受け取って引き渡します。

不動産購入の流れ
  1. 物件探し・検討

    購入予算を決めて、物件を探します。気になる物件が見つかったら内覧をします。

  2. 購入決定

    購入を決めたら資金計画などを練ります。

  3. 売買契約

    購入を決めたら売買契約を結び、手付金を支払い、今後のスケジュールを相談します。

  4. 住宅ローン申し込み

    購入資金が不足している場合は、銀行に住宅ローンを申し込みます。

  5. 引き渡し

    売却代金の残金を支払い、引き渡しを受けます。

マイホームの住み替え

マイホームの住み替えをする場合は、この売却と購入という2つの作業を一定期間のうちに行う必要があります。どちらを先行するかで、資金繰りや仮住まいの確保などを検討する必要が出てきます。

売却を先行する場合のメリットとデメリット
売却を先にするメリットは、資金計画が立てやすいということです。いくらで売却できたかで新しい住まい購入の予算を決められるので、安心安全な資金計画が立てられます。
また、購入物件が決まっていないため、「いつまでに売らないといけない」というプレッシャーがなく、売り急いで価格を値下げしてしまうような妥協をする必要もありません。
一方、売却を先行するデメリットは、引越し先の確保です。引き渡し日までに引越して住まいを明け渡さなければなりませんので、売却が決まったら購入を急ぐ必要があります。もし、購入が間に合わない場合は、仮住まいを確保しなければならず、賃貸費用の他、引越し代が1回分多くかかります。

購入を先行する場合のメリットとデメリット

購入を先にする場合のメリットは、転勤など「いつまでに引越す」という制約がない住み替えならば、今の住まいで暮らしながら、納得いくまで新居探しができるというメリットがあります。引越し代が1回分で済みますし、新居を購入し引越してから売却をすればいいので、部屋の荷物を撤去した生活感のない状態の物件を購入検討者に見てもらうこともできます。
一方、購入を先行するデメリットは、資金繰りの問題です。現在の住まいを売却して得た資金で買い替えを行う場合、購入代金の残金を支払う引き渡し日までに売却を完了させなければなりませんし、間に合わない場合はつなぎの融資を受ける必要があります。
もし、売却代金を住み替え資金にしない場合でも、新しく住宅ローンを組むのであれば、現在住んでいる家の住宅ローンの残債との二重ローンになりますので、その点をシミュレーションしておく必要があります。

住み替えにかかる費用を総チェック

住み替えでは、売却と購入という2つの大きな取引を行います。それぞれにかかる費用を確認しておきましょう。

不動産売却にかかる費用

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社に対して売買が成立した成功報酬として支払います。法律でその上限が決められています。

仲介手数料の上限(宅地建物取引業法による)
売却額 仲介手数料
200万円以下の部分 取引額の5%
200万円超400万円以下の部分 取引額の4%
400万円超の部分 取引額の3%

400万円を超える物件の仲介手数料は、以下の計算式で算出できます。
400万円を超える物件の仲介手数料=不動産の売却金額✕0.03+6万円+消費税
なお、消費税は2019年10月より税率が8%から10%に引き上げられます。仲介手数料は売買契約を締結する際に半金、引き渡し時に残りの半金を支払います。売買契約が2019年10月前でも、引き渡し日が10月を過ぎていると残り半金には10%が課税されますので注意が必要です。

売買契約書に貼って納める印紙税

不動産売買が決まると、売買契約書を取り交わす際、印紙税というかたちで税金を納めます。印紙税は不動産の売買額によって決められており、契約書は売主分と買主分の2部用意しますので、売主、買主それぞれで負担します。
印紙税は契約金額によって異なりますが、2020年3月末までであれば10万円以上の契約金額については軽減税率が適用されます。

契約金額 本則税率
10万円以下 200円
10万円超~50万円以下 400円
50万円超~100万円以下 1,000円
100万円超~500万円以下 2,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円
1億円超~5億円以下 100,000円
住宅ローンの繰り上げ返済手数料

住宅ローンの繰り上げ返済手数料は銀行により違います。ネット銀行など無料のところもあれば、5万円程かかる銀行もあります。

抵当権抹消のための司法書士費用

司法書士費用はそれぞれ違いますが、通常は1~2万円程度です。

抵当権抹消の登録免許税

登録免許税は登記する際に納める税金です。抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、1つの不動産につき1,000円となります。土地売却の場合は1物件1,000円、一戸建て売却やマンション売却などは土地、建物それぞれに1,000円かかります。また、1つの土地がいくつかに分けられて登記されている場合(分筆といいます)、その筆数×1,000円となります。

不動産売却するに当たっては、この他に退去時のクリーニング費や引越し費用などがかかります。

不動産購入にかかる費用

購入代金

購入代金支払いのタイミングは、売買契約時に手付金を支払い、引き渡し日に残額を支払います。手付金は購入代金の5%~20%が一般的です。

仲介手数料 購入価格の3%+6万円+消費税

「不動産売却にかかる費用・仲介手数料」をご参照ください。

売買契約書に貼って納める印紙税

「不動産売却にかかる費用・売買契約書に貼って納める印紙税」をご参照ください。

所有権登記の登録免許税

不動産を購入した場合、土地の所有権移転登記、新築建物購入では建物の所有権登記、中古建物購入では建物の所有権移転登記、住宅ローンを組んで購入した場合は抵当権設定登記で登録免許税がかかります。
本来の税率(本則税率)の他、軽減税率が期限付きで適用されているものもあります。

土地の所有者移転登記 本則税率…不動産評価額の2.0%
軽減税率…不動産評価額の0.15%※1
新築建物の所有権登記 本則税率…不動産評価額の0.4%
軽減税率…不動産評価額の0.15%※2
中古建物の所有権移転登記 本則税率…不動産評価額の2.0%
軽減税率…不動産評価額の0.3%※2
住宅ローンの抵当権設定登記 本則税率…不動産評価額の0.4%
軽減税率…不動産評価額の0.1%※2

※1 2019年3月31日まで適用されます。
※2 2020年3月31日まで適用されます。

優良住宅(新築)、認定低炭素住宅(新築)、不動産業者が売主のリフォーム住宅(中古)などについても期限付きの軽減税率が適用されています。
軽減税率には適用を受けるための条件がありますので、詳細は国税庁のウェブサイトNo.7191 登録免許税の税額表でご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

住宅ローン事務代行手数料 600,000円~1,000,000円

住宅ローンを借り入れる際に、必要書類を揃えて銀行に提出するなどの事務代行を不動産会社に依頼した場合は、住宅ローン事務代行手数料を支払います。事務手数料、ローン斡旋手数料などいろいろな名前が付けられていますが、住宅ローンを銀行に借りる際に必ず支払う必要のある住宅ローン事務手数料とは違いますので注意しましょう。
このローン事務手数料は法律で上限が決まっていないため、無料のところがあるかと思えば、数十万円かかるところもあります。
手数料を節約したいなら、銀行に手続きの仕方を教えてもらい自分で行うこともできます。

住宅ローン事務手数料

住宅ローン事務代行手数料と間違いやすいですが、こちらは住宅ローンを借りる銀行に対して必ず支払う手数料です。一般的な額は30,000円~50,000円(税別)です。

固定資産税やマンション購入の際の管理費等(日割計算)

固定資産税はその年の1月1日時点の所有者に対して、1年分の固定資産税を納税する義務が生じます。年の途中で所有者が代わる場合は、引き渡し日から年末までの分の固定資産税を日割り計算して買主が売主に支払うのが一般的です。
また、マンション購入の場合は、管理費や修繕積立金などが毎月引き落とされますが、売却月の引き渡し日から月末までの分を日割り計算して支払います。

不動産購入では、この他に火災保険費用、引越し費用などがかかります。

マイホームの住み替えでかかる費用

住み替えの場合、新しい物件を購入する前に不動産売却ができなかったら、売却代金を購入資金に充当できませんので、売却ができるまでのつなぎ融資が必要となります。
また、新居を購入する前に不動産売却をした場合、新居が決まるまでの仮住まいを用意する経費がかかり、旧居→仮住まい→新居と引越し費用も2回分かかります。

住み替えにかかる税金の節税対策は?

マイホームを住み替える場合、ある一定の条件に合えば税金を安く抑えられる特例があります。ここでは、知らないと損をする住み替えの節税対策について説明します。

マイホームの3,000万円特別控除の特例

不動産売却では、買った時よりも高い金額で売れた場合、その売却益に対して不動産譲渡所得税がかかります。この売却益を不動産譲渡所得といいますが、不動産譲渡所得を出す際には売却額から不動産を取得した費用や譲渡費用を控除して計算することができます。
不動産譲渡所得=不動産売却額-(取得費+譲渡費用)
これにマイホームの3,000万円特別控除の特例が適用されると、最大3,000万円がさらに控除でき、所得税が軽減されます。

マイホーム売却の軽減税率の特例

5年を超えて保有した不動産を売却する場合には、軽減税率の特例が適用されます。

  所得税 住民税
長期譲渡所得(5年超) 15% 5%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%

10年を超えて保有していたマイホームを売却する場合、さらなる軽減税率が適用されます。

  所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10% 4%
6,000万円超の部分 15% 5%

※2037年までは、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」により、2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。

住宅ローン減税制度

住宅ローンを利用した住み替えで新居を購入、あるいは新築した場合、一定の条件を満たせば入居した年から10年間、所得税の還付、控除が受けられます。以下の表は、2014年以降居住の用に供した場合について掲載しています。

居住の用に供した年   控除期間 各年の控除額の計算(控除限度額)
2014.1.1~2021.12.31 一般住宅 10年 各年の年末残高等×1%(40万円)
※住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円
認定長期優良住宅 10年 各年の年末残高等×1%(50万円)
認定低炭素住宅   ※住宅の取得等が特定取得以外の場合は30万円

※特定取得は、住宅の購入、新築などの費用に含まれる消費税が8%または10%であった場合をいいます。

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

2019年12月末までにマイホームを売却し、新しいマイホームを購入して譲渡損失が出た場合、一定の条件を満たすと、譲渡損失をその年の給与所得など他の所得と損益通算して所得を低く抑え、所得税を節税できる買換え特例が利用できます。また、その年だけでは損益通算しても控除しきれなかった場合は、譲渡の年の翌年以後3年間繰り越して繰越控除できます。

適用のための条件
  • 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。もし、以前に住んでいたマイホームを譲渡する場合には、住まなくなった日から3年経過する日の年の12月末までに譲渡すること。
  • 譲渡する不動産は日本国内にあり、譲渡の年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること。
  • 譲渡する年の前年1月1日から譲渡の年の翌年12月末日までの3年の間に、日本国内にある床面積が50平方メートル以上の新居を取得すること。
  • 買換えたマイホームは、取得した年の翌年12月末日までに居住の用に供する、またはその見込みであること。
  • 新しいマイホームを取得した年の12月末日において、買換え資産に10年以上の住宅ローンがあること。

マイホームの住み替えで節税対策となる、税金の特例について説明しました。これらの特例を受けるためには細かな条件がありますので、詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/jouto.htm