滋賀県の中古マンション、中古戸建て、土地の相場と不動産売却事例をみていきましょう。
個人が自身の不動産を処分する場合、市場調査は必須です。市場や相場を知らないと「いくらで売ればいいのか」がわからないので、購入希望者が提示する額そのままで売ってしまい、後で「もっと高く売れたのに」と後悔することになりかねません。
そもそも不動産売買の経験がない個人だと、どのように市場や相場を調べたらいいのかわからないと思います。

不動産仲介業者に査定をしてもらうのも市場を把握する重要な手段ですが、それ以外にも、不動産がある地域の経済状況を知っておくことも大切です。不動産価格は景気が上向けば値上がりするからです。
滋賀県経済状況を知るには、例えば滋賀銀行が発表している「アナリストレポート」などを参考にするとよいでしょう。
この記事では滋賀県内のローカル経済情報も詳しく紹介します。

滋賀県の不動産の全体的な話題

県としての知名度はそれほど高くない滋賀県ですが、経済環境はとても恵まれています。
国内3大経済圏のうち名古屋圏と大阪圏の2つに近く、日本一の観光都市、京都と隣接しています。海岸線を持たない県ですが、日本海にも太平洋にも近く、しかも琵琶湖を「丸々」保有しています。
これだけ立地に恵まれているので経済情勢は、地方県としては悪くありません。

経済の強さはちょうど中間、しかし伸び率がトップ10入り

内閣府は都道府県の経済の強さを示す「県民経済計算」を公表しています(*)。
それによると、2015年の滋賀県の県民総生産は6.2兆円で、全国47都道府県中23位でした。ちょうど真ん中の成績です。
ところが2014年から2015年にかけての増減率を見てみると、滋賀県は4.8%で全国8位、トップ10入りしました。
滋賀県の上下3位の状況は以下のとおりです。

県民総生産ランキング「2015年の額」
20位:福島県 7,823,559百万円:0.8%増
21位:岡山県 7,787,894百万円:5.9%増
22位:岐阜県 7,551,541百万円:2.9%増
23位:滋賀県 6,163,555百万円:4.8%増
24位:山口県 5,870,248百万円:3.1%減
25位:熊本県 5,564,564百万円:1.8%増
26位:鹿児島県 5,388,480百万円:3.2%増
県民総生産ランキング「2014年→2015年の増減率」
5位:栃木県 8,530,052百万円→9,016,319百万円:5.7%増
6位:京都府 9,822,008百万円→10,345,459百万円:5.3%増
7位:神奈川県 32,238,918百万円→33,918,792百万円:5.2%増
8位:滋賀県 5,881,250百万円→6,163,555百万円:4.8%増
9位:広島県 11,403,213百万円→11,941,081百万円:4.7%増
10位:沖縄県 3,955,239百万円→4,141,564百万円:4.7%増
11位:三重県 7,934,412百万円→8,286,519百万円:4.4%増

「2015年の額」ランキングでは滋賀県は地方の県のひとつにすぎませんが、「増減率」でみると京都府や神奈川県と肩を並べているのです。
滋賀県の経済的な潜在能力は土地の価格に反映されています。滋賀県の2018年の公示地価は、商業地と工業地が前年比(平均変動率)プラスで推移しています。公示地価については記事の後半で詳しく考察します。

*:
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h27.html

滋賀銀行の「2019年2月アナリストレポート」から

滋賀銀行の「2019年2月アナリストレポート」をみてみましょう。
全体的な評価は「緩やかな回復基調が続くなかで、足踏みの動きがみられる」となっています(*)。
この評価の根拠は以下のとおりです。

県内景気天気図
  • 景気:曇り:下降
  • ★生産活動:曇り:下降
  • 個人消費:晴れ一部曇り:下降
  • ★民間設備投資:曇り:下降
  • 住宅投資:晴れ一部曇り:上昇
  • 公共投資:曇り:上昇
  • 雇用情勢:晴れ一部曇り:下降
  • ★3カ月後の景気:曇り:横ばい

気になるのは、★をつけた生産活動と民間設備投資と3カ月後の景気の3項目で、いずれも曇りになっています。生産活動が下降基調にあるなかで民間設備投資が不調ということは、企業マインドは相当冷え込んでいると推測できます。この状態で企業が積極的に不動産を購入するとは考えにくいといえます。不動産需要が落ち込むと、中古マンションも中古戸建ても土地も値下がりします。
さらに3カ月後の景気も期待できないことがわかります。
したがって「2019年2月アナリストレポート」からは、滋賀県内の不動産価格の上昇は期待できません。売却用の不動産を保有している方は、早めに売却したほうがいいかもしれません。

*:https://www.keibun.co.jp/uploads/2019/02/AnalystReport_201902.pdf

新設住宅着工戸数の好調ぶりは中古不動産にどのように影響するか

滋賀県内の2018年12月の新設住宅着工戸数は、前年同月比46.8%増と大幅に伸びました。前年同月を上回るのは3カ月連続です。
その内訳は、持家21.4%増、貸家146.8%増、分譲住宅39.7%増、給与住宅(社宅など)なし、でした。
分譲住宅のうち分譲マンションの新規販売率は84.8%でした。これも好不調の分岐点となる72.1%をかなり上回っています。

滋賀県内の新築住宅の需要が旺盛であることから、中古マンションや中古住宅の価格上昇も期待したいところですが、楽観はできないでしょう。
なぜなら、2018年の滋賀県の公示地価をみると、工業地や商業地は値上がりしているのに、住宅地は値下がりしているからです。

新設住宅着工戸数の好調ぶりが「本物」であれば住宅メーカーやマンションディベロッパーが住宅地を購入するので、値上がりするはずです。そのようになっていないということは、住宅需要は一過性のものかもしれません。

日本人の新築志向は依然として根強いものがあるので、住宅需要はまず新築市場に向かいます。中古住宅市場は、新築需要が膨張して新築物件の価格が上昇し、新築を購入できない人たちが現れることで潤います。
しかし滋賀県内の住宅需要には、そこまでの勢いは感じられません。県内景気の現状と先行きから推しても、中古住宅市場が盛り上がることは期待しにくいでしょう。

したがって新設住宅着工戸数が好調だからといって中古不動産の売却を遅らせても、値上がりは期待できないと考えられます。

滋賀県の中古マンションの売買状況

それでは不動産の種類ごとに相場をみていきましょう。まずは中古マンションの売買状況を紹介します。

この表は不動産会社が公表している滋賀県内の中古マンションの価格を、延べ床面積ごと・市ごとに並べたものです。中古マンション市場が形成されていない地方部の市町は掲載していません。

滋賀県内の中古マンションの売買状況(市場が形成されている市のみ掲載)
  ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
大津市 237万円 875万円 948万円 1,557万円 2,050万円 2,394万円 2,615万円 6,696万円
彦根市 350万円 1,030万円 1,213万円 1,415万円 2,030万円
長浜市 1,980万円 2,200万円
近江八幡市 300万円 1,380万円 2,345万円 1,680万円
草津市 1,420万円 1,815万円 2,526万円 4,144万円 3,832万円
守山市 254万円 476万円 1,065万円 1,898万円 2,377万円 2,670万円 1,833万円
栗東市 2,510万円 2,438万円 2,580万円 3,198万円
野洲市 1,050万円 1,280万円 1,239万円 1,880万円
湖南市 1,325万円
東近江市 1,868万円 2,090万円

この表からは、大津市、草津市、守山市、栗東市の3市で、マンションとしては「高級」の部類に入る「100平方メートルほど」の市場がしっかり形成されていることがわかります。
また大津市の「101平方メートル以上」の平均価格が6,696万円になっている点も気になると思います。
この表のなかから注目の物件をみていきましょう。

大津市の億ションの実力とは

大津市茶が崎にある15階建て全486戸のマンションの14階、158平方メートル、4SLDKの部屋が1億880万円で売りに出ています。2018年6月に完成したばかりなので「新古物件」と推測できます。

これだけの規模があるので、外観はまるでハワイのホテルのようです。敷地内のエントランスまでのアプローチは、ヤシの木の並木道になっていてリゾート感満点です。エントランス、駐車場など、共用部分は豪華そのものです。
この物件の延べ床面積は158平方メートルもあるので、4SLDKでもリビング・ダイニングは26帖もあります。室内の設備も最新式が惜しみなく投入されています。

この物件を億ションにしているのは立地でしょう。大津市茶が崎は琵琶湖に面していて、近くには柳が崎湖畔公園や大津港マリーナなどがあります。琵琶湖上から打ち上げる「びわ湖大花火大会」会場はマンションから1キロほどの場所にあります。
また、大津市役所や大津市立スポーツ施設、イオンスタイル大津京店、コメダ珈琲店大津皇子が丘店、京都銀行西大津支店などの公共施設や商業施設、飲食店も充実しています。
公共交通機関としては、湖西線・大津京駅や京阪電気鉄道・京阪大津京駅が500メートル圏内にあります。
ただ、ボートレース場が茶が崎地区内にあり、好き嫌いはわかれるところでしょう。公営ギャンブル場が気にならなければ、1億円の価値は十分あります。

草津市西渋川1丁目の10階、98平方メートル4LDKが7,280万円

草津市西渋川1丁目にある15階建て全186戸のマンションの10階、98平方メートル、4LDKの部屋が7,280万円で売りに出ています。2015年5月に完成しました。
築浅ではありますが、広さや階数からすると「なぜ7,000万円を大きく上回るのか」と感じるかもしれません。

キッチン、浴室、浴槽、洗面所、トイレといった水回りの設備は新しいだけでなく、素材の質感が伝わっているプレミアムな製品を使っています。室内のドアの材質や壁紙の素材にも相当こだわっていることがわかります。

そしてこの物件も立地が魅力です。
草津市西渋川1丁目は東海道本線・草津駅の西側に位置し、同駅まで徒歩数分の距離にあります。
そして駅前ならではの商業施設の充実ぶりが目を引きます。エイスクエア、ディオワールド草津店、アル・プラザ草津、近鉄百貨店草津店、Lty932など大型商業施設が建ち並びます。
草津市役所、京都銀行草津支店、小学校や中学校、高校も1キロ圏内にあります。

さらに琵琶湖に面した憩いの空間、矢橋帰帆島公園までは6キロ、自動車で13分です。琵琶湖の自然と充実した都市機能を満喫できるマンションなので、7,000万円台の値段がついているわけです。

栗東市綣2丁目のタワ―マンション28階が意外にリーズナブル

栗東市綣2丁目にある31階建て全413戸のマンションで、28階、91平方メートル3LDKの部屋が2,780万円で売りに出ています。
1999年2月完成なので築20年が経過していますが、それでも高層階のこの広さで3,000万円を大きく割り込むのは、地方市ならではのリーズナブルさといえそうです。

栗東市綣2丁目は、東海道本線・栗東駅東口前に広がっています。地区内には商業施設アル・プラザ栗東、ゴールドジム栗東滋賀、栗東芸術文化会館さきら、などがあります。また地区の周辺には飲食店街、ホテル、小児科クリニック、保育園、産婦人科クリニック、耳鼻科クリニックなどがあります。名神高速道路・栗東インターチェンジまで3キロです。
栗東市綣2丁目から琵琶湖畔までは約7キロ、自動車で16分ですので、琵琶湖の近くの中古マンションを探している人には候補のひとつになるでしょう。

滋賀県の中古戸建ての売買状況

滋賀県の中古戸建ては、延べ床面積101平方メートル以上の物件が県全域で取り引きされています。これは地方の県によくみられる傾向で、土地が安いので戸建てを求める人が多くなります。そして、新築より割安感がある中古建ての市場は、さらに広い物件が人気になるわけです。以下の表のとおり、県全域で「しっかりした価格」がついています。

滋賀県内の中古戸建ての売買状況
(市場が形成されている101平方メートルのみ掲載)
地区 101m²~ 地区 101m²~
大津市 2,285万円 高島市 987万円
彦根市 2,263万円 東近江市 1,856万円
長浜市 2,235万円 米原市 1,747万円
近江八幡市 2,242万円 蒲生郡日野町 2,234万円
草津市 2,949万円 蒲生郡竜王町 1,284万円
守山市 2,996万円 愛知郡愛荘町 1,723万円
栗東市 2,395万円 犬上郡豊郷町 1,461万円
甲賀市 1,915万円 犬上郡甲良町 1,380万円
野洲市 2,448万円 犬上郡多賀町 281万円
湖南市 2,115万円

大津市南郷2丁目の235平方メートル、6LDKの豪邸が4,500万円

大津市南郷2丁目で、土地面積560平方メートル、延べ床面積235平方メートル、木造2階建て6LDKという豪邸が4,500万円で売りに出ています。1985年(昭和60年)1月完成で、築30年以上経過しています。

敷地は立派な塀で囲われていて、塀に沿って立派な庭木が植えられています。門をくぐると5段の階段があり、その先に玄関があります。
居間から眺める庭には巨大な石が10個ほど置かれていて、枯山水のようです。
恐らく近所のランドマーク的な存在の邸宅でしょう。
大津市南郷2丁目は琵琶湖の最南部から流れる瀬田川沿いにあります。周辺には保育園、小学校、消防局、滋賀銀行南郷支店、飲食店などがあり、子育て世帯には喜ばれそうです。

彦根市南川瀬町の145平方メートル、5LDKが3,798万円

彦根市南川瀬町にある土地面積227平方メートル、延べ床面積145平方メートルの木造2階建て5LDKの物件が3,798万円で売りに出ています。2013年3月完成の築浅物件です。

延べ床面積が、家族4人でも広々暮らせる145平方メートルもあるので、5LDKでもリビング・ダイニングは21帖あります。築浅物件らしく、室内は白色とベージュ色と紺色の3色で統一され、落ち着いた雰囲気ながらモダンな印象を受ける物件です。

この物件から琵琶湖畔までは約3キロです。ウォーキングコースに琵琶湖を入れることができるのはかなり贅沢です。東海道本線・河瀬駅(町名は川瀬ですが駅名は「河瀬」です)まで50メートルという便利さも売りです。
近くには昭和電工の大きな工場があります。保育園や小学校も近くにあり、住環境は良好です。

東近江市佐野町の203平方メートル、4SLDKが3,980万円

東近江市佐野町にある土地面積764平方メートル、延べ床面積203平方メートル、木造2階建て4SLDKの物件が3,980万円で売りに出ています。
明治33年の完成で、築年数は約120年です。

古民家として価値があるだけでなく、居間、キッチン、トイレ、浴室は今風にリフォームされているので使いにくさは感じないでしょう。
敷地に入るとアプローチがあり、玄関までの数十メートルを歩きます。昔の住宅らしく、柱や梁は見応えがあります。
東近江市佐野町は琵琶湖畔まで5キロほどの場所にあり、近くには東海道本線・能登川駅があります。
滋賀県は京都経済圏にあるため、歴史と雰囲気のある中古戸建てが多いのですが、この物件もそのひとつといえます。

滋賀県の土地の売買状況

滋賀県の2018年の公示地価は、かなり特徴的な値動きをしています。
大津・南部地域の5市(大津市、草津市、守山市、栗東市、野洲市)が好調なのに対し、他の市町は低迷しています。また、住宅地の落ち込みに対し、商業地と工業地は好調です。
詳しくみていきましょう。

大津・南部地域とその他の市町の二極分化

大津・南部地域の5市は、「琵琶湖のコップ」のように湖の南部を東西から囲っています。
大津市は日本1の観光地、京都市に接していますし、東海道新幹線、JR東海道本線、名神高速道路、国道1号線が走っています(ただ、滋賀県内唯一の新幹線駅は米原市の米原駅です)。こうした地の利から、公示地価は好調に推移しています。

2018年の全用途の平均変動率(前年比)は以下のとおりです。

大津市:0.1%(前年▲0.1%、▲はマイナス、以下同) プラスに転じた
草津市:1.5%(前年1.3%) 7年連続プラス
守山市:1.7%(前年1.7%) 6年連続プラス
栗東市:0.5%(前年0.4%) 5年連続プラス
野洲市:1.2%(前年0.9%) 5年連続プラス

この5市がプラスであるのに対し、滋賀県内の他市町は全用途ですべてマイナスになりました。

「工業の滋賀県」が健在

滋賀県の2018年公示地価の用途別平均変動率は次のとおりです。

住宅地:▲0.8%(前年▲0.8%) 10年連続マイナス
商業地:0.2%(前年0.1%) 5年連続プラス
工業地:0.6%(前年0.2%) 5年連続プラス

住宅地が10年連続マイナスだったのに対し、商業地と工業地は増加の幅を拡大させています。
滋賀県は工業県で、2012年の数字ですが、工業生産額の都道府県別ランキングで16位6.3兆円を記録しています。
滋賀県より上の3県は、13位岡山県7.7兆円、14位群馬県7.5兆円、15位栃木県7.5兆円で、滋賀県より下の3県は17位北海道6.2兆円、18位山口県6.1兆円、19位長野県5.1兆円でした。

滋賀銀行の2019年2月アナリストレポートによると、滋賀県内の製造業は全体では2カ月ぶりに前月比減でしたが、化学、化粧品、輸送機械は上昇しています。

工業地の価格が順調に推移している理由について滋賀県は、大津・南部地域に加えて甲賀地域(甲賀市、湖南市)と東近江地域(近江八幡市、東近江市、蒲生郡)の名神高速道路と新名神高速道路の沿線の地価が好調だったことを挙げています。

住宅地は県庁所在地の大津市が足を引っ張る

滋賀県内の2018年の住宅地の平均変動率(前年比)は先ほど紹介したとおり▲0.8%で、前年と同じ下落幅でした。
住宅地価格の足を引っ張ったのは県庁所在地の大津市の▲0.5%(前年▲0.6%)と栗東市の▲0.2%(前年▲0.2%)でした。県庁所在地の大津市の人口は約34万人で、県内2位の草津市の約14万人の倍以上ですので、同市の落ち込みは県全体に大きなインパクトを与えてしまいます。
大津市と接する栗東市は人口約7万人ほどですが、大津・南部地域を構成する市ですので、落ち込みの影響は小さくありません。

大津・南部地域の他の3市、草津市、守山市、野洲市の住宅地価格は好調でした。

  • 草津市:1.2%(前年1.0%)
  • 守山市:1.1%(前年1.3%)
  • 野洲市:0.9%(前年0.9%)

その他の市町の住宅地平均変動率は以下のとおりです。軒並み前年割れを起こしています。

彦根市 ▲1.1%(前年▲1.4%) 豊郷町 ▲0.6%(前年▲1.0%)
近江八幡市 ▲0.7%(前年▲0.7%) 甲良町 ▲1.0%(前年▲1.0%)
多賀町 ▲1.0%(前年▲1.0%) 日野町 ▲2.1%(前年▲2.1%)
長浜市 ▲1.5%(前年▲1.3%) 甲賀市 ▲1.6%(前年▲1.4%)
湖南市 ▲0.9%(前年▲0.8%) 高島市 ▲2.1%(前年▲2.0%)
東近江市 ▲1.2%(前年▲0.8%) 米原市 ▲1.1%(前年▲1.0%)
竜王町 ▲1.5%(前年▲1.3%) 愛荘町 ▲0.8%(前年▲0.7%)

商業地は大津・南部地域が牽引して5年連続プラス

滋賀県内の2018年の商業地平均変動率は先ほど紹介したとおり、0.2%(前年0.1%)で5年連続プラスでした。牽引したのは大津・南部地域の5市です。
住宅地で足を引っ張った大津市も商業地では価格の押し上げに貢献しています。

  • 大津市+1.8%(前年+1.3%)
  • 草津市+2.0%(前年+1.8%)
  • 守山市+2.8%(前年+2.5%)
  • 野洲市+1.8%(前年+1.1%)
  • 栗東市+1.1%(前年+1.4%)

守山市は前年より増加幅を拡大させ3%に迫る勢いをみせています。栗東市は前年より増加幅を縮小していますが、1%台を維持しています。
大津市と草津市と野洲市も増加幅を拡大させています。

その他の市町の商業地の平均変動率は以下のとおりです。

近江八幡市 0.4%(前年0.1%) 彦根市 ▲0.6%(前年▲0.8%)
長浜市 ▲0.7%(前年▲0.8%) 高島市 ▲2.3%(前年▲2.4%)
多賀町 ▲1.0%(前年▲1.3%) 米原市 ▲1.2%(前年▲1.2%)
甲良町 ▲0.4%(前年▲0.4%) 甲賀市 ▲1.6%(前年▲1.4%)
湖南市 ▲0.3%(前年▲0.2%) 東近江市 ▲0.9%(前年▲0.5%)
日野町 ▲1.3%(前年▲0.4%) 豊郷町 ▲0.8%(前年▲0.4%)

県北部の高島市(▲2.3%)が下げ幅1位、県南部の甲賀市(▲1.6%)が下げ幅2位となっています。
つまり滋賀県の商業地価格は、名古屋と京都を結ぶラインは比較的好調なものの、福井県に接する北部と三重県に接する南部は不調という特徴があります。

大津・南部地域5市の平均価格

次に、大津・南部地域5市の用途別の平均価格をみていきましょう。

大津市

  • 住宅地75,600円/平方メートル(▲0.5%)
  • 商業地158,300円/平方メートル(1.8%)
  • 工業地56,500円/平方メートル(2.2%)
草津市

  • 住宅地92,200円/平方メートル(1.2%)
  • 商業地154,800円/平方メートル(2.0%)
  • 工業地39,400円/平方メートル(1.3%)
守山市

  • 住宅地82,700円/平方メートル(1.1%)
  • 商業地126,300円/平方メートル(2.8%)
  • 工業地54,000円/平方メートル(2.3%)
栗東市

  • 住宅地60,300円/平方メートル(▲0.2%)
  • 商業地102,200円/平方メートル(1.1%)
  • 工業地41,500円/平方メートル(2.5%)
野洲市

  • 住宅地65,200円/平方メートル(0.9%)
  • 商業地85,200円/平方メートル(1.8%)
  • 工業地24,000円/平方メートル(0.4%)

大津市、守山市、栗東市の工業地の価格は高値を維持しつつ、上昇率が2%台に乗っています。
大津市には「電子材料のカネカ」「半導体のルネサス」「太陽電池のパナソニック」「線維、電子材料の東レ」「油圧の島津製作所」の工場があります。
守山市には「東レ」「プラスチックフィルムのグンゼ」「自動車エンジンのダイハツディーゼル」「清涼飲料原液の日本コカ・コーラ」「インクカートリッジのキヤノンマシナリー」の工場があります。
栗東市には「塩ビの積水化学」「めん類の日清食品」「住宅部品のパナソニック」「工作機械の三菱重工工作機械」「電気自動車用電池のリチウムエナジージャパン」の工場があります。

名門企業や成長分野の企業が軒を連ねるので、工業地の価格が安定的に推移するのです。この結果をみると、企業誘致が地域経済に与える影響の大きさをあらためて知ることができます。

滋賀県の全国での位置

滋賀県の2018年の公示地価は、工業地は好調(0.6%)、住宅地は不調(▲0.8%)、商業地(0.2%)はその中間、という特徴が確認できます。
この特徴はそのまま全国での滋賀県の立ち位置になっています。

滋賀県の工業地の平均変動率は17位と、トップ20入りしました。
一方、滋賀県の住宅地は34位に沈んでいます。
滋賀県の商業地は20位でした。
それぞれの滋賀県の上下3位は以下のとおりです。

工業地
14位 兵庫県0.9%
15位 大阪府0.7%
16位 奈良県0.7%
17位 滋賀県0.6%
18位 茨城県0.6%
19位 山形県0.2%
20位 愛知県0.2%
住宅地
31位 青森県▲ 0.7%
32位 茨城県▲ 0.7%
33位 岐阜県▲ 0.7%
34位 滋賀県▲ 0.8%
35位 栃木県▲ 0.8%
36位 静岡県▲ 0.8%
37位 高知県▲ 0.8%
商業地
17位 石川県0.7%
18位 奈良県0.4%
19位 岡山県0.4%
20位 滋賀県0.2%
21位 大分県0.2%
22位 佐賀県▲ 0.1%
23位 富山県▲ 0.2%

まとめ~目立たないが総合力がとても高い

近隣に愛知、京都、奈良という全国区の府県があるだけに、知名度は埋没してしまっていますが、滋賀県は総合力が高い県といえます。
企業誘致に成功したことで経済基盤ができあがっているので、滋賀県内の公示地価で最も悪い住宅地ですら全国の中間に位置します。好調な商業地や工業地の価格は上位陣に食い込んでいます。
ただ今後、滋賀県内の中古マンション、中古戸建て、土地の価格が、大幅に値上がりするとは考えにくい状況です。しっかりしているとはいえ滋賀県の経済力は近隣の京都府や愛知県や大阪府に及ぶべくもなく、2019年以降、世界経済が落ち込むと地方経済から先に冷え込んでいきます。
滋賀県内に有する中古不動産や土地を今後使う予定がなければ、早急に売却することをおすすめします。少なくとも不動産仲介業者に査定を依頼して、「大体いくらくらいで売ることができるのか」くらいのことは、把握しておいたほうがいいでしょう。