青森県内の中古マンションと中古戸建てと土地の価格の相場と不動産売却事例を紹介します。
まず結論を述べると、2018年現在、東京の好景気の波はまだ青森まで届いていません。テレビや新聞のニュースで、「土地が値上がりしている」との報道が目立ってきたので不動産市場が活況を呈している印象を持っている人は少なくないと思いますが、それは東京と特定の地方の大都市だけの現象です。
地方の不動産市場はまだまだ回復しておらず、青森県もそのひとつといえます。

したがって、売却用の中古マンション、中古戸建て、土地を持っている方は、購入希望者が現れたら過度な価格交渉は行わず「無理のない価格」で売却することをおすすめします。

ただこれは、青森県全体の傾向であって、局地的には事情が変わってくることもあります。地方の不動産売却の原則は次の3点です。

  • 自分の不動産がある地域の市場調査を徹底する
  • 不動産市場全体の大きな流れをつかむ
  • 売れるときが「売りどき」

この原則に注意しておけば、「大満足」は得られなくても「納得」できる売却は可能です。

青森県の不動産価格に影響を与えそうなトピックス

まずは「不動産市場全体の大きな流れ」をつかんでいきましょう。青森県内の不動産価格に影響を与えそうなトピックスを紹介します。
中古不動産や土地の価格は地元経済の影響をもろに受けるので、青森県経済についてみてみます。

青森県社会経済白書(2017年度版)によると、製造業の生産動向は持ち直しの動きがみられ、雇用情勢も医療、福祉、製造業で求人が増加しています。
また消費動向でも百貨店・スーパー販売額は前年比0.5%増と微増ながら2年連続で前年比を上回る結果となりました。
また企業倒産件数も1972年以降最少となりました(*)。
*https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikaku/tokei/files/H29hakusyo.pdf

このように2017年度の単年度だけみると「やや回復」傾向がみられるのですが、しかし不動産市場を勢いづかせるほどのものではないようです。
というのも、2017年度の「やや回復」は、前年度や前々年度の落ち込みの反動と考えられるからです。

青森県の中古マンションの売買状況

それでは青森県内の中古マンションの売買状況をみていきましょう。
まずは中古マンションの価格に影響を与えそうなトピックスからみていきます。

新築分譲マンション着工は減少傾向。中古市場の押し下げ要因になるのでは

青森県が公開しているデータによると、2014年の新築分譲マンション着工戸数は52戸でした。前年より4戸減少しました。
青森県内の新築分譲マンション着工戸数は減少傾向にあります。
1990年は660戸でしたが、2000年には16戸まで激減しました。その後持ち直し2004年には422戸となりましたがその後再び減少に転じます。
2004年(422戸)→2014年(52戸)の10年間で9割近く減少したことになります。

そしてより深刻なのはマンションを建てることができる自治体が減ったことです。土地がないからマンションを建てられないのではなく、マンション需要が弱いために建てられないのです。
そもそも青森県の分譲マンションの統計は、青森市と弘前市と八戸市しか対象としていません。その3市の新築分譲マンション着工ですら、「着工0戸」の年があるのです。

2004年 八戸市0戸
2005年 八戸市0戸、弘前市0戸
2006年 八戸市0戸
2007年 八戸市0戸
2008年 八戸市0戸、弘前市0戸
2009年 0戸の市なし(3市とも着工あり)
2010年 八戸市0戸、弘前市0戸、青森市0戸
2011年 八戸市0戸、弘前市0戸、青森市0戸
2012年 八戸市0戸、弘前市0戸、青森市0戸
2013年 八戸市0戸、青森市0戸
2014年 八戸市0戸、弘前市0戸

新築分譲マンションの需要がないのは、青森県民は戸建て志向が強いからなのかもしれません。そうだとすると中古マンションの売却も苦戦しそうです。

青森県民は「非マンション志向」?

青森県の資料をみると、青森県民の「非マンション志向」が浮かんできます。
青森県内の分譲マンション戸数は2015年現在5,012戸で、建築時期別の内訳は次のとおりです。

  • 1980年以前:221戸(4.4%)
  • 1981~1994年(13年間):2,398戸(47.8%)(1年当たり184.5戸建設)
  • 1995~2005年(10年間):1,224戸(24.4%)(1年当たり122.4戸建設)
  • 2006~2015年(9年間):1,169戸(23.3%)(1年当たり129.9戸建設)

バブル期の1981~1994年には1年に184.5戸建設されていましたが、1995~2005年は1年122.4戸、2006~2015年は1年129.9戸で、若干回復してきていますが、なかなか元の水準には戻りません(*)。

また、青森県内の持家358,600戸のうち、94.4%は戸建て(338,400戸)です。分譲マンションなどの持家共同住宅は4,600戸で1.3%にすぎません(*)。
*:http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kendo/kenju/files/12_juutakujijou.pdf

さらに、2017年度の新設住宅着工戸数は6,509戸で前年比0.2%増でしたが、そのうち持家は3,703戸で前年比2.9%増でした。全体の増加率より持家の増加率のほうが高いのです。青森県民の「持家志向」がうかがえます(*)。
*:https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikaku/tokei/files/H29hakusyo.pdf

このことから直接「青森県では中古マンションを売却することは難しい」といったことは導きませんが、しかし少なくとも「中古マンションを売りやすい状況ではない」とはいえそうです。

八戸市と弘前市の建設中の2つの分譲マンションを紹介

八戸市と弘前市にそれぞれ1棟ずつ分譲マンションが建設中ですので紹介します(2018年現在)。

八戸市の「ポレスター八日町プレミアムレジデンス」

株式会社新八日町プロジェクト(売主、株式会社マリモ)が、13階建て、57戸の分譲マンション「ポレスター八日町プレミアムレジデンス」を、JR本八戸駅から徒歩11分の八戸市大字八日町で建設しています。完成予定は2020年7月です。販売価格は公開されていません。
ロケーションがよいマンションです。近隣には商業施設、公共施設、医療機関、交通機関が集まっています。

  • 徒歩1分:さくら野百貨店八戸店
  • 徒歩2分:八戸ポータルミュージアムはっち
  • 徒歩6分:八戸市役所
  • 徒歩2分:みちのく銀行八戸営業所
  • 徒歩1分:八戸中心街
  • 車6分:八戸市民病院
  • 徒歩9分:三八城公園(八戸城本丸跡)
  • 徒歩12分:長根公園
  • 徒歩11分:JR本八戸駅
弘前市の「ポレスター弘前プレミアム」

株式会社マリモ(売主も同じ)はJR弘前駅徒歩7分の弘前市大字駅前2丁目に、15階建て、56戸の分譲マンション「ポレスター弘前プレミアム」を建設中です。
価格の目安は84~87平方メートル、3~4LDKで3,928万~4,118万円です。
このマンションの売りは、除雪作業が要らないことです。弘前市の1~2月に降雪量は2メートルを超え、除雪作業には重労働と多額の費用がかかります。しかしこのマンションは散水融雪とロードヒーティングを完備しているので住民は駐車場などを除雪する必要はありません。
ロードヒーティングとは、アスファルトの下に「温水パイプ」を通し、温水で雪を溶かすシステムです。

    ロケーションも良好です。

  • 徒歩3分:イトーヨーカドー弘前店
  • 徒歩7分:駅ビルのアプリーズ
  • 徒歩2分:みちのく銀行弘前営業所
  • 徒歩8分:弘前市立病院
  • 徒歩13分:ひかりこども園
  • 徒歩8分:和徳小学校
  • 徒歩8分:弘前公園(総面積14万坪)
  • 徒歩10分:土手町商店街

そしてこのマンションからは「弘前ねぷたまつり」を見ることができます。このマンションはねぷたの行進ルートになっている道路に面しているのです。

新築マンションの「悪影響」は回避できるか

一般的には、新築分譲マンションができると、近隣の中古マンションの劣化が目立ってしまうため、中古マンションの売却には不利に働きます。
しかし青森県の場合は新築分譲マンションが少ないので、そこまでの影響はないでしょう。むしろ分譲マンションを購入する「新住民」が街を活気づけるので、地域のブランド化に寄与するでしょう。そうなると、その地域に住みたい新築マンションを購入できない人が中古マンションに興味を示すかもしれません。

青森県の中古マンション市況

以下の表は不動産会社が公開しているデータを元に作成したものです。念のため青森県内すべての市町村を表示しましたが、ご覧のとおり中古マンション市場を形成できているのは青森市と八戸市だけです。地方の町村だと、そもそもマンションが存在していないのです。

青森県の中古マンションの相場
地区 ~40m² ~50m² ~60m² ~70m² ~80m² ~90m² ~100m² 101m²~
青森市 1,180万円 860万円 1,330万円 1,900万円 3,590万円
弘前市 3,100万円
八戸市 640万円 1,450万円 970万円 2,580万円
黒石市
五所川原市
十和田市
三沢市
むつ市
つがる市
平川市
東津軽郡平内町
東津軽郡今別町
東津軽郡蓬田村
東津軽郡外ヶ浜町
西津軽郡鰺ヶ沢町
西津軽郡深浦町
中津軽郡西目屋村
南津軽郡藤崎町
南津軽郡大鰐町
南津軽郡田舎館村
北津軽郡板柳町
北津軽郡鶴田町
北津軽郡中泊町
上北郡野辺地町
上北郡七戸町
上北郡六戸町
上北郡横浜町
上北郡東北町
上北郡六ヶ所村
上北郡おいらせ町
下北郡大間町
下北郡東通村
下北郡風間浦村
下北郡佐井村
三戸郡三戸町
三戸郡五戸町
三戸郡田子町
三戸郡南部町
三戸郡階上町
三戸郡新郷村

JR青森駅徒歩2分の3,880万円の中古マンションの実力

上記の表から、青森市の「101平方メートル~」の中古マンションを紹介します。

JR青森駅徒歩2分という好立地にあり、建物は15階建、総戸数97戸です。
売りに出ている中古マンションはその10階の4LDK、106平方メートルの部屋で、価格は3,880万円です(2018年現在)。
完成したのは2002年12月で、内装リフォームは済んでいます。
築年数が10年以上経っていますが、部屋の広さから強気の価格設定になっています。ただ周囲の生活環境のよさからすると妥当な値段といえそうです。

中央弘前駅(弘南鉄道)徒歩4分の中古マンションは展望大浴場つき

上記の表から、弘前市の「~90平方メートル」の中古マンションを紹介します。

中央弘前駅(弘南鉄道)徒歩4分の10階、3LDK、80平方メートルの中古分譲マンションが3,100万円で売りに出ています。
このマンションのハイライトは、最上階にサウナ付きの展望大浴場がついていることです。エントランスも豪華で、高級感が漂います。
建物は15階建て、総戸数110戸で、完成は2008年2月です。
築年数の浅さからすると3,000万円超えは妥当といえるでしょう。

JR本八戸徒歩15分の2,580万円の中古マンションの実力

上記の表から、八戸市の「~90平方メートル」の中古マンションを紹介します。

JR本八戸駅からやや遠い徒歩15分の距離にある4LDK、84平方メートル、5階の物件が2,580万円で売りに出ています。
建物は13階建て、全54戸、完成2004年1月となっています。
駅からの遠さと5階というネガティブ要因はありますが、84平方メートルで3,000万円を大きく割り込む価格ですので、この場所で中古マンションを検討している人には魅力的に映るでしょう。

青森県の中古戸建ての売買状況

次に青森県内の中古戸建ての売買状況をみていきましょう。
青森県全体に中古戸建て市場の勢いは感じられません。売却用の戸建てを保有している方は売りたくても売れない状況に悩んでいるのではないでしょうか。しかしその状況はまだしばらく続きそうです。

新設住宅着工件数が減少。市場の縮小を暗示?

青森県が公開しているデータによると、2014年の県内の新設住宅着工件数は5,469戸で前年比15.3%減でした。
青森県内の新設住宅着工件数は、2010年の4,708件が「底」と考えられていました。それまでの減少傾向が2010年を境にわずかながらではありますが上昇基調に転じたからです。
2013年には6,461件を記録し、リーマンショック(2008年)前の水準を回復しました。
「なのに」翌年の2014年に再び大幅に減ってしまったのです。

特に足を引っ張ったのは貸家用の新設住宅で、2004年の3,635戸が2014年には1,721戸に半減しました。
また持家の新設住宅も、貸家用ほどではありませんが、2004年の4,788戸から2014年の3,387戸へと3割近く減っています(*)。
*:
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kendo/kenju/files/12_juutakujijou.pdf

こうしたデータからわかることは、青森県内の新設住宅需要は、下落は収まったものの依然として勢いがない、ということです。
これは中古建て市場も「期待できない」ことを示唆しているといえるでしょう。
東京や大阪などの大都会であれば、新築戸建ての高騰を嫌気した消費者が中古戸建て市場に流れていきますが、青森県のような地方ではそういった動向は期待しにくいのです。
「新築戸建てを買い求めない=需要の落ち込みのサイン=中古戸建ても期待できない」と考えたほうがいいでしょう。

青森県の中古戸建て市況

青森県内の中古戸建ての市況をみていきます。
100平方メートル以下の物件の市場がほとんど形成されていなかったので「101平方メートル~」帯のみを表示しています。

青森県の中古戸建ての相場
(相場が形成されている「101平方メートル~」のみ掲載)
地区 101m²~ 地区 101m²~ 地区 101m²~
青森市 1,865万円 東津軽郡平内町 上北郡野辺地町
弘前市 2,102万円 東津軽郡今別町 上北郡七戸町 1,566万円
八戸市 1,425万円 東津軽郡蓬田村 上北郡六戸町
黒石市 1,198万円 東津軽郡外ヶ浜町 上北郡横浜町
五所川原市 1,098万円 西津軽郡鰺ヶ沢町 上北郡東北町 948万円
十和田市 1,233万円 西津軽郡深浦町 870万円 上北郡六ヶ所村
三沢市 中津軽郡西目屋村 上北郡おいらせ町 1,328万円
むつ市 1,020万円 南津軽郡藤崎町 下北郡大間町
つがる市 南津軽郡大鰐町 下北郡東通村
平川市 2,577万円 南津軽郡田舎館村 下北郡風間浦村
北津軽郡板柳町 下北郡佐井村
北津軽郡鶴田町 1,198万円 三戸郡三戸町 1,073万円
北津軽郡中泊町 339万円 三戸郡五戸町
三戸郡田子町
三戸郡南部町
三戸郡階上町 1,186万円
三戸郡新郷村

青森市の2,080万円の木造3階建て4SDK中古物件の実力

上記の表のなかから、青森市西滝の中古戸建てを紹介します。

概要は、木造3階建て4SDK、延べ床面積169平方メートル、土地面積233平方メートル、完成2001年4月となっています。近隣に鉄道駅はなく、バス停が徒歩10分の場所にあります。SDKのSはサービスルームで、採光や換気設備がないため居室と認定されませんが、実際は居室として使うことができます。
価格は2,080万円となっています。交通の便がよくありませんが、ただ169平方メートルの広さは魅力的です。
青森市は自動車社会なので、駅からの距離はあまり問題にならないことがあります。

平川市の5,980万円の豪邸の実力

上記の表のなかから、平川市の売値5,980万円の豪邸を紹介します。

平川市は県南部の内陸部に位置し、秋田県と接触しています。
この物件は弘前鉄道・津軽尾上駅徒歩25分の距離にあります。概要は、4LDK、木造2階建て、延べ床面積249平方メートル、土地面積766平方メートル、完成2013年11月となっています。
敷地の周囲に塀をめぐらし、立派な門を構えます。カーガレージは自動車2台がゆうゆう入り、庭は立派なゴルフ場のグリーンぐらいの広さがあります。庭木も整備が行き届いています。
玄関からエントランス、居間、寝室、浴室も見るからに質感が高い建材でつくられています。
恐らく6,000万円を切る価格は「破格」なのでしょう。

青森県の土地の売買状況

青森県の土地の売買状況をみていきます。
2018年9月に発表された青森県内の基準地価では、住宅地は1.2%下落し20年連続前年割れとなりました。商業地も1.3%下落し、前年割れは27連続となりました。
青森県内の土地の売却を検討している人にとっては、売りどきをみつけられない厳しい状況が続いていますが、しかし地域的には好転の兆候も見え始めています。詳しく紹介します。

厳しさのなかの「一条の光」か

2018年の基準地価は前年割れが続いたものの、下落幅は住宅地で0.3ポイント、商業地で0.4ポイント、それぞれ縮小しました。
また地点ごとにみていくと「一条の光」もみえます。
例えば商業地では、青森市の3地点、弘前市の1地点、八戸市の1点が前年より価格が上昇しました。そのうち青森市大字石江字三好の地点は2.3%も上昇しました。
また県全体の住宅地の平均価格は16,300円/平方メートルで、前年と同額でした。
このことから土地価格には「下げ止まり傾向がみられる」といえます。

青森県の土地市況

青森県内の土地の市況をみていきましょう。ただ市場が形成されているのは以下の市町のみでした。

青森県の中古戸建ての相場
(相場が形成されている市町村のみ掲載)
地区 101m²~
青森市 891万円
弘前市 1,192万円
黒石市 474万円
東津軽郡今別町 300万円
上北郡おいらせ町 1,200万円

おいらせ町の630平方メートルの土地が1,200万円

おいらせ町は県東南部に位置し、太平洋に面しています。十和田湖を源流とする奥入瀬川が観光名所になっています。
地方の町ながら、人口減少カーブが緩やかです。以下はおいらせ町が作成した人口推移表です。
2010年ごろまではむしろ人口が増えていて、2040年までの減少幅もそれほど急激ではありません。

https://www.town.oirase.aomori.jp/uploaded/attachment/2232.pdf

おいらせ町向川原で、630平方メートルの土地(市街化区域、第1種住居地域)が1,200万円で売りに出ています。青い森鉄道・下田駅から徒歩14分の立地です。
建ぺい率は60%、容積率は200%となっています。
この面積で1,200万円は決して高いとはいえませんが、ただこの案件からは「人口が減らない街=魅力のある街」ではきちんと土地の売買が行われていることがわかります。

まとめ~厳しい青森県、早めの処分が原則

青森県にはなかなか好景気の波が押し寄せてきません。2020年の東京五輪後に景気が減速するという観測も出ています。したがって青森県の不動産市場はこのまま維持または停滞してしまうかもしれません。
青森県内に売却用の中古不動産などを保有している方は、早めの処分を心がけたほうがいいかもしれません。