福井県内にある「中古マンション、中古戸建て、土地」の売却を検討している方は、売るタイミングがみつからず、悩ましい日々を送っているのではないでしょうか。
福井県内の地価の前年割れが止まりません。日本経済は「復活した」「いざなき景気を上回る戦後2番目の景気拡大」(*)などといわれていますが、その波が福井県に十分届いているとはいえません。

例えば県庁所在地の福井市では、2022年の北陸新幹線・福井延伸に向けて再開発が進んでいますが、いまひとつ勢いに欠け「ものすごく盛り上がっている」という印象はありません。
福井市を含め福井県内の売却用の中古マンションや中古戸建てや土地は、売れるときに売ってしまったほうがよさそうです。

*:https://www.asahi.com/articles/ASLDD63M2LDDULFA041.html

福井県の不動産の全体的な話題

中古マンション、中古戸建て、土地を適切なタイミングで売却するには、地域経済の動向を把握しておく必要があります。
不動産価格は、景気が上向いているときに上昇し、景気が下降しているときに下落するからです。
福井県内で景気上昇の起爆剤として期待されているのが、2022年の北陸新幹線・福井延伸です。地元ではこのチャンスをどのように生かそうとしているか見ていきます。

「北陸新幹線効果は福井市では限定的ではないか」との見方が広がる

北陸新幹線の福井延伸に期待する不動産オーナーは少なくないと思います。それは、2015年3月に長野=金沢間が開業し、金沢経済が驚異的に盛り上がったからです。新幹線で東京と直結したことにより金沢観光が脚光を浴び、日本人だけでなく外国人観光客も多数訪れるようになりました。金沢市では地価が顕著に上昇しました。
福井市内の不動産オーナーも、福井市の「金沢化」を期待していることでしょう。

その期待を高めるのが、JR福井駅前の複数の再開発事業です。
2016年4月に完成した「ハピリン」は、JR福井駅西口を出て徒歩1分の場所に建つ、地下1階、地上5階の再開発ビルです。飲食店、コンビニ、旅行代理店、メガネ店などの小売店だけでなく、観光案内所や多目的ホール、ボランティアセンター、福井市自然史博物館分館などの公共施設も入居しています。
さらに福井市は「北陸新幹線福井開業アクションプラン」を策定し、中心市街地で食のイベントを開催したり、人的交流を深めたりしています。
北陸新幹線・福井駅の駅舎のデザインが確定し、東口の拡張施設や新文化会館の建設も決まりました。
福井市は足羽山や越前海岸などの自然を活かした観光地プロモーションを進めていく考えです。

日本経済新聞は、個人が福井駅前の土地を買い進める動きがある、と伝えています(*)。なかには投資目的の土地購入もあると思いますが、利用目的で土地を買う人も少なくありません。例えば、2017年4月からの1年間に福井駅前には飲食店が新たに21店開業しました。福井県内最大級の商業地である福井市中央1丁目地区では、店舗率が過去15年で最高水準になっています。

大変期待できる動きではありますが、ただ「金沢のプチバブルに比べると福井経済は大人しい」という声もあります。
金沢市では2018年の商業地の公示地価が3.2%も上昇しましたが、福井市は0.3%の上昇にすぎません。
金沢市では「マンションの1棟買いの話やホテル用地の問い合わせが来る」と話す不動産会社もありますが、福井市ではそこまでの盛り上がりは見られません。

もちろん2022年の北陸新幹線・福井延伸までまだ時間があるので、これから機運が高まる可能性はゼロではありませんが、2019年10月の消費増税や2020年の東京五輪終了という景気を冷え込ませる要因が控えているので、先行きは楽観できないでしょう。

*:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28656370X20C18A3LB0000/

福井県の中古マンションの売買状況

それでは次に、不動産の種類別に売買状況を見ていきます。
まずは、中古マンションから概観していきます。

福井市内ですら中古マンション市場は停滞

福井県内で中古マンションの市場が形成されているのは唯一、福井市内だけです。しかしその福井市内ですら、それほど多くの中古マンションが供給されているわけではありません。
これは、福井県内の土地の価格はそれほど高くないので、県民・市民の「どうせならマンションではなく戸建てを」という気持ちが強いからでしょう。
中古マンションの売却を検討している方にとって、不利な情勢といえます。

福井市日光1の91平方メートル、3LDK、2階が1,380万円

それでは福井市内の中古マンション市場にどのような物件が出回っているのか見ていきましょう。
福井市日光1の7階建てマンションで、2階の91平方メートル、3LDKの部屋が1,380万円で売りに出ています。1995年7月の完成です。
築年数がそれなりに経過している物件ですが、部屋の広さは魅力的です。

福井市日光1は、えちぜん鉄道・福大前西福井駅の1キロ圏内にあり、JR福井駅まで道路の距離で3.5キロです。福井市は自家用車社会なので、3.5キロはそれほど「苦」にならない距離です。
さらに福井市日光1は、底喰川に面していて、近くには福井大学や福井工業大学、病院、クリニックがあります。
例えば、福井市に長期間住むことになった人にとっては、1,500万円を大きく割り込むこの物件は候補のひとつになるのではないでしょうか。

福井市二の宮4の96平方メートル、4LDK、2階が2,000万円

福井市二の宮4の6階建てマンションで、2階の96平方メートル、4LDKの部屋が2,000万円で売りに出ています。1994年12月完成です。
20年以上経過している物件ですが、部屋の広さからすると地方都市ならではの価格といえます。

福井市二の宮4は、えちぜん鉄道・八ツ島駅まで200メートルの便利な地域です。福井駅まではやや距離がありますが、それでも道路距離で4.4キロです。
また福井市二の宮4には福井大学教育学部があり、福井大学附属幼稚園もあります。近隣に公園や緑地やクリニックが点在していて、子育てがしやすい街です。
この物件は96平方メートルもあるので、一家4人でも無理なく暮らすことができます。

福井駅まで3キロ、3LDK、450万円の物件の実力とは

次に紹介する物件は、JR福井駅まで3キロ、63平方メートルながら3LDK、10階建ての4階、リフォーム済みという「まずます」の好条件ながら、450万円という破格の価格となっています。
1975年(昭和50年)2月完成という「年代もの」ですが、このマンションがある福井市問屋町1は近くに川が流れ、飲食店などの商業施設やクリニックも充実しています。地元のテレビ局、福井テレビジョン放送の本社が近くにあります。

福井県の中古戸建ての売買状況

2017年度の福井県内の新築の戸建て着工戸数(持家と分譲の総計)は2,650戸で、前年比マイナス7.2%でした。2016年度は前年比プラス6.0%でしたので、2017年度は「急激に落ち込んだ」印象があります。

大都市圏であれば「新築戸建ての落ち込み→戸建て供給量の低下→中古戸建ての需要増」となることが期待できますが、福井県のような地方では「新築戸建ての落ち込み=戸建て住宅需要自体の落ち込み」と考えるべきでしょう。
すなわち、中古戸建ての売却を検討しているオーナーにとって、芳しくない状態といえます。
それでは、福井県内に出回っている中古戸建て物件を見ていきましょう。

福井市舟橋黒竜1の建物面積371平方メートルの豪邸は6,880万円

福井市舟橋黒竜1の木造2階建て、土地面積533平方メートル、建物面積371平方メートル、6SLDKの豪邸が6,880万円で売りに出ています。2005年9月完成の物件です。

家の周囲を塀が取り囲み、庭は10坪以上あるなど、地区のシンボル的な住宅です。
福井市舟橋黒竜1は九頭竜川に面した地域で、日本海・鷹巣海水浴場まで道路距離で17キロほど、自動車で26分という近さです。
ファミリー登山に向いている高須山やフォレスト福井ゴルフクラブも近くにあります。えちぜん鉄道・中角駅の1キロ圏内なので、交通の便も申し分ありません。

福井市二の宮5の完成したばかりの木造2階建て住宅が2,540万円

2017年6月に完成したばかりの、福井市二の宮5の木造2階建て、土地面積186平方メートル、建物面積110平方メートル、4LDKの物件が2,540万円で売りに出ています。
対面式キッチン、オール電化、浴室乾燥機、ウォークインクローゼットと設備も充実していて、駐車場には3台停めることができます。

さらに福井市二の宮5は住環境に優れていて、町内に、えちぜん鉄道・八ツ島駅があり、書店や飲食店やスーパーなどの商業施設、小中学校、福井大学、眼科クリニック、歯科クリニックもすぐ近くにあります。
この優れた住環境に、ほぼ新築、建物面積100平方メートル以上という好条件で、3,000万円を大きく割り込む価格は「お買い得」といって差し支えないでしょう。

鯖江市川去町7の建物面積291平方メートルのハイグレード戸建てが3,000万円

鯖江市川去町7の木造2階建て、土地面積496平方メートル、建物面積291平方メートル、6LDKの戸建てが、3,000万円で売りに出ています。完成は1998年1月です。
ミサワホーム施工というブランド力に加え、オール電化、巨大インナーガレージ、コンクリート打ちっぱなしの塀など、かなりのハイグレード仕様で、20年以上経っていますが3,000万円は地方都市ならではの「安さ」といえるでしょう。

鯖江市は「メガネの聖地」と呼ばれるほどメガネ生産が盛んで、最近は高級メガネに特化することで、安いアジア製メガネとの差別化を図っています。
その鯖江市の川去町はJR北陸本線・鯖江駅まで約7キロ、自動車で15分の場所にあります。また川去町からダイビングスポットとして有名な玉川海水浴場周辺までは20キロ足らずで、自動車で30分ほどです。
都会生活に飽きた富裕層が移住の地に福井県を選んだら、この物件は検討に値するのではないでしょうか。

敦賀市沓見37の建物面積127平方メートルの木造2階建てが1,198万円

大都市圏に住んでいる人が次に紹介する物件を見ると、「地方の住環境は素晴らしい」と感じることでしょう。

敦賀市沓見37の木造2階建て、土地面積184平方メートル、建物面積127平方メートル、5LDKの戸建てが、1,198万円で売りに出ています。完成は1989年8月です。
建物面積が100平方メートルを超えているので、一家4人では広すぎるくらいです。
しかも築30年近く経っているとはいえ、1,200万円を切る価格は「破格」といってもいいでしょう。自家用車は2台停めることができます。

敦賀市沓見は敦賀半島の付け根に位置し、日本海と敦賀湾の2つの海に挟まれた地域です。そのため、周囲には海水浴場がたくさんあります。
また敦賀市沓見の近くには、市立敦賀病院と国立病院機構・敦賀医療センターがあります。近隣に敦賀市総合運動場や松原公園もあり、住環境としては申し分ありません。
さらに敦賀市沓見は琵琶湖にも近く、道路距離で28キロほど、自動車で40分で着きます。

敦賀市は移住先としては決してメジャーではありませんが、それでもこの内容です。「日本の田舎力」のポテンシャルのすごさを象徴する物件といえます。

福井県の土地の売買状況

福井県の2018年の公示地価については、「改善が見られる」と評価する人もいるでしょう。しかしそれは「マイナス幅が縮小した」ことを改善と呼んでいるだけです。縮小しようとマイナスはマイナスなので、「前年より落ち続けている」現象は続いています。
福井県内の土地の売却を検討している方は、楽観視しないほうがいいでしょう。

福井県の公示地価「全用途」は23年連続下落

福井県内の全用途、住宅地、商業地の公示地価の年単位の変動率の推移は以下のとおりです。
変動率とは、前年よりどれくらい上がったか・下がったかを示す指標です。

<福井県内の公示地価の変動率の推移>△はマイナス
  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 備考
全用途 △2.7% △2.1% △1.7% △1.3% △1.1% 23年連続下落
住宅地 △2.6% △2.0% △1.7% △1.4% △1.2% 22年連続下落
商業地 △3.0% △2.3% △1.7% △1.2% △1.0% 26年連続下落

見事に「△」が並びました。全用途は23年連続、住宅地は22年連続、商業地は26年連続で下落しています。
確かに全用途、住宅地、商業地ともに、マイナス2%台を脱し、マイナス1%台前半にまで「改善」しています。しかし日本全体の景気が2013年ごろから改善し始めていることを勘案すると、マイナス幅の縮小は当然であり、むしろプラスに転じていないことが「不思議」といわざるを得ません。
日本の景気は、「上昇基調は地方に届かず、下降基調は地方から始まる」という構造になっていて、典型的な地方である福井県はこれに当てはまっています。

北陸3県でも福井県の弱さは顕著

北陸3県の2018年の公示地価を比較すると、以下のようになります。

<福井、石川、富山の北陸3県の2018年の公示地価の変動率(前年比)>
  福井県
(再掲)
石川県 富山県
全用途 △1.1% 0.10% △0.3%
住宅地 △1.2% △0.1% △0.4%
商業地 △1.0% 0.70% △0.2%

北陸の勝ち組・金沢市のある石川県は全用途と商業地の2項目で変動率(前年比)がプラスになっています。また富山県でもマイナス幅は1.0%を大きく割り込んでいます。
その中で福井県のみマイナス幅が1.0%以上になっているのです。

石川県が強く、富山県が中間で、福井県が弱いという傾向は、県庁所在地の地価を見ても一目瞭然です。
以下の表は、それぞれの県内の住宅地と商業地の1平方メートル当たりの最高価格です。

<2018年の県庁所在地の最高価格>
  福井県 石川県 富山県
住宅地の最高価格 福井市宝永3丁目
94,600円/平方メートル
金沢市彦三町1丁目
156,000円/平方メートル
富山市舟橋南町
110,000円/平方メートル
商業地の最高価格 福井市中央1丁目
342,000円/平方メートル
金沢市本町2丁目
955,000円/平方メートル
富山市桜町2丁目
498,000円/平方メートル

福井県の住宅地の一等地は石川県より39%も安く、福井県の商業地の一等地は石川県より64%も安いのです。
富山県との比較では、福井県の住宅地は14%安く、福井県の商業地は31%安いのです。

2015年の県内総生産は以下のとおりです。

  • 福井県:3兆2,330億円
  • 石川県:4兆5,740億円
  • 富山県:4兆6,470億円

このことから、福井県の地価の安さは、福井県の経済力の弱さと関連していることがわかります。

福井県地価のポジティブな一面

福井県の地価のネガティブな面ばかり見てきましたが、特定地域では明るい材料も見られますので紹介します。

福井県内の2018年の「住宅地」では15地点で前年より上昇しました。その内訳は、福井市12地点、敦賀市1地点、鯖江市1地点、永平寺町1地点です。前年の2017年の上昇地点は11地点でしたので、改善しています。

最も上昇したのは、福井市木田1丁目で、2017年の69,000円/平方メートルから2018年には71,000円/平方メートルとなり3.0%上昇しました。
福井県は、この15地点の地価が上昇した要因として次の2点を挙げています。

  • 国道8号や市道環状西線(西環状線)など主要幹線道路へのアクセスがよい
  • 近隣に小中学校や駅、商業施設があり住環境がよい

福井県内の2018年の「商業地」では7地点で前年より上昇しました。こちらも2017年の上昇地点は3地点でしたので改善しています。
商業地で最も上昇率が高かったのは福井市中央1丁目の5.1%でした。
商業地地価の押し上げに貢献したのは、福井駅前の再開発です。再開発ビル「ハピリン」や北地区市街地再開発、中央1丁目新複合ビル、中央1丁目へのホテル進出といった動きがよい影響をもたらしました。この背景にはもちろん、北陸新幹線・福井開業への期待感があります。

また勝山市荒土町新保6の商業地地価が1.7%上昇しました。これは2020年に開業する道の駅「恐竜渓谷ジオパーク(仮称)」や、永平寺大野道路の県立恐竜博物館の最寄りICである勝山ICの供用開始が影響していると考えられます。
経済に動きがあると、地価は上昇します。土地の売却を検討している方は、こうした局地的な経済動向を把握しておく必要があるでしょう。

福井県内の市町村別の2018年公示地価

2018年の福井県内の公示地価を、市町村別に見ていきましょう。

2018年 福井県内の市町村別の地価変動率(前年比)
:△はマイナス
  住宅地 商業地 全用途
福井市 △0.6% 0.30% △0.3%
敦賀市 △0.5% △0.3% △0.5%
小浜市 △0.9% △0.5% △0.7%
大野市 △3.9% △3.7% △3.9%
勝山市 △2.9% △0.6% △2.0%
鯖江市 △0.7% △2.4% △1.4%
あわら市 △2.5% △1.5% △2.2%
越前市 △1.9% △2.5% △2.1%
坂井市 △1.4% △2.0% △1.6%
永平寺町 0.40% △0.3% 0.10%
越前町 △2.9% △1.8% △2.6%
美浜町 △3.1% △4.3% △3.5%
高浜町 △1.8% △1.5% △1.7%
若狭町 △2.0% △3.6% △2.8%

県庁所在地の福井市に力強さがなく、県全体にも勢いがありません。

ただ県内で唯一、永平寺町だけが全用途で変動率(前年比)がプラスになりました。
永平寺町にある永平寺は日本曹洞宗のいわゆる「大本山」です。永平寺は「禅の里」としても知られ、禅体験を求めて全国から人々が集まります。永平寺の観光客入込数は年間60万人近くになります。
また世界最大の旅行サイト「TripAdvisor」が2018年に、旅好きが選ぶ日本の神社仏閣ランキングを集計したところ、永平寺は16位に入りました。ベスト10入りこそのがしましたが、京都の建仁寺(17位)や仁和寺(18位)、東京の明治神宮(21位)を押さえての「快挙」といえるでしょう。
人気観光地を持つ地域は経済が安定するので、地価も順調に推移します。

まとめ~厳しい環境は続きそう、売れるときに売ってしまおう

福井県の不動産市場では、改善の兆候もみえますが、大きな潮流となるような勢いは感じられません。地方経済は県庁所在地に引っ張られる形で改善していくものですが、福井市にはそれだけのパワーが見られません。
2022年の北陸新幹線・福井延伸は景気の起爆剤として期待されますが、その前に消費増税と東京五輪終了という大きな「景気の下押し要因」が控えているので足元をすくわれかねません。
福井県内に売却用の不動産を持っている方は、「売れるときに売る」心づもりを持っておいたほうがいいでしょう。